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踞
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しゃが
ふりがな文庫
“
踞
(
しゃが
)” の例文
笏は、何ごとかを言おうとしたが、童子はものをも言わずに
踞
(
しゃが
)
み込んだが、すぐ
一抹
(
いちまつ
)
の水煙を立てると、その水田の中へ飛び込んだ。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
三吉は三升
樽
(
だる
)
をブラ下げて、艪に
踞
(
しゃが
)
みました。五十六七、すっかり
月代
(
さかやき
)
が色付いて、鼻も眼も口も
萎
(
しな
)
びた、
剽軽
(
ひょうきん
)
な感じのする親爺です。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
(みづから
天幕
(
テント
)
の中より、
燭
(
とも
)
したる
蝋燭
(
ろうそく
)
を
取出
(
とりい
)
だし、
野中
(
のなか
)
に黒く立ちて、高く手に
翳
(
かざ
)
す。一の烏、三の烏は、二の烏の
裾
(
すそ
)
に
踞
(
しゃが
)
む。)
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お仙は外に背中を向けて豆を
挽
(
ひ
)
いている。野袴をつけた若者が二人、畠の道具を門口へ転がしたまま、
黒燻
(
くろくすぶ
)
りの
竈
(
かまど
)
の前に
踞
(
しゃが
)
んで煙草を
喫
(
の
)
んでいる。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
刑事たちは、目をパチクリさせて地面に
踞
(
しゃが
)
むと、その錆びた釘を退けて、太い
箸
(
はし
)
をつっこんだ程の
縦穴
(
たてあな
)
を
覗
(
のぞ
)
きこんだ。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
それを私は、家の前の桜の木の根元に
踞
(
しゃが
)
んで、どんなに
羨
(
うらや
)
ましい、そしてどんなに悲しい気持ちで眺めたことか。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
糊と皮の匂がぷんぷんしている開け放しの靴店では、亭主が中腰に
踞
(
しゃが
)
んで燈明の光りで靴を縫い合せ乍ら、喉一杯の声を張り上げて土語の歌を唱って居た。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
もし、何かの原因で自然発射がされたとすれば、壁面と平行に、隅の騎馬装甲へ
打衝
(
ぶつか
)
らなきゃならんよ。きっと犯人は、
踞
(
しゃが
)
んでこの弩を引いたに違いないんだ
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
写真をとるという時、前列に
踞
(
しゃが
)
んだ芸者が、裾を泥にしまいと気にして、度々居ずまいをなおした。
百花園
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
藍丸王が側に来て
踞
(
しゃが
)
んだのを見るや否や、皺の間から大きな皿のような眼と、真赤な口をパッと開いてゲラゲラと笑ったと思うと、それを相図に他の三人は一度に立ち上って
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
乃公が
隣家
(
となり
)
の天水桶の後に
踞
(
しゃが
)
んでいると、馬車が一台そろそろやって来た。此れだなと思うと、今度は姉さんが裏の方から出て来た。外套も着ていなければ、鞄も持っていない。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
孝助は
此奴等
(
こいつら
)
は
徒党
(
ととう
)
したのではないかと、
透
(
すか
)
して向うを見ると、
溝
(
どぶ
)
の
縁
(
ふち
)
に今一人
踞
(
しゃが
)
んで居るから、孝助は
予
(
か
)
ねて殿様が教えて下さるには、
敵手
(
あいて
)
の大勢の時は
慌
(
あわ
)
てると怪我をする
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「靴擦れで足が痛え——」ひょいと
踞
(
しゃが
)
み乍ら力任せに為吉は刑事の脚を
浚
(
さら
)
った。
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
瀕死
(
ひんし
)
の重傷者を寝台の上に運ぶわけには行かなかったからである。そうして、負傷者の両側に
踞
(
しゃが
)
んだまま、顔見合せて黙り込んでいたが、やがて、新一はふと気づいたように口を開いた。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
或いは
目隠
(
めかく
)
しをさせ、もしくは顔を両手で
掩
(
おお
)
わせて、正面に
踞
(
しゃが
)
んだ児を誰さんと、いわせることにしていたかとも思われる。鹿児島県の
田舎
(
いなか
)
などでは、それでこの遊戯をマメエダレとも呼んでいた。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
タヌは長い夜の探検に疲れたとみえ、草の上に
踞
(
しゃが
)
み込んでいたが声に応じて門のそばまで進み寄って、マッチをすり、手探りをしいろいろ工風を
