くぐま)” の例文
背を刺すような日表ひなたは、蔭となるとさすが秋の冷たさがくぐまっていた。喬はそこに腰を下した。
ある心の風景 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
五十をこしてから空咳からせきがすると云つて寒い時節になると炬燵こたつの中にくぐまつて居た。力のないそれで居て胴中から出る様な咳の音を聞くと、側に居るのが危険であると思はれるのである。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
体縮み脊髄せぼねくぐまった老婆が堂の前で細長い蝋燭ろうそくを売っている。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)