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妾
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わたくし
ふりがな文庫
“
妾
(
わたくし
)” の例文
「
妾
(
わたくし
)
の家は三浦三崎、関宿にあるのでございます。それで妾は旦那様を、妾の家へお連れしようと、こう思っているのでございます」
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
妾
(
わたくし
)
が、戦はなければならぬ相手は荘田勝平と云ふ個人ではありません。荘田勝平と云ふ人間の姿で、現れた現代の社会組織の悪です。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「貴方をお欺し申すのでございます。
妾
(
わたくし
)
はこうして
米国暗黒公使
(
メリケン・ダーク・ミニスター
)
、J・I・Cの団長ウルスター・ゴンクール氏をお欺し申しました」
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『
皆樣
(
みなさま
)
は、
其樣
(
そんな
)
にあの
兒
(
こ
)
を
可愛
(
かあい
)
がつて
下
(
くだ
)
さつたのですか。
妾
(
わたくし
)
は
何
(
なん
)
と
御禮
(
おれい
)
の
言葉
(
ことば
)
もございません。』と
雪
(
ゆき
)
のやうなる
頬
(
ほう
)
に
微※
(
えくぼ
)
の
波
(
なみ
)
を
湛
(
たゝ
)
えて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「それを聞いてやっと安心しました。
妾
(
わたくし
)
のようなものは、どうせ
旦那
(
だんな
)
がなくっちゃ生きて行かれないから、仕方がありませんけれども、……」
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「それは
然
(
そ
)
うですとも……。」と、お政は
遮
(
さえぎ
)
って、「ですから、
妾
(
わたくし
)
の方でも決して心配は
為
(
し
)
ませんが……。それでもお若い方と云うものはね。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
妾
(
わたくし
)
めは
吉
(
きち
)
と申す
不束
(
ふつつか
)
な田舎者、
仕合
(
しあわ
)
せに御縁の端に
続
(
つな
)
がりました上は
何卒
(
なにとぞ
)
末長く
御眼
(
おめ
)
かけられて
御不勝
(
ごふしょう
)
ながら
真実
(
しんみ
)
の妹とも
思
(
おぼ
)
しめされて下さりませと
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
文答師は
難波津
(
なにわづ
)
に着いてこの由を官を経て奏上した。皇后が
仰
(
おお
)
せられるに、
妾
(
わたくし
)
は大臣の
少女
(
むすめ
)
、皇帝の后宮である。どうして異国大王の賢使などに逢えよう。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
この図を描くに至つた動機と云ふやうな事もありませんが
曾
(
かつ
)
て
妾
(
わたくし
)
は
一茶
(
いつさ
)
の句であつたか
蕪村
(
ぶそん
)
の句であつたか、それはよく覚えませんが、
蚊帳
(
かや
)
の句を読んで面白いと思つて居りました。
蛍
(新字旧仮名)
/
上村松園
(著)
赤らめしが思ひ切て
妾
(
わたくし
)
で御座ります
然樣
(
さやう
)
御
聞成
(
きゝなさ
)
れたら
嘸
(
さぞ
)
御
否
(
いや
)
で御座りませうと云つゝ
邪視
(
ながしめ
)
に見やりたる其
艷色
(
うつくし
)
さにナニ夫が
眞實
(
ほんたう
)
なら
何
(
どう
)
して/\此重四郎が身に取ては實に
本望
(
ほんまう
)
なりと云ふ
時
(
とき
)
人來りければ二人は
素知
(
そし
)
らぬ
體
(
てい
)
にて
左右
(
さいう
)
へ
分
(
わか
)
れ其
後
(
のち
)
藤澤へ歸りてより
猶
(
なほ
)
お勇と
相談
(
さうだん
)
の
上
(
うへ
)
小松屋文右衞門は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
妾
(
わたくし
)
が、戦わなければならぬ相手は荘田勝平と云う個人ではありません。荘田勝平と云う人間の姿で、現れた現代の社会組織の悪です。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「……すみませぬ……済みま……せぬ……。今までのことは、何もかも……何もかも……偽り……まことは
妾
(
わたくし
)
は……女……女役者……」
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「まあ何んと云う綺麗な腕環でしょう、之れは
屹度
(
きっと
)
伯父様から、
妾
(
わたくし
)
に贈って下さったのですよ」と云えば、二番目の娘は横合から
覗込
(
のぞきこ
)
んで
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
「は、はい、ただもうその
御
(
おん
)
言葉、わたくしこそ
妾
(
わたくし
)
こそ……勿体ないやら嬉しいやら……それにいたしても良人大弥太……」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
善は急げとか云いますから、一日も早く御婚礼を済まして、
妾
(
わたくし
)
も安心したいと思うのですが……。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
段々の御親切有り
難
(
がとう
)
は御座りまするが
妾
(
わたくし
)
身の上話しは申し上ませぬ、
否
(
いい
)
や申さぬではござりませぬが申されぬつらさを
御
(
お
)
察し下され、
眼上
(
めうえ
)
と折り
合
(
あわ
