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踞
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しやが
ふりがな文庫
“
踞
(
しやが
)” の例文
泥濘
(
ぬかるみ
)
を
捏返
(
こねかへ
)
したのが、
其
(
そ
)
のまゝ
乾
(
から
)
び
着
(
つ
)
いて、
火
(
ひ
)
の
海
(
うみ
)
の
荒磯
(
あらいそ
)
と
云
(
い
)
つた
處
(
ところ
)
に、
硫黄
(
ゆわう
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けて、
暑苦
(
あつくる
)
しい
黒
(
くろ
)
い
形
(
かたち
)
で
踞
(
しやが
)
んで
居
(
ゐ
)
るんですが。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
三吉は三升樽をブラ下げて、
艫
(
とも
)
に
踞
(
しやが
)
みました。五十六七、すつかり
月代
(
さかやき
)
が色付いて、鼻も眼も口も
萎
(
しな
)
びた、
剽輕
(
へうきん
)
な感じのする親爺です。
銭形平次捕物控:040 兵庫の眼玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
薄野呂奴
(
うすのろめ
)
。もうあそこに墓が見えてるぢやねえか。
袈裟
(
けさ
)
を着た坊主が
踞
(
しやが
)
んでるやうな恰好をしてよ。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
その
貌
(
かほ
)
の向いた方の少し先の畑で、子供が一人
踞
(
しやが
)
んで居たがやがて女の方へ走り出した。夕日はもう裏手の山へかくれて居た。向の山は頂が少しあかるいばかり、全体が黒ずんで来た。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
踞
(
しやが
)
んで居たる四十
恰好
(
かつかう
)
の男
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
この
雫
(
しづく
)
に、
横頬
(
よこほゝ
)
を
打
(
う
)
たれて、
腕組
(
うでぐみ
)
をして、ぬい、と
立
(
た
)
つたのは、
草鞋
(
わらぢ
)
を
吊
(
つ
)
つた
店
(
みせ
)
の
端近
(
はぢか
)
に
踞
(
しやが
)
んだ
山漢
(
やまをとこ
)
の
魚売
(
うをうり
)
で。三
枚
(
まい
)
の
笊
(
ざる
)
に
魚鱗
(
うろこ
)
が
光
(
ひか
)
つた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
江戸開府以來と言はれた名御用聞、錢形平次ともあらう者が、早春の庭に
踞
(
しやが
)
んで、この勤勉な
昆蟲
(
こんちう
)
の活動を眺めて居たのです。
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
貌
(
かほ
)
の向いた方の少し先の畑で、子供が一人
踞
(
しやが
)
んで居たがやがて女の方へ走り出した。夕日はもう裏手の山へかくれて居た。向の山は頂が少しあかるいばかり、全體が黒ずんで來た。
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
などと、
猫撫聲
(
ねこなでごゑ
)
で、
仰向
(
あふむ
)
けにした
小兒
(
こども
)
の
括頤
(
くゝりあご
)
へ、
動
(
いぶ
)
りをくれて
搖上
(
ゆりあ
)
げながら、
湯船
(
ゆぶね
)
の
前
(
まへ
)
へ、ト
腰
(
こし
)
を
拔
(
ぬ
)
いた
體
(
てい
)
に、べつたりと
踞
(
しやが
)
んだものなり。
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ガラツ八の八五郎がヌツと入ると、見通しの縁側に
踞
(
しやが
)
んで、朝の煙草にして居る平次は、氣の無い顏を振り向けるのでした。
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
次
(
つぎ
)
の
婦
(
をんな
)
は、
腰
(
こし
)
から
其
(
そ
)
の
影
(
かげ
)
を
地
(
つち
)
へ
吸込
(
すひこ
)
まれさうに、
悄乎
(
しよんぼり
)
と
腰
(
こし
)
をなやして
踞
(
しやが
)
む……
鬢
(
びん
)
のはづれへ、ひよろりと
杖
(
つゑ
)
の
尖
(
さき
)
が
抽
(
ぬ
)
けて
青
(
あを
)
い。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
友次郎は少し獅子ツ鼻をうごめかし氣味に、下水の端つこに
