うづくま)” の例文
何だか私は今頃貴方が冷い御飯に水をかけてお塩をかけて、埃りだらけの布団の隅にうづくまつて食べて被入る様な気がしてなりません。さうですか? 私は見たい。
獄中の女より男に (新字旧仮名) / 原田皐月(著)
うみおもて瀧壺たきつぼのやうに泡立あわだつて、ひどいもひどくないも、わたくし少年せうねんとは、あたまかゝへて、ていそこうづくまつてしまつたが、其爲そのために、昨夜さくや海水かいすいひたされて、いまやうやかわきかけてつた衣服きもの
それから少し経て、チッチッといふ音がすると、パッと火が現はれて、彼は一ツの建物の中の土間にうづくまつてゐて、マッチを擦つて提灯の蝋燭に火を点じやうとして居るのであつた。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
つかもりえのきに、線香せんかうけむりあはち、こけいしやしろには燈心とうしんくらともれ、かねさらこだまして、おいたるはうづくまり、をさなきたちはつどふ、やまかひなるさかひ地藏ぢざうのわきには、をんなまへいて
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
屹度きつとつてはれるにしてもあといてくのでなくては勘次かんじには不安ふあんたまらないのである、さうしてかれはぽつさりと玄關げんくわんうづくまつてつてることがせめてもの氣安きやすめであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)