てまい)” の例文
てまいがその顔の色と、おびえた様子とてはなかったそうでございましてな。……お社前の火事見物が、一雪崩ひとなだれになってりました。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それが危なかしく、水で揺れるように月影に見えました時、ジイと、てまいの持ちました提灯ちょうちん蝋燭ろうそくが煮えまして、ぼんやりを引きます。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
森の奥から火を消すばかり冷たい風で、大蛇だいじゃがさっと追ったようで、遁げたてまいは、野兎のうさぎの飛んで落ちるように見えたということでございまして。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)