踞
(
しやが
)
んだ八五郎の、あまり賢こくなささうな顏を見上げました。
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
搜
(
さが
)
さう、
尋
(
たづ
)
ねようと
思
(
おも
)
ふ
前
(
まへ
)
に、
土塀
(
どべい
)
に
踞
(
しやが
)
んで
砂利所
(
じやりどころ
)
か、
石垣
(
いしがき
)
でも
引拔
(
ひきぬ
)
いて、
四邊
(
あたり
)
八方
(
はつぱう
)
投附
(
なげつ
)
けるかも
分
(
わか
)
らなかつたんです。……
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次は庭下駄を突つかけて降りると、足跡を踏まないやうに死骸に近づき、
踞
(
しやが
)
んだまゝそつと死骸の顏を覗きました。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
道中
(
だうちう
)
つかひ
古
(
ふる
)
しの
蟹目
(
かにめ
)
のゆるんだ
扇子
(
あふぎ
)
では
峠下
(
たふげした
)
の
木戸
(
きど
)
へ
踞
(
しやが
)
んで、
秋田口
(
あきたぐち
)
の
観光客
(
くわんくわうきやく
)
を——
入
(
い
)
らはい、と
口上
(
こうじやう
)
を
言
(
い
)
ひさうで、
照覧
(
せうらん
)
あれは
事
(
こと
)
をかしい。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次は榮吉の心持を落着かせるつもりでせう、疊の上に
踞
(
しやが
)
んだまゝ、靜かな調子で斯う訊ねるのでした。
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……
馴染
(
なじみ
)
なる
雀
(
すゞめ
)
ばかりで
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けた。
金魚
(
きんぎよ
)
を
買
(
か
)
つた
小兒
(
こども
)
のやうに、
乘
(
の
)
しかゝつて、
踞
(
しやが
)
んで
見
(
み
)
ると、
逃
(
に
)
げたぞ!
畜生
(
ちくしやう
)
、
唯
(
たゞ
)
の
一匹
(
いつぴき
)
も、
影
(
かげ
)
も
形
(
かたち
)
もなかつた。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「それを知つた主人の五郎次は、そつと追つかけて行つて、
背後
(
うしろ
)
から脇差で突いて殺した。
踞
(
しやが
)
んで居るところをやられたから、香之助の傷は腰から胸へ突き上げた」
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
婦
(
をんな
)
は、と
見
(
み
)
ると、
其
(
それ
)
は、
夥間
(
なかま
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
くらしく、
踞
(
しやが
)
んだなりに、くるりと
此方
(
こつち
)
に
向直
(
むきなほ
)
つた、
帶
(
おび
)
も
膝
(
ひざ
)
も、くな/\と
疊
(
たゝ
)
まれさうなが、
咽喉
(
のど
)
のあたりは
白
(
しろ
)
かつた。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は裏木戸の外の一寸人目につかぬ物蔭に
踞
(
しやが
)
むと、泥と血に
塗
(
まみ
)
れた、
匕首
(
あひくち
)
を一
口
(
ふり
)
持つて來ました。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「をかしな
奴
(
やつ
)
が
一人
(
ひとり
)
、
此方側
(
こちらがは
)
の
土塀
(
どべい
)
の
前
(
まへ
)
に、
砂利
(
じやり
)
の
上
(
うへ
)
に
踞
(
しやが
)
みましてね、
通
(
とほ
)
るものを
待構
(
まちかま
)
へて
居
(
ゐ
)
るんです。」
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次は不思議な空氣の壓迫を感じながら板の間に
踞
(
しやが
)
みました。南の奉行所を追はれたお美乃は、最後の頼みの錢形平次を訪ねて、お勝手口から肩身狹く入つたのでせう。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宝塔
(
ほうたふ
)
の
如
(
ごと
)
きに
接
(
せつ
)
した
時
(
とき
)
は、
邪気
(
じやき
)
ある
凡夫
(
ぼんぷ
)
は、
手足
(
てあし
)
もすくんでそのまゝに
踞
(
しやが
)
んだ
石猿
(
いしざる
)
に
化
(
な
)
