もの)” の例文
髯の薄い、いつもものぐさい風で患者を扱うので、伸子が嫌いな医者が、その日は当番であった。彼は伸子の挨拶に
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
私は今この花を見捨ててぬるのがものうくその花辺に彽徊しつついる内にはしなく次の句が浮んだ。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
今しも壁の掛時計が平常いつもの如く極めて活氣のないものうげな悲鳴をあげて、——恐らく此時計までが學校教師の單調なる生活に感化されたのであらう、——午後の第三時を報じた。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼れの汗で濡れた広い額は丁度雨上りの庭土のように、暗い光りで輝き、濃い眉毛に密接した奥深い眼は、物体の形よりも、むしだその影だけを見つめているように、ものう気であった。
ラ氏の笛 (新字新仮名) / 松永延造(著)
窓に凭れてゐた玄也はにわかに立上つて母と服装みなりを一気に見廻し、次に懐へ手を差入れて何かと衣服を調ととのへ直すやうにしたが——するとその一寸した沈黙の中へ、与里はものうげな顔を横にねかせたまま
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
目をつぶると、もう考えること、それ自身がものうくなって来た。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
緋衣ひごろも大嘴おほはし鸚鵡我を見てまたものうげに眼をとぢにけり
河馬 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
ものうげにまじりきこえぬ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
今しも壁の掛時計が平常いつもの如く極めて活気のないものうげな悲鳴をあげて、——恐らく此時計までが学校教師の単調なる生活に感化されたのであらう、——午後の第三時を報じた。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
中田は、見るともなく周囲へものぐさい目を投げた。
自殺 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
ものうげのさやぎはたはた
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ものうげのさやぎはたはた
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)