“踞(きょ)” の例文
彼は今朝尋ねたりし阿園が縊(くび)れたる死骸(しがい)を見しなり、げに昨夜家を出て、六地蔵堂の松樹に縊れし阿園は、今その家の敷居に踞(きょ)して※(すす)れる里方の両親の面前に
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
その状坐して金嚢を把(と)り、かえって小牀(しょうしょう)に踞(きょ)し、一脚地に垂(た)る。毎(つね)に油を以て拭(ぬぐ)い、黒色形を為(な)し、莫訶歌羅(マハーカーラ、大神王の義)という。すなわち大黒神なり。
喜べば則ち花開き鳥下る処、悲めば則ち木落ち風行く処、平和なれば則ち水草蕾(つぼみ)黄にして佳人足を濯(あら)ふ処、不平なれば則ち乞児(きつじ)巌頭に踞(きょ)して遥に金紋先箱大鳥毛の行列を瞰(にら)む処。
病牀譫語 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
しかして身は田閭(でんりょ)に帰り、茅屋(ぼうおく)に住し、掌大の田園を耕し、開散みずから安んずるもののごとし。おりしも氏は竈辺(そうへん)に踞(きょ)し蕪菁(ぶせい)を煮つつありたるに敵国の使者来たり巧言もって黄金を贈る。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
みの亀(がめ)の尾(お)ひきたるごとき者、臥(ふ)したる牛の首あげたるごとき者あり、月島星島桂島(かつらじま)、踞(きょ)せるがごときが布袋島(ほていじま)なら立てるごときは毘沙門島(びしゃもんじま)にや、勝手に舟子(かこ)が云いちらす名も相応に多かるべし。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この小房の縁に踞(きょ)して前栽に対する時は誰でも一種特異の気分が湧く。