“踞(うづく)” の例文
「馬車が出ます/\」と、炉火(ろくわ)を擁(よう)して踞(うづく)まりたる馬丁(べつたう)の濁声(だみごゑ)、闇の裡(うち)より響く「吉田行も、大宮行も、今ま直(すぐ)と出ますよ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
主人の大澤彦四郎、外から歸つて來ると、自分の家の前に、踞(うづく)まつて苦しんでゐる、一人の若い女を見かけたのです。
七平は縁側の端つこへ出て、月の射し入る中に小さく踞(うづく)まりました。怪奇な男ですが、それだけに物事に熱心さうで、平次の方が反つて引入れられます。
最初は正體もつかめませんでしたが、それはやがて、若い女の踞(うづく)まる姿で、八五郎のすぐ目の前に、何やら掻き抱いて、身に迫る、死の焔を待つてゐるのです。
この激しいが、一瞬(しゆん)で片付いた爭ひが濟むと、障子の外には下男の猪之吉が、縁側の下にはお縫の義兄の門太郎が、踞(うづく)まつて涙にひたつて居るのが見付かりました。
平次は縁側に踞(うづく)まつたまゝ、岡つ引とも見えぬ、秀麗な顏を擧げました。笹野新三郎には、重々世話になつて居る平次、今更頼むも頼まれるも無い間柄だつたのです。
お樂は漸(やうや)く涙ををさめて、三人を奧へ案内しました。幸ひ入棺(にふくわん)したばかり白布を取つて蓋(ふた)を拂ふと、早桶の中に、洗ひ淨(きよ)められたお菊の死骸が、深々と踞(うづく)まつて居ります。
すつかり窶(やつ)れ果てて、冥土(あのよ)から來た幽鬼(いうき)のやうに、物をも食はずにうめき續け、お濱はすつかり怯(おび)え切つて、部屋の隅に踞(うづく)まつたまま、涙も涸(か)れさうに泣いてゐるのです。
底冷のする梅二月、宵と言つても身を切られるやうな風が又左衞門の裸身を吹きますが、すつかり煙に咽(む)せ入つた又左衞門は、流しに踞(うづく)まつたまゝ、大汗を掻いて咳入(せきい)つて居ります。
家の中を突き拔けて裏口へ出ると、井戸端に何やら踞(うづく)まるもの。