一家いつか)” の例文
つい、となり十四五人じふしごにんの、ほとん十二三人じふにさんにん婦人ふじん一家いつかは、淺草あさくさからはれ、はれて、こゝにいきいたさうである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
成程なるほど一家いつかうちに、體の弱い陰氣な人間がゐたら、はたの者は面白くないにきまツてゐる。だが、虚弱きよじやくなのも陰欝いんうつなのも天性てんせいなら仕方がないぢやないか。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
覺束おぼつかないつきに風車かざぐるまてゝせたり、りつゞみなどをつておせなされ、一家いつかうちわれなぐさめるは坊主ばうず一人ひとりだぞとあのいろくろいおかほをおあそばすと
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うへ、野々宮さんが一家いつか主人あるじから、後戻あともどりをして、再び純書生と同様な生活状態に復するのは、とりなほさず家族制度から一歩遠退いたと同じ事で、自分に取つては
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
また丹後大地震たんごだいぢしんときは、九歳きゆうさいになる茂籠傳一郎もかごでんいちろうといふ山田小學校やまだしようがつこう二年生にねんせい一家いつか八人はちにんとも下敷したじきになり、家族かぞく屋根やねやぶつてしたにかゝはらず、傳一郎君でんいちろうくん倒潰家屋内とうかいかおくないとゞまり
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
い親類を持つと云ふものは、人でへばとりなほさず良い友達で、お前にしてもさうだらう、良い友達が有れば、万事の話合手になる、何かの力になる、なう、謂はば親類は一家いつかの友達だ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
亞尼アンニーこゝろこゝろでなく、いそ私共わたくしどもいへかへつてたものゝ、如何どうすること出來できません、明瞭あからさまへば、そのくびぶばかりではなく、私共わたくしども一家いつかにも、何處どこからかおそろしい復讐あだうちるものとしんじて
それでも、たれもが、御老體ごらうたいすくはれたごとくにかんじて、こと/″\前者ぜんしや暴言ばうげんうらんだ。——ところで、その鐵棒かなぼうをついたでこがとふと、みぎ禪門ぜんもん一家いつか、……どころか、せがれなのだからおもしろい。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
列座れつざ方々かた/″\、いづれもかね御存ごぞんじのごとく、それがし勝手かつて不如意ふによいにて、すで先年せんねん公義こうぎより多分たぶん拜借はいしやくいたしたれど、なか/\それにて取續とりつゞかず、此際このさい家政かせい改革かいかくして勝手かつてとゝのまをさでは、一家いつかつひあやふさふらふ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きのこだからえるとつて、むしつてはて、むしつてはてたので、やがてえうんで、一家いつか何事なにごとさはりもなかつた——鐵心銷怪てつしんくわいをけすえらい!……と編者へんじやめてる。わたしわらはれても仕方しかたがない。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)