)
ねば
懲
(
こ
)
らしめられた
計
(
ばかり
)
の事
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
母がこう聞いた時、嫂は例の通り
淋
(
さむ
)
しい
靨
(
えくぼ
)
を寄せて、「
妾
(
わたくし
)
はどうでも構いません」と答えた。それがおとなしいとも取れるし、また聴きようでは、冷淡とも無愛想とも取れた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「本当に口惜しうございます。あんな男が
妾
(
わたくし
)
を。それに杉野さんが、そんな話をお取次ぎになるなんて、本当にひどいと思ひますわ。」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「
妾
(
わたくし
)
と全く
同一嗜好
(
おなじこのみ
)
を、殿様にはお持ちなされていて、そこへ妾が参りましたので、それがお互いに強くなって、今日に及んだのでございます」
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『あゝ、
柳川
(
やながは
)
さん、
妾
(
わたくし
)
は、
貴方
(
あなた
)
と
此世
(
このよ
)
で
御目
(
おめ
)
に
掛
(
か
)
からうとは——。』と
言
(
い
)
つたまゝ、
其
(
その
)
美
(
うる
)
はしき
顏
(
かほ
)
は
私
(
わたくし
)
の
身邊
(
しんぺん
)
を
見廻
(
みまは
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
兄も……弟も
労咳
(
ろうがい
)
で臥せっておりまする中にタッタ一人の
妾
(
わたくし
)
が……
聊
(
いささ
)
か小太刀の心得が御座いますのを……よすがに致しまして、偽りの願書を差出しました。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
もしもしと細い声で
妾
(
わたくし
)
を呼起しますから、何心なく枕をあげて
視
(
み
)
ると、
年齢
(
とし
)
は十八九頭は散し髪で
顔色
(
いろ
)
の蒼ざめた女、不思議な事には頭から着物までビショ
湿
(
ぬ
)
れに
湿
(
ぬれ
)
しおれた女が
お住の霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
世を忍ぶ身を
隠匿
(
かくまい
)
呉
(
く
)
れたる志、七生忘れられず、官軍に
馳
(
はせ
)
参
(
さん
)
ぜんと、決心した我すら曇り声に
云
(
い
)
い
出
(
いだ
)
せし時も、愛情の涙は
瞼
(
まぶた
)
に
溢
(
あふ
)
れながら義理の
詞
(
ことば
)
正しく、
予
(
かね
)
ての御本望
妾
(
わたくし
)
めまで
嬉
(
うれしゅ
)
う存じますと
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「またそんな皮肉を
仰
(
おっ
)
しゃる。あなたはどうしてそう
他
(
ひと
)
のする事を悪くばかり御取りになるんでしょう。
妾
(
わたくし
)
あんまり
御無沙汰
(
ごぶさた
)
をして済まないと思ったから、ただ帰りにちょっと伺っただけですわ」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「左様でございます。
妾
(
わたくし
)
はユーヂットにならうと思ふのでございます。ユーヂットと申しますのは
猶太
(
ユダヤ
)
の美しい娘の名でございます。」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「甲府へ参ろうではございませんか。賑やかな武田家のお城下へ。……
妾
(
わたくし
)
もなんだか人里が恋しくなってまいりました」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
妾
(
わたくし
)
が子ープルスの
家
(
いへ
)
へ
歸
(
かへ
)
つて、
涙
(
なみだ
)
ながらに
良人
(
をつと
)
の
濱島
(
はまじま
)
に
再會
(
さいくわい
)
した
時
(
とき
)
には、
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
沈沒
(
ちんぼつ
)
の
噂
(
うわさ
)
は
大層
(
たいそう
)
でした。
何事
(
なにごと
)
も
天命
(
てんめい
)
と
諦
(
あきら
)
めても、
本當
(
ほんたう
)
に
悲
(
かな
)
しう
御坐
(
ござ
)
んしたよ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「酔っているばかりでも有りますまい。
妾
(
わたくし
)
が二度と
御当家
(
こちら
)
へ来ればあの人が又暴れて来るそうですね。あの人は何故そんなに妾を恨んでいるんでしょう。妾には
些
(
ちっ
)
とも訳が判りません。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「どうせ貴夫の眼から見たら、
妾
(
わたくし
)
なんぞは馬鹿でしょうよ」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
狭山は
妾
(
わたくし
)
のたった一人の親身の叔父でございます。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「左様でございます。
妾
(
わたくし
)
はユージットになろうと思うのでございます。ユージットと申しますのは
猶太
(
ユダヤ
)
の美しい娘の名でございます。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
妾
(
わたくし
)
、さっき、あなたの胸へ、一生懸命
縋
(
すが
)
り付きましたわね。その時よっく計りましたのよ。ええあなたのお体をね」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「いいえ、伯父様と
