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私
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わたくし
ふりがな文庫
“
私
(
わたくし
)” の例文
私
(
わたくし
)
は
漸
(
やうや
)
くほつとした
心
(
こころ
)
もちになつて、
卷煙草
(
まきたばこ
)
に
火
(
ひ
)
をつけながら、
始
(
はじめ
)
て
懶
(
ものう
)
い
睚
(
まぶた
)
をあげて、
前
(
まへ
)
の
席
(
せき
)
に
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
してゐた
小娘
(
こむすめ
)
の
顏
(
かほ
)
を一
瞥
(
べつ
)
した。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
誠に
有難
(
ありがた
)
い事で、
私
(
わたくし
)
もホツと
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
いて、それから二
日
(
か
)
の一
番
(
ばん
)
汽車
(
きしや
)
で
京都
(
きやうと
)
へ
御随行
(
ごずゐかう
)
をいたして
木屋町
(
きやちやう
)
の
吉富楼
(
よしとみろう
)
といふ
家
(
うち
)
へ
参
(
まゐ
)
りました
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
申
(
もう
)
しまして、
私
(
わたくし
)
が
今
(
いま
)
いきなり
死
(
し
)
んでからの
物語
(
ものがたり
)
を
始
(
はじ
)
めたのでは、
何
(
なに
)
やらあまり
唐突
(
とうとつ
)
……
現世
(
このよ
)
と
来世
(
あのよ
)
との
連絡
(
つながり
)
が
少
(
すこ
)
しも
判
(
わか
)
らないので
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「御立腹の段は誠に
御尤
(
ごもつとも
)
で、
私
(
わたくし
)
に於ても一々御同感で御座りまする、が、
只
(
た
)
だ何分にも篠田が青年等の中心になつて居りまするので」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
銃口
(
つつぐち
)
が
私
(
わたくし
)
の胸の処へ向きましたものでございますから、飛上って旦那様、目もくらみながらお辞儀をいたしますると、奥様のお声で
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「おや、
此所
(
ここ
)
にいらっしゃるの」と云ったが、「
一寸
(
ちょいと
)
其所
(
そこい
)
らに
私
(
わたくし
)
の
櫛
(
くし
)
が落ちていなくって」と聞いた。櫛は
長椅子
(
ソーファ
)
の足の所にあった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
で、
貴方
(
あなた
)
は
好
(
よ
)
い
時代
(
じだい
)
が
來
(
こ
)
やうと
濟
(
すま
)
してもゐられるでせうが、いや、
私
(
わたくし
)
の
言
(
い
)
ふことは
卑
(
いやし
)
いかも
知
(
し
)
れません、
笑止
(
をか
)
しければお
笑
(
わら
)
ひ
下
(
くだ
)
さい。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
さては我にとてにはあらざりしか。我は決して
私
(
わたくし
)
することなかるべしといひぬ。我は分れて一間を出でしとき夢みる人の如くなりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
私
(
わたくし
)
の
塾
(
じゆく
)
は
御存知
(
ごぞんち
)
の
通
(
とほ
)
り
高等女學校卒業以上
(
かうとうぢよがくかうそつげふいじやう
)
の
程度
(
ていど
)
の
者
(
もの
)
を
入學
(
にふがく
)
せしめるので、
女子
(
ぢよし
)
の
普通教育
(
ふつうけういく
)
はまづ
終
(
をは
)
つたものと
見
(
み
)
なければなりません。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
子供
(
こども
)
には、
話
(
はな
)
した
跡
(
あと
)
でいろ/\の
事
(
こと
)
を
問
(
と
)
はれて、
私
(
わたくし
)
は
又
(
また
)
已
(
や
)
むことを
得
(
え
)
ずに、いろ/\な
事
(
こと
)
を
答
(
こた
)
へたが、それを
悉
(
こと/″\
)
く
書
(
か
)
くことは
出來
(
でき
)
ない。
寒山拾得縁起
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
早く銘々の旧藩地に学校を立てなば、数年の後は間接の功を奏して、華族の
私
(
わたくし
)
のためにも藩地の公共のためにも大なる利益あるべしと。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
『はゝゝゝゝ。
君
(
きみ
)
はまだ
私
(
わたくし
)
の
妻子
(
さいし
)
を
御存
(
ごぞん
)
じなかつたのでしたね。これは
失敬
(
しつけい
)
々々。』と
急
(
いそが
)
はしく
呼鈴
(
よびりん
)
を
鳴
(
な
)
らして、
入
(
いり
)
來
(
きた
)
つた
小間使
(
こまづかひ
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
就
(
つ
)
いては今日
私
(
わたくし
)
の机の抽斗に百円入れて置きましたそれが、貴女のお帰りになると同時に紛失したので御座いますが、
如何
(
いか
)
がでしょう
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
私
(
わたくし
)
は鰐淵の手代なのですから、さう云ふお話は解りかねます。遊佐さん、では、
今日
(
こんにち
)
はまあ三円頂戴してこれに御印をどうぞお早く」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼処