らうかとした。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
してゐた場所——その流しの中へ入つて、盥の前へ
踞
(
しやが
)
んでくれ、皆んな井戸端から離れるのだ。——俺は叔母さんがゐたあたり、窓とはあべこべの方に斯う
盥
(
たらひ
)
の中に手を
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は病人の枕元に
踞
(
しやが
)
むと、柄にもなく脈などを取りました。痩せてはゐるが美しい腕です。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今度
(
こんど
)
は
目
(
め
)
は
眩
(
くら
)
まない。
背後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
も
見
(
み
)
えるから、
振返
(
ふりかへ
)
つて
背後
(
うしろ
)
を
見
(
み
)
ると、
娘
(
むすめ
)
は
何故
(
なぜ
)
か、
途中
(
みち
)
へ
踞
(
しやが
)
んでて
動
(
うご
)
かない。
而
(
さう
)
して
横腹
(
よこばら
)
を
抱
(
かゝ
)
へながら、もう
止
(
よ
)
しておくれ/\と
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
八五郎は取散らした自分の二階へ案内するよりはと思つた樣子で、狹い店先に
踞
(
しやが
)
みました。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
上
(
うへ
)
は
大屋根
(
おほやね
)
の
廂
(
ひさし
)
ぐらゐで、
下
(
した
)
は、
然
(
さ
)
れば
丁
(
ちやう
)
ど
露地裏
(
ろぢうら
)
の
共同水道
(
きやうどうすゐだう
)
の
處
(
ところ
)
に、よその
女房
(
かみ
)
さんが
踞
(
しやが
)
んで
洗濯
(
せんたく
)
をして
居
(
ゐ
)
たが、
立
(
た
)
つと
其
(
そ
)
の
頭
(
あたま
)
ぐらゐ、と
思
(
おも
)
ふ
處
(
ところ
)
を、スツ/\と
浮
(
う
)
いて
通
(
とほ
)
る。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
妹のお梅は、提灯の灯から遠く、ぼろをつくねたやうに
踞
(
しやが
)
んだまゝ泣き濡れて居ります。
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おい
來
(
き
)
た。」と
氣輕
(
きがる
)
に
踞
(
しやが
)
む、
其
(
そ
)
の
男
(
をとこ
)
の
肩
(
かた
)
へ、づかと
遣
(
や
)
ると、
忽
(
たちま
)
ち
怒
(
おこ
)
つた。
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「椽側の外の
手水鉢
(
てうづばち
)
の前へ
踞
(
しやが
)
んで、
柄杓
(
ひしやく
)
を取つたところを、下から突き上げられたのだ」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この邊を持場にしてゐる石原の利助の子分達に挨拶されながら、平次と八五郎は、死骸を引場げてある、
河岸
(
かし
)
の石疊の上に
踞
(
しやが
)
み込んで、わびしくも上へ掛けた、
荒筵
(
あらむしろ
)
を剥ぎました。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
源吉は物馴れた調子で疊みかけ乍ら、縛られた金次郎の前に
踞
(
しやが
)
みました。
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
要屋山右衞門はたうとう古道具屋の
筵
(
むしろ
)
の前に
踞
(
しやが
)
み込んでしまひました。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのガラクタの中に、八五郎は僅かの
隙間
(
すきま
)
を見付けて
踞
(
しやが
)
みました。と間もなく二階に灯が入つて、下には少し
權柄
(
けんぺい
)
づくの人聲、それは、
昨夜
(
ゆうべ
)
も此處へ訪ねて來た、旗本大野田仁左衞門がたつた一人
銭形平次捕物控:294 井戸端の逢引
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
川岸つぷちに
踞
(
しやが
)
んで、平次は頭から浴びせました。
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
踞
漢検1級
部首:⾜
15画
“踞”を含む語句
蹲踞
蟠踞
盤踞
踞込
踞坐
踞居
跪踞
虎踞
蹲踞込
前踞
蹯踞
踞跼
踞牀
踞座
跑踞
胡踞
箕踞
崛踞
屈踞