妾
(
わたくし
)
と大の仲好しですもの、妾に贈って下さったに相違はありません」と争う。
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
妾
(
わたくし
)
が
彼
(
あ
)
の邸へ縁付きましてから、今年で丁度
満
(
まる
)
五年その間別に変わった事もございませんでしたが、今から十日ほど
以前
(
まえ
)
の晩、時刻は
子
(
ね
)
の刻過でもありましょうか、薄暗い
行燈
(
あんどう
)
のかげに
何物
(
なに
)
か居て
お住の霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
妾
(
わたくし
)
今度
(
こんだ
)
はことによると助からないかも知れませんよ」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「はい、よくこうして出かけますので……長い時は一週間も……短かい時は一日か二日位で帰って参ります。時には夜中に帰って来たり、朝の
間
(
ま
)
の暗いうちに帰って来たりする事もございますが、その留守はいつも
妾
(
わたくし
)
が致しております」
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
妾
(
わたくし
)
は、法律の網を
潜
(
くぐ
)
るばかりでなく、法律を道具に使って、善人を
陥
(
おとしい
)
れようとする悪魔を、法律に代って、罰してやろうと思うのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「それと申すもこの
妾
(
わたくし
)
の
不束
(
ふつつか
)
からでござります。どうあろうともご老師様を決して他へはやりませぬ——お父上様!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「道理で
妾
(
わたくし
)
はいって参りますと、若い娘さんが
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
をいい、ままごと遊びしていなさいましたので、つい妾も面白くなり、男の
声色
(
こわいろ
)
など使いまして……」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「はい有難うはございますが、母と
妾
(
わたくし
)
とは
継
(
まま
)
しい仲、たとえ実家へ帰りましても
辛
(
つら
)
いことばかりでございます」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
どんなに
妾
(
わたくし
)
が説きましても、皆様方には
解
(
わか
)
りますまい。解っているのは日本で数人、信長公にこの妾に、
香具師
(
こうぐし
)
の頭に弁才坊、そんなものでございましょう。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「深い事情はござりまするが、お館の数々の器類を、盗み出しましたはこの
妾
(
わたくし
)
、この八重めにござります!」
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
妾
(
わたくし
)
事は桑名侯、松平越中守の家臣にして、服部石見と申すものの娘、織江と申すものにござります。……」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
行く先に
幾個
(
いくつ
)
か関門があります。そこには番人が守っております。……
妾
(
わたくし
)
、先へ立って参りましょう。妾が声をかけましたら、番人達は扉をひらきましょう。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
妾
(
わたくし
)
だんだん思い出しました。大森林、大渓谷、大きな屋敷、無数の馬、酒顛童子のような老人のいた所、そこはどうやら福島の、奥地のように思われます」
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「父の心を……正体ない父の心を……少しなりとも慰めてやりたさに……才覚しまして……
妾
(
わたくし
)
が……」
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
父は
妾
(
わたくし
)
に申しました。『五郎蔵が殺しに来る。
彼奴
(
きゃつ
)
には大勢の
乾児
(
こぶん
)
があるが、
俺
(
わし
)
には乾児など一人もない。味方が欲しい、旅のお侍様などが訪ねて参ったら、泊め置け』
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「お武家様おすごしなさりませ。
妾
(
わたくし
)
、お酌いたしましょう」不意に横から云うものがあった。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
妾
(
わたくし
)
、あなた様から、お
隠匿
(
かくまい
)
していただきました晩、あなた様、眠りながら、お千代、たっしゃかえ、たっしゃでいておくれと
仰有
(
おっしゃ
)
いましたが、お千代様とおっしゃるお方は?」
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その頭の名は
星影左門
(
ほしかげさもん
)
、以前から
妾
(
わたくし
)
を妻にしようと、狙っていたものにございます。で、左門の目的は、
民弥
(
たみや
)
殿でなくてこの
妾
(
わたし
)
。で、民弥殿の御身上は、まず大丈夫と思われます。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“妾”の解説
妾(めかけ、しょう)とは、婚姻した男性が、妻以外にも囲う女性のことで、経済的援助を伴う愛人を指す。
(出典:Wikipedia)
妾
漢検準1級
部首:⼥
8画
“妾”を含む語句
外妾
愛妾
洋妾
妾腹
寵妾
妾宅
妻妾
男妾
妾達
婢妾
妾狂
侍妾
蓄妾
御妾腹
妓妾
妾等
嬖妾
嬪妾
世間妾形気
側妾
...