凝
(
こら
)
しているふうだったが、間もなくすぐもどって来た。
ノンシャラン道中記:03 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
何だか
独言
(
ひとりごと
)
のように言って聞かせて、
錆茶釜
(
さびちゃがま
)
に
踞
(
しゃが
)
んで、ぶつぶつ
遣
(
や
)
るたびに、黒犬の背中を
擦
(
さす
)
ると、犬が、うううう、ぐうぐうと遣る。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「その通りだよ兄哥、矢は上向きに突っ立っている、——
踞
(
しゃが
)
んだところを後ろからやられなきゃ、こんな工合になるわけはねえ」
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私の行った時は、叔父は黒無地の着物に白い
巻帯
(
まきおび
)
をしめ、表の
縁端
(
えんはし
)
に
踞
(
しゃが
)
んで
盆栽
(
ぼんさい
)
の手入れをしていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
丈助は横着者ですから刀を抜いたなり息を殺して
踞
(
しゃが
)
んで居りましたが、
盲人
(
めくら
)
の哀しさに
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
闇の中にじっと
踞
(
しゃが
)
んでいると、靴の底から寒さが這い上って来る。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
藤さんが池のそばに
踞
(
しゃが
)
んでいて
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
蘆の中に、色の白い
痩
(
や
)
せた
嫗
(
おうな
)
、
高家
(
こうけ
)
の後室ともあろう、品の
可
(
い
)
い、目の赤いのが、
朦朧
(
もうろう
)
と
踞
(
しゃが
)
んだ手から、
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
かと見る糸
一条
(
ひとすじ
)
。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
江戸開府以来と言われた名御用聞、銭形平次ともあろう者が、早春の庭に
踞
(
しゃが
)
んで、この勤勉な昆虫の活動を眺めていたのです。
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
踞
(
しゃが
)
んで休むのは身は楽だけれども、憩うにも、人を待つにも、形が見っともない、と
別嬪
(
べっぴん
)
の
朋友
(
ともだち
)
に、むかし叱られた覚えがある。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時々は死体の前に
踞
(
しゃが
)
んで、懐から出した半紙横綴の帳面に矢立の筆を抜いて——細雨をかばい乍ら、写生の筆を走らせました。
芳年写生帖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
胡桃
(
くるみ
)
の根附を、紺小倉のくたびれた帯へ挟んで、
踞
(
しゃが
)
んで掌を合せたので、旅客も引入れられたように、夏帽を取って立直った。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ガラッ八の八五郎がヌッと入ると、見通しの縁側に
踞
(
しゃが
)
んで、朝の煙草にしている平次は、気のない顔を振り向けるのでした。
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その時きゃっきゃっと
高笑
(
たかわらい
)
、靴をぱかぱかと
傍
(
わき
)
へ
外
(
そ
)
れて、どの店と見当を着けるでも無く、脊を
屈
(
かが
)
めて
蹲
(
うずくま
)
った婆さんの
背後
(
うしろ
)
へちょいと
踞
(
しゃが
)
んで
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
友次郎は少し
獅子
(
しし
)
ッ
鼻
(
ぱな
)
をうごめかし気味に、下水の端っこに
踞
(
しゃが
)
んだ八五郎の、あまり賢くなさそうな顔を見上げました。
銭形平次捕物控:013 美女を洗い出す
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
直ぐそれから、池の石橋を一つ、楽屋口へ行くと、
映山紅
(
つつじ
)
、桜の根に、立ったり
踞
(
しゃが
)
んだり、六七人むくむくと皆動いて出た。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手の空いて居る足の勇を促して、公園の闇に
踞
(
しゃが
)
むというのは千種十次郎ほどの顔になれば容易の事ではありません。
踊る美人像
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
さあ、誰ぞ来てやってくれ、ちっと
踞
(
しゃが
)
まねえじゃ、筋張ってしょ事がない、と
小半時
(
こはんとき
)
でまた理右衛門
爺
(
じい
)
さまが潜っただよ。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
泥棒の拵えた穴の前に
踞
(
しゃが
)
んで、
頻
(
しき
)
りと中を覗いているのは、先ほど八五郎に事件を教えてくれた下男の釜吉です。
