トップ
>
踞
>
つくば
ふりがな文庫
“
踞
(
つくば
)” の例文
火鉢の向うに
踞
(
つくば
)
って、その
法然天窓
(
ほうねんあたま
)
が、火の気の少い灰の上に冷たそうで、
鉄瓶
(
てつびん
)
より低い
処
(
ところ
)
にしなびたのは、もう七十の
上
(
うえ
)
になろう。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
左衛門尉は馬に乗つて
遣
(
や
)
つて来た。石黒氏は
阿父
(
おとつ
)
さんに催促せられて慌てて頭を下げてゐた。左衛門尉は自分の前に
茸
(
きのこ
)
のやうに
踞
(
つくば
)
つてゐるこの二人に目をつけた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
畢竟
(
ひつきよう
)
彼は何等の害をも加ふるにあらざれば、犬の寝たると
太
(
はなは
)
だ
択
(
えら
)
ばざるべけれど、
縮緬
(
ちりめん
)
の
被風
(
ひふ
)
着たる人の形の
黄昏
(
たそが
)
るる門の薄寒きに
踞
(
つくば
)
ひて、灰色の
剪髪
(
きりがみ
)
を
掻乱
(
かきみだ
)
し、
妖星
(
ようせい
)
の光にも似たる
眼
(
まなこ
)
を
睨反
(
ねめそら
)
して
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
なぜか、
葬礼
(
とむらい
)
の式に
列
(
つらな
)
ったようで、二人とも多く口数も利かなかったが、やがて
煙草
(
たばこ
)
も
喫
(
の
)
まないで、小松原は
踞
(
つくば
)
った正吉を顧みて
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手品師は真赤になつて畳の上に
這
(
は
)
ひ
踞
(
つくば
)
つた。額からは油汗がたら/\と流れた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
例の物見高き町中なりければ、この
忙
(
せはし
)
き
際
(
きは
)
をも忘れて、
寄来
(
よりく
)
る
人数
(
にんず
)
は
蟻
(
あり
)
の甘きを探りたるやうに、一面には遭難者の土に
踞
(
つくば
)
へる
周辺
(
めぐり
)
を擁し、一面には婦人の左右に
傍
(
そ
)
ひて、目に物見んと
揉立
(
もみた
)
てたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
私と
袖
(
そで
)
を合わせて立った、
橘
(
たちばな
)
八郎が、ついその番傘の下になる……
蜆
(
しじみ
)
の
剥身
(
むきみ
)
の
茹
(
ゆだ
)
ったのを笊に盛って
踞
(
つくば
)
っている
親仁
(
おやじ
)
に言った。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると狸はその
儘
(
まゝ
)
気絶をするか、さもなければ
這
(
は
)
ひ
踞
(
つくば
)
つて
屹度
(
きつと
)
謝罪をする。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
一人
(
ひとり
)
が
踞
(
つくば
)
つて、
小
(
ちひ
)
さいのが
腰
(
こし
)
を
探
(
さぐ
)
つたがない。ぼろを
着
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
る、
汚
(
きたな
)
い
衣服
(
きもの
)
で、
眼垢
(
めあか
)
を、アノせつせと
拭
(
ふ
)
くらしい、
兩方
(
りやうはう
)
の
袖
(
そで
)
がひかつてゐた。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あまり
倦
(
う
)
みたれば、一ツおりてのぼる坂の
窪
(
くぼみ
)
に
踞
(
つくば
)
いし、手のあきたるまま何ならむ指もて土にかきはじめぬ。さという字も出来たり。くという字も書きたり。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あまり
倦
(
う
)
みたれば、一ツおりてのぼる坂の
窪
(
くぼみ
)
に
踞
(
つくば
)
ひし、手のあきたるまま
何
(
なに
)
ならむ指もて土にかきはじめぬ。さといふ字も出来たり。くといふ字も書きたり。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
松の根に
踞
(
つくば
)
いて、籠のなかさしのぞく。この
茸
(
きのこ
)
の数も、
誰
(
た
)
がためにか獲たる、あわれ摩耶は市に帰るべし。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時、
切髪
(
きりかみ
)
の
白髪
(
しらが
)
になって、犬のごとく
踞
(
つくば
)
ったが、柄杓の柄に、
痩
(
や
)
せがれた手をしかとかけていた。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
衣紋
(
えもん
)
を直したと思うと、はらりと気早に立って、
踞
(
つくば
)
った
婢
(
おんな
)
の髪を、袂で払って、もう居ない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
身体
(
からだ
)
がどうにかなってるようで、すっと立ち切れないで
踞
(
つくば
)
った、
裙
(
すそ
)
が足にくるまって、帯が少し
弛
(
ゆる
)
んで、胸があいて、うつむいたまま
天窓
(
あたま
)
がすわった。ものがぼんやり見える。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこに、
就中
(
なかんずく
)
巨大なる杉の根に、揃って、
踞
(
つくば
)
っていて、いま一度に立揚ったのであるが、ちらりと見た時は、下草をぬいて燃ゆる
躑躅
(
つつじ
)
であろう——また人家がある、と
可懐
(
なつか
)
しかった。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
では、
汽車
(
きしや
)
の
中
(
なか
)
に
一人
(
ひとり
)
踞
(
つくば
)
つて、
真夜中
(
まよなか
)
の
雨
(
あめ
)
の
下
(
した
)
に、
鍋
(
なべ
)
で
饂飩
(
うどん
)
を
煮
(
に
)
る
形
(
かたち
)
は
何
(
なん
)
だ? ……
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さきより
踞
(
つくば
)
いたる
頭
(
かしら
)
次第に垂れて、芝生に片手つかんずまで、打沈みたりし女の、この時ようよう顔をばあげ、いま更にまた瞳を定めて、他のこと思いいる、わが顔、
瞻
(
みまも
)
るよと覚えしが
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婆さんは言って、蚊遣を
煽
(
あお
)
ぐ団扇の手を留めて、その柄を
踞
(
つくば
)
った膝の上にする。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
裾に
絡
(
から
)
めば
踞
(
つくば
)
いて
頸
(
うなじ
)
を
撫
(
な
)
で、かの
紙片
(
かみきれ
)
を畳みて
真鍮
(
しんちゅう
)
の
頸輪
(
くびわ
)
に結び附け
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とまた息
吐
(
つ
)
きつつ、
落胆
(
がっかり
)
したる
顔色
(
かおつき
)
して、ゆるやかに
踞
(
つくば
)
いたり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
踞
漢検1級
部首:⾜
15画
“踞”を含む語句
蹲踞
蟠踞
盤踞
踞込
踞坐
踞居
跪踞
虎踞
蹲踞込
前踞
蹯踞
踞跼
踞牀
踞座
跑踞
胡踞
箕踞
崛踞
屈踞