(
かしこ
)
にて恋人の
文
(
ふみ
)
得
(
う
)
る人もあるべしなど、あやにくなることの思はれ
候
(
さふら
)
て、ふと涙
零
(
こぼ
)
し
候
(
さふらふ
)
など、いかにもいかにも不覚なる
私
(
わたくし
)
に
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「ではだれでも
三晩
(
みばん
)
の
間
(
あいだ
)
、
私
(
わたくし
)
をお部屋の外へ出さないように、寝ずの番をして見せる人がありましたら、その方のお嫁になりましょう。」
ぶくぶく長々火の目小僧
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「ありますとも、まあ、
私
(
わたくし
)
の家へいらっしゃい、あなたのお話を
伺
(
うかが
)
いましょう、すぐそこです、人の家の二階を借りてるのです」
女の首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「ああありがたや、山猫さま。
私
(
わたくし
)
のようないくじないものでも助かりますなら手の二本やそこらはいといませぬ。なまねこ、なまねこ。」
蜘蛛となめくじと狸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
これらの特権階級がその
私
(
わたくし
)
の奢侈のゆえに民衆に与える損害は、現在の資本家階級のそれに比して実に言うに足りない微弱なものである。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
さても
出来
(
でか
)
したり黄金丸、また鷲郎も
天晴
(
あっぱ
)
れなるぞ。その父の
讐
(
あだ
)
を
討
(
うち
)
しといはば、事
私
(
わたくし
)
の意恨にして、深く
褒
(
ほ
)
むるに足らざれど。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
と
欣〻
(
にこにこ
)
として
投出
(
なげだ
)
す、受取る方も、ハッ五万円、先ずこれ位のものをお納めして置きますれば
私
(
わたくし
)
も鼻が高うございますると
欣〻
(
にこにこ
)
して受取る。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
俺は盗んだ金を一厘だって
私
(
わたくし
)
したことがない。俺は必要のない人のものを奪って、必要のある人に融通しているに過ぎんのだ。
探偵戯曲 仮面の男
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
私
(
わたくし
)
此時計に心覚えがございますの。持主の方も存じてをりますの。お名前は、一寸申上げ兼ますが、ある子爵の令嬢でいらつしやいますわ。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
『
怎
(
ど
)
うしまして、
私
(
わたくし
)
こそ……。』と、
脱
(
と
)
つた帽子の
飾紐
(
リボン
)
に切符を揷みながら、『フム、小川の所謂
近世的婦人
(
モダーンウーマン
)
が
此
(
この
)
女
(
ひと
)
なのだ!』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ああいふ女は、物を考へる折には「
私
(
わたくし
)
」といふ事を忘れて、新聞の論説などと同じやうに「We」といつて考へ出すことになつてゐるから。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
答
(
こた
)
へて
私
(
わたくし
)
夫婦八ヶ年浪人の身の上ゆゑ油屋五兵衞方へ
衣類
(
いるゐ
)
大小等
(
だいせうとう
)
質物
(
しちもつ
)
に
預
(
あづ
)
け
置
(
おき
)
し處約束の
月切
(
つきぎれ
)
に相成
質屋
(
しちや
)
よりは
度々
(
たび/\
)
の
催促
(
さいそく
)
なれども其品々を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いや、言ううちに、
妙庵
(
みょうあん
)
、妙庵、ハヤが餌を悉く
私
(
わたくし
)
致しおったぞ。ほら、ほら、のう
不埒
(
ふらち
)
ないたずら共じゃ、早うつけ替えい
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
六波羅奉行所とは、
称
(
とな
)
えなかった。みゆるしにも職制にもよらず、占領下さっそくな行政の一役所として
私
(
わたくし
)
に設けたものであったからである。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたくし
)
の兄は母に次いで中々上手でしたが、私も父の死ぬ一、二年前頃から、言はれる言葉を聴き分ける事だけは出来ました。
父八雲を語る
(新字新仮名)
/
稲垣巌
(著)
ひとり造化は富める者に
私
(
わたくし
)
せず、我家をめぐる百歩ばかりの庭園は雑草雑木四時
芳芬
(
ほうふん
)
を吐いて不幸なる貧児を
憂鬱
(
ゆううつ
)
より救はんとす。花は何々ぞ。
わが幼時の美感
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
私
(
わたくし
)
、専門のことはよく分りませんが、山村の舞と云うものは、あれは実に結構なものですな。何でも彼んでも東京の
真似
(
まね
)
を
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
此の立つは
私
(
わたくし
)
ならず、人ひとり
守
(
も
)
るとにあらず、
皇国
(
すめぐに
)
をただに清むと、正しきにただに
反
(
かへ
)
すと、心からいきどほる我はや。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
しかし
母
(
おっか
)
さんを大事にして、
私
(
わたくし
)
にもよくしてくれる、実に罪も何もないあれを病気したからッて離別するなんぞ、どうしても
私
(
わたくし
)
はできないです。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「
私
(
わたくし
)