銭形平次捕物控:041 三千両異変
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ギックリやりますし、その方は
蝦蟇口
(
がまぐち
)
を口に、忍術の一巻ですって、
蹴込
(
けこみ
)
へ
踞
(
しゃが
)
んで、頭までかくした
赤毛布
(
あかげつと
)
を段々に、
仁木弾正
(
にっきだんじよう
)
で
糶上
(
せりあが
)
った処を
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は裏木戸の外のちょっと人目につかぬ物蔭に
踞
(
しゃが
)
むと、泥と血に
塗
(
まみ
)
れた、
匕首
(
あいくち
)
を
一振
(
ひとふり
)
持って来ました。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
梅と柳の間を
潜
(
くぐ
)
って、酒井はその竹垣について曲ると、処がら何となく羽織の背の
婀娜
(
あだ
)
めくのを、
隣家
(
となり
)
の背戸の、低い石燈籠がト
踞
(
しゃが
)
んだ形で
差覗
(
さしのぞ
)
く。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は不思議な空気の圧迫を感じながら板の間に
踞
(
しゃが
)
みました。南の奉行所を追われたお美乃は、最後の頼みの銭形平次を訪ねて、お勝手口から肩身狭く入ったのでしょう。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
廉平は
砥
(
と
)
に似て
蒼
(
あお
)
き
条
(
すじ
)
のある
滑
(
なめら
)
かな一座の岩の上に、海に面して見すぼらしく
踞
(
しゃが
)
んだ、身にただ
襯衣
(
しゃつ
)
を
纏
(
まと
)
えるのみ。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黒い影がようやく穴の口に近づくと、要心深く
踞
(
しゃが
)
んで、泥棒龕灯を古井戸の底へ差向けました。
銭形平次捕物控:049 招く骸骨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
実際、其処に
踞
(
しゃが
)
んだ、胸の
幅
(
はば
)
、
唯
(
ただ
)
、一尺ばかりの
間
(
あいだ
)
を、
故
(
わざ
)
とらしく泳ぎ
廻
(
まわ
)
って、これ見よがしの、ぬっぺらぼう!
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は病人の枕元に
踞
(
しゃが
)
むと、柄にもなく脈などを取りました。
痩
(
や
)
せてはいるが美しい腕です。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
衝
(
つ
)
と身を起こして追おうとすると、
奴
(
やっこ
)
は
駈出
(
かけだ
)
した
五足
(
いつあし
)
ばかりを、一飛びに跳ね返って、ひょいと
踞
(
しゃが
)
み、立った女房の
前垂
(
まえだれ
)
のあたりへ、円い
頤
(
あご
)
、
出額
(
おでこ
)
で仰いで
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
八五郎は取散らした自分の二階へ案内するよりはと思った様子で、狭い店先に
踞
(
しゃが
)
みました。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それ
侍女
(
こしもと
)
の気で迎えてやれ。(みずから
天幕
(
テント
)
の中より、
燭
(
とも
)
したる
蝋燭
(
ろうそく
)
を取出だし、野中に黒く立ちて、高く手に
翳
(
かざ
)
す。一の烏、三の烏は、二の烏の
裾
(
すそ
)
に
踞
(
しゃが
)
む。)
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
妹のお梅は、提灯の灯から遠く、ぼろをつくねたように
踞
(
しゃが
)
んだまま泣き濡れております。
銭形平次捕物控:009 人肌地蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
きりきり激しく
疼
(
いた
)
みます。松によっかかったり、
薄
(
すすき
)
の根へ
踞
(
しゃが
)
んだり……杖を力にして、その(人待石)の処へ来て、
堪
(
たま
)
らなくなって、どたりと腰を落しました。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
源吉は物馴れた調子で畳みかけながら、縛られた金次郎の前に
踞
(
しゃが
)
みました。
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
はじめからその覚悟をすれば、何も冷え通るまで畦に
踞
(
しゃが
)
んでるにも当らず。不断見れば
掌
(
てのひら
)
ほどの、あの踏切田圃を、何に血迷ってたんだか、正気では分りません。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いえ、路地の中にいたのは二三人で、あとは往来に
踞
(
しゃが
)
んでおりました」
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
踞
漢検1級
部首:⾜
15画
“踞”を含む語句
蹲踞
蟠踞
盤踞
踞込
踞坐
踞居
跪踞
虎踞
蹲踞込
前踞
蹯踞
踞跼
踞牀
踞座
跑踞
胡踞
箕踞
崛踞
屈踞