筆者わたくし)” の例文
その内容については、司令官と中佐と、外に数名の当事者以外には、誰も知らないことで、筆者わたくしも、それ以上、書くことを許されないのである。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この彼の好みを良く知っている筆者わたくしに照れたので、彼は思わず微笑したのだろうと思われる
ひとりすまう (新字新仮名) / 織田作之助(著)
筆者わたくしは、恩人ジーキル博士から永い間絶大な恩恵を受けながら、それに対して誠に申し訳ない報いをしてきたが、博士はもう私の身の安全については少しも心配される必要がない
なんかと云って筆者わたくしは、話の最初に於て、安薬やすぐすり効能こうのうのような台辞せりふをあまりクドクドと述べたてている厚顔こうがんさに、自分自身でもくに気付いているのではあるが
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
筆者わたくしは、彼の残した最後の謎に就て、次の様に考えた。それは——恐らく轡川と明日子の最初の交りは、明日子が暴力で辱しめられたのでも無ければ、轡川が明日子に誘惑されたのでも無いだろう。
ひとりすまう (新字新仮名) / 織田作之助(著)
事件が一段落だんらくついた後の或る日、筆者わたくし南伊豆みなみいずの温泉場で、はからずも帆村探偵にめぐりあった。彼は丁度ちょうど事件で疲れた頭脳を鳥渡ちょっとやすめに来ていたところだった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そう筆者わたくしが彼に言うと、彼はすかさず、次の様に答えた。
ひとりすまう (新字新仮名) / 織田作之助(著)
いずれ順序を追って述べてゆくうちにその怪計画の全貌が分る日が来るだろうが、そのときにはきっと筆者わたくしの今いった言葉のいつわりではなかったことを知っていただけるであろう。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
筆者わたくしは簡単にしゃべると断って置きながら、「岩」一味の説明に大変手間どってしまった。
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そういって帆村は、何か恐ろしいことでも思い出したらしく、大きい溜息をつくと、ビールを口にもっていって、琥珀色こはくいろの液体をグーッとした。筆者わたくしびんをとりあげると、静かにいでやった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それについて筆者わたくしは、次に短い紹介しょうかいをして置きたいと思う。
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)