小生わたくし)” の例文
これは小生わたくしの父が、眼前まのあたりに見届けたとは申しかねるが、直接にその本人から聞取った一種の怪談で今はむかし文久の頃の事。その思召おぼしめしで御覧を願う。
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この大官人中の大官人と覺しく、えらさうなる一人頭をもたげて、フレデリツクとは誰ぞと糺問きうもんせり。畫工進み出でゝ、御免なされよ、それは小生わたくしの名にて、伊太利にていふフエデリゴなりと答ふ。吏。
またたまにはその娘にった時、太郎坊があなたにお眼にかかりたいと申しておりました、などと云ってたわむれたり、あの次郎坊が小生わたくしに対って、早く元のご主人様のお嬢様じょうさまにお逢い申したいのですが
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
画のためとなら小生わたくしはいつでも気が勇み立ちます
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)