どもでは皆さんの御便宜を図って、羅紗屋と特約を結んで、精々勉強いたしますから、どうぞ御贔屓に……スタイルも
極
(
ごく
)
斬新
(
ざんしん
)
でございます」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
まだ御造営の方へ納めない前に
私
(
わたくし
)
に陳列してこの製作を公衆へ発表するということは、どうも
僭越
(
せんえつ
)
なことではないかと気遣う向きもありましたが
幕末維新懐古談:55 四頭の狆を製作したはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
嗚呼
(
あゝ
)
天地味ひなきこと久し、花にあこがるゝもの誰ぞ、月に
嘯
(
うそぶ
)
くもの誰ぞ、人世の
冉々
(
ぜん/\
)
として
減毀
(
げんき
)
するを
嗟
(
さ
)
し、
惆
(
ちう
)
として命運の
私
(
わたくし
)
しがたきを慨す。
哀詞序
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
なんでもこの
咄
(
はな
)
しはさほど古いことではないのでしょう、
私
(
わたくし
)
はその村で、そのお
家
(
うち
)
と近しくしている方からききました。
糸繰沼
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
アアそれ程までに
私
(
わたくし
)
を……思ッて下さるとは知らずして、
貴嬢
(
あなた
)
に向ッて
匿立
(
かくしだ
)
てをしたのが今更
耻
(
はず
)
かしい、アア耻かしい。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「
何処
(
どこ
)
に有ったのです、そんなものが……。」と、皆口々に問い寄るので、忠一は
先
(
ま
)
ず
其
(
その
)
概略を説明した上で、これは
何人
(
なんぴと
)
も
私
(
わたくし
)
すべきもので無い
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「なんとおっしゃっても、
私
(
わたくし
)
は、
手術
(
しゅじゅつ
)
を
受
(
う
)
けるのが
怖
(
おそ
)
ろしいのでございます。」と、
婦人
(
ふじん
)
は、
光
(
ひか
)
るメスを、はさみを
考
(
かんが
)
えると、
身
(
み
)
ぶるいをしました。
世の中のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
実は先生、これまで、だれに話しても、せせらわらって相手にしてくれませんが、先生ならばきっと、
私
(
わたくし
)
の考えにご同意くださるだろうと思います。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
いくら鴎外に
私
(
わたくし
)
がなかったといっても、
濃
(
こま
)
やかな夢を持たずに、あれだけの秀抜な芸術は創造されなかったであろう。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「ヘイ、なにがなんだか、おっしゃることがいっこうにわかりませんで、ヘイ。
私
(
わたくし
)
は作爺と申す名もないもので……」
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私
(
わたくし
)
どもはそれで
石鹸
(
せっけん
)
をつくります。椰子蟹はこのコプラを喰べて生きていますから、椰子蟹という名がつきました。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
私
(
わたくし
)
もしばしばこの保険会社の人に押込まれて、何々保険会社から入れと言うて来るかと思うと、
直後
(
すぐあと
)
から他の会社から来る、中々勉強するものである。
人格の養成
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
旦那、
私
(
わたくし
)
どもでは、萎れた花なんて置きませんです。
宅
(
うち
)
の品はみんな新しい若い、愛の充ちた花で、蘆や薄荷の
茂
(
しげみ
)
の中で、水に浸つて生きてをります。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
ああ宜く
私
(
わたくし
)
を高坂の
録之助
(
ろくのすけ
)
と覚えてゐて下さりました、
辱
(
かたじけ
)
なう御座りますと下を向くに、阿関はさめざめとして誰れも憂き世に一人と思ふて下さるな。
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お前はよく知ってたはずだ、ただ戻ってきさえすればよかったのだ、
私
(
わたくし
)
ですと言いさえすればよかったのだ。お前はこの家の主人となる身だったのだ。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
既
(
すで
)
に五軒も十軒も成功をした例があり、大膳坊が掘り出した金を
私
(
わたくし
)
したといふ話も聽かないのですから、正面から反對する理由は一つもなかつたのです。
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私
(
わたくし
)
は一時に五百発の
弾丸
(
たま
)
を打ち出す銃をお目にかけることにいたしましょう。それは
弾丸
(
たま
)
が豆のように飛び出します。さてそれから大砲も備えましょう。
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
“私”の意味
《人称代名詞》
(わたし、わたくし)一人称。
(出典:Wiktionary)
“私”の解説
私(し、わたくし)は、仕事場などの社会的集団の中における人間の属性と対比して、一個人としての属性を示すときに用いられる言葉である。
この意味における反対語は公(こう、おおやけ)である。例えば、「私用」は仕事に関係のない行動や物品を指し、「公用」はもっぱら仕事上の行動や仕事に用いる物品を指す。
(出典:Wikipedia)
私
常用漢字
小6
部首:⽲
7画
“私”を含む語句
私等
私語
私達
私通
私生児
私共
私宅
私室
私娼
私部
私刑
私窩子
歇私的里
私娼窟
私曲
私家
私怨
私事
私淑
私方
...