“いつか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
五日32.8%
何日12.0%
早晩8.8%
一家8.0%
過日6.4%
日外4.8%
幾日4.8%
過般3.2%
先日2.4%
或時2.4%
曩日2.4%
過年1.6%
一荷1.6%
一顆1.6%
一個0.8%
一箇0.8%
不知0.8%
何時0.8%
先年0.8%
先頃0.8%
前年0.8%
0.8%
往日0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
とうとう、あかいそりがてから、五日いつかめになりました。みんなは、今日きょうこそかえってくるだろうと、おきほうをながめていました。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうしてここにいるのか、僕にもよくわからないのです。なんだか永いあいだねむっていたような気がしますが、きょうは何日いつかなんですか」
暗黒星 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その天稟てんぴんの能力なるものは、あたかも土の中に埋れる種の如く、早晩いつか萌芽をいだすの性質は天然自然に備えたるものなり。
家庭習慣の教えを論ず (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
成程なるほど一家いつかうちに、體の弱い陰氣な人間がゐたら、はたの者は面白くないにきまツてゐる。だが、虚弱きよじやくなのも陰欝いんうつなのも天性てんせいなら仕方がないぢやないか。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
う云われると、此方こっち記憶おぼえが無いでもない。なるほど過日いつかそんなことも有ったようである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
衆寡敵せずというのは多い方の頭数よりは少い方の体力の問題さ。又芝居の悪口を言うようだけれど、日外いつか見たあの丸橋忠弥の立廻りは全然この法式にそむいている。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
幾日いつかも、幾日いつかもかからなければ、外国がいこくへはいかれません。いく千マイルというとおくへいくんですもの。」
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あの、過般いつかもお前さんに話したろう。早瀬さんと分れて、こうなる時、煙草を買え、とおっしゃって、先生の下すった、それはね、折目のつかない十円紙幣さつが三枚。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほんとに先日いつかばんだって吃驚びっくりしたよ。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
また曩日いつかの樣に、今夜何處かに酒宴さかもりでもあるのかと考へて、お定はつつましやかに水潦みづたまりを避けながら、大工の家へ行つた。お八重は欣々いそ/\と迎へたが、何か四邊あたりはゞかる樣子で、そつと裏口へれて出た。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
すやすやと寐息ねいきかんざしの花は動いても、飾った雛は鼠一疋がたりともさせないんでございますってね、過年いつかもお雛様がみんなで話をするッて、真面目に言いなすったことがある位
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
頂上の停車場に著いたときも雲霧が濃く、雨滴となつてしぶくので、旅人等は下車をためらつてゐると、若者が一荷いつかの雨外套を運んで来て、それを銘々に著せてくれた。
ヴエスヴイオ山 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
多年剣を学んで霊場に在り 怪力真に成る鼎ひしぐべし 鳴鏑めいてき雲を穿つて咆虎たおる 快刀浪をつて毒竜降る 出山しゆつざん赤手強敵をとりこにし 擁節の青年大邦に使ひす 八顆はちかの明珠皆楚宝 就中一顆いつか最も無双
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ひつぎまへ銀樽ぎんそん一個いつか兇賊等きようぞくらあらそつてこれをむに、あまかんばしきこと人界じんかいぜつす。錦綵寶珠きんさいはうじゆ賊等ぞくらやがてこゝろのまゝに取出とりいだしぬ。さてるに、玉女ぎよくぢよひだりのくすりゆびちひさきたまめたり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ゆゑに彼はその名簿の中に一箇いつかうれひおなじうすべき友をだに見出みいださざるを知れり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この一番にて紳士の姿は不知いつか見えずなりぬ。男たちは万歳を唱へけれども、女の中にはたなぞこの玉を失へる心地ここちしたるも多かりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この刹那せつなに鏡子はお照から来た何時いつかの手紙にも榮が可愛くなつたとばかり書いてあつて、ついぞ晨の事の無かつたのと、自身が抱かうとするとりかへつて
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「だって、主税さん、先年いつか私の誕生日に、お酒に酔って唄ったじゃありませんか。貴下あなたは、浅くとも清き流れの方よ。ほんとの歌は柄に無いの。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伯母さんは先頃いつか怒ったけれども、御機嫌が直ったと見えてお春さんの結婚式に来た。年寄なんて子供見たような者だそうだ。来たばかりじゃない。お春さんに上等の指輪をくれた。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
拵えてよ。矢張りまた前年いつかのように浜町か蠣殻町かきがらちょうらしいの。……あの人のは三十を過ぎてから覚えた道楽だから、もう一生止まない。だから愛想が尽きて了う。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
月い照るかかるかぐろいつかしき地表のしゆんを我がはなくに
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
往日いつか話した通り、私は身寄も友達も無いと謂つて可いくらゐの独法師ひとりぼつちの体だから、気分が悪くても、たれ一人薬を飲めと言つてくれる者は無し、何かに就けてそれは心細いのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)