きびし)” の例文
旧字:
一斉に彼のおもてを注視せし風早と蒲田とのまなこは、更に相合うていかれるを、再び彼方あなたに差向けて、いとどきびし打目戍うちまもれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
能登では、産婦のまだ七十五日を過ぎないものを、(あの姉さんは、まだ小屋のうち、)と言う習慣ならわしのあるくらい、黒島の赤神しゃくじん赤神様あかがみさまと申して荒神あらがみで、きびしく不浄を嫌わるる。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは或時宗右衛門が家庭のチランとして大いに安を虐待して、五百のきびしい忠告を受け、涙を流して罪を謝したことがあって、それからのちは五百の前にうなじを屈したのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
狂ひ出でんずる息をきびしく閉ぢて、もゆるばかりにいかれるまなこは放たず名刺を見入りたりしが、さしも内なる千万無量の思をつつめる一点の涙は不覚にまろでぬ。こは怪しと思ひつつも婆は
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わし師匠ししやうきびしかつたし、きやう身体からだぢや、はださへいだことはついぞおぼえぬ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「実際、きびしいな。」
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)