野生わたくし)” の例文
何所いづくより何の用事で見えられた、と衣服みなりの粗末なるにはや侮り軽しめた言葉遣ひ、十兵衞さらに気にもとめず、野生わたくしは大工の十兵衞と申すもの
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
野生わたくしうちへおいで下さりますると、ああもったいない、雛形はじきに野生めが持ってまいりまする、御免下され、と云いさまさすがののっそりも喜悦に狂して平素つねには似ず
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
衣服みなりの粗末なるにはやあなどかろしめた言葉づかい、十兵衛さらに気にもとめず、野生わたくしは大工の十兵衛と申すもの、上人様の御眼にかかりお願いをいたしたいことのあってまいりました
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
唯と答へ居りしが、願ひを御取上げ下されましたか、あゝ有難うござりまする、野生わたくしうち御来臨おいで下さりますると、あゝ勿体ない、雛形は直に野生めが持つてまゐりまする、御免下され
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)