“わたくし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ワタクシ
語句割合
80.1%
8.8%
筆者1.8%
円朝1.2%
小生1.2%
作者0.9%
0.6%
私念0.6%
私曲0.6%
野生0.6%
(他:12)3.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ただ今でもあの頃の御熱心だった御噂が、わたくしどもの口から洩れますと、若殿様はいつも晴々はればれと御笑いになって、
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「毎度お訪ね下さるので、かへつてわたくしは迷惑致すのですから、どうか貴方から可然しかるべく御断り下さるやうに」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わたくし、さっき、あなたの胸へ、一生懸命すがり付きましたわね。その時よっく計りましたのよ。ええあなたのお体をね」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「お父様! お願ひでございます。どうか、わたくしをないものと諦めて、わたくしの思ふまゝに、させて下さいませ!」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
事件が一段落だんらくついた後の或る日、筆者わたくし南伊豆みなみいずの温泉場で、はからずも帆村探偵にめぐりあった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その内容については、司令官と中佐と、外に数名の当事者以外には、誰も知らないことで、筆者わたくしも、それ以上、書くことを許されないのである。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
円朝わたくし申上まうしあげまするのはたゞ実地じつちに見ました事をかざりなく
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これ円朝わたくしが全く実地じつちを見てきもつぶしたが、なんとなく可笑味をかしみがありましたから一せきのお話にまとめました。
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これは小生わたくしの父が、眼前まのあたりに見届けたとは申しかねるが、直接にその本人から聞取った一種の怪談で今はむかし文久の頃の事。
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
畫工進み出でゝ、御免なされよ、それは小生わたくしの名にて、伊太利にていふフエデリゴなりと答ふ。
ところで作者わたくしはよくものしり顔に古書の端々を引きあいにもちだすが、これは決して物語の辻褄をあわせるための手段ではない。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
作者わたくしは、の一篇をおおやけにするのに、幾分の躊躇ちゅうちょを感じないわけには行かないのだ。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
申すも異な事に候へども、そもそも始よりわたくし心には何とも思はぬ唯継ただつぐに候へば、夫婦の愛情と申候ものは、十年が間に唯の一度も起り申さず、かへつて憎きあだのやうなる思も致し
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わたくしの持病です」と曾根は答えた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
すべて、私念わたくしといふ陋劣さもしい心があればこそ、人間ひと種々いろいろあし企画たくらみを起すものぢや。罪悪あしきの源は私念わたくし、私念あつての此世の乱れぢや。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「すべて、私念わたくしといふ陋劣さもしい心があればこそ、人間は種々の惡き企畫たくらみを起すものぢや。罪惡の源は私念、私念あつての此世の亂れぢや。可いかな? その陋劣さもしい心を人間の胸から攘ひ淨めて、富めるも賤きも、眞に四民平等の樂天地を作る。それが此教の第一の目的ぢや。解つたぞな?」
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
神楽かぐらだけのことはありしも気味きびよし、それよりは江戸で一二といわるる大寺の脆く倒れたも仔細こそあれ、実は檀徒だんとから多分の寄附金集めながら役僧の私曲わたくし、受負師の手品、そこにはそこのありし由
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
実は檀徒から多分の寄附金集めながら役僧の私曲わたくし、受負師の手品、そこにはそこの有りし由、察するに本堂の彼の太い柱も桶でがな有つたらうなんどと様〻の沙汰に及びけるが、いづれも感応寺生雲塔の釘一本ゆるまず板一枚剥がれざりしには舌を巻きて讚歎し
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
十兵衞さらに気にもとめず、野生わたくしは大工の十兵衞と申すもの、上人様の御眼にかゝり御願ひをいたしたい事のあつてまゐりました、どうぞ御取次ぎ下されまし、とかうべを低くして頼み入るに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
十兵衞満面に笑を含みつゝ米くごとく無暗に頭を下げて、はい、唯、唯と答へ居りしが、願ひを御取上げ下されましたか、あゝ有難うござりまする、野生わたくしうち御来臨おいで下さりますると
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
このうれしいとき——すでに大使命だいしめいをばかたをはつたるいま一個人わたくしことではあるが、わたくし松島海軍大佐まつしまかいぐんたいさむかつて、ひもし、かたりもしたきこと澤山たくさんある。
御存の通り、身命しんめいなき下拙わたくしに御座候へば、死する事は塵埃ぢんあいの如く、明日を頼まぬ儀に御座候間、いづれなり死の妙所を得て、天に飛揚致、御國家の災難を除き申度儀と堪兼候處より、相考居候儀に御座候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
ただ弱小じゃくしょう不忘わたくしごときの筆に当時の模様を巨細に写す力のないことを、私は初めから読者と老人とにお詫びしておきたい。
バルタ わたくしめは、ヂュリエットさま死去しきょことをば、マンチュアの主人方しゅじんがたつたへましたるところ
とほくへはなれてゐいとおほせられましたゆゑ、わたくしはさやういたしました。
小僕わたくしめはこれからお給仕きふじまゐらにゃなりませぬ。
給仕 小僕わたくしぞんじませぬ。
もっともないことはない、いつぞや小勝わたくしが牛込の夜見世を素見ひやかしたら、あッたから見ると、団扇は団扇だが渋団扇でげす、落語家がすててこを踊ッている絵が描いてあるから、いくらだと聴きましたら、値段ねだんがわずかに八厘
随筆 寄席囃子 (新字新仮名) / 正岡容(著)
貴様あなた母の言葉を気にして小妹わたくしを見捨ては不可いけませんよ』とささやき、その手を僕の肩にかけるが早いか僕の左のほおにべたり熱いものが触て一種、花にもまさる香が鼻先をかすめました。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
小妹わたくし何故なぜこんな世の中に生きているのか解らないのよ』と少女むすめがさもさもたよりなさそうに言いました、僕にはこれが大哲学者の厭世論えんせいろんにもまさって真実らしく聞えたが、その先は詳わしく言わないでも了解わかりましょう。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「……ハッ小官わたくしは今すこし負傷兵を片付けましてから……」
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そこでございますて、伯母さん、実に小甥わたくしもこうしてのこのこ上がられるわけじゃないのですが、——御恩になった故叔父様おじさんや叔母さんに対しても、また武男君に対しても、このまま黙って見ていられないのです。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
拙僧わたくしから申しましょう……』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どう致しましてこの老人わたくしは、ご尊父様の時代からずっとずっとお邸内に住居しているものでございますよ」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「いいや、何でごぜエますよ、その、先月あとげつまでは奥様——ウンニャお嬢——ごご御病人様とばあやさんがおいでなさったんで、それからまア老爺わたくしがお留守をいたしておるでごぜエますよ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)