あて)” の例文
「二階を下りしなに、何や暗うなって、ふらふらと目がもうて、……まあ、あて、ほんに、あの中へ落ちた事なら手足がちぎれる。」
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あてでっか。あて如何どないでもよろしおま」表情一つ動かさず、強いて言うならば、綺麗な眼の玉をくるりくるり廻していた。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「そんなこと知らんでどうする、末っちゃんはあてを子供見たいに思うてるのやな。何んでも知ってるえうちら。」
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「でも、それは武部源内だすやろ。あてとこは源蔵だすよつてな。浄瑠璃の文句通りに……」
何もな、何も知らんのえ、あて路之助はんのは、あんたはん、ようお馴染なじみの——源太はん、帯がゆるむ——いわはったひとどすの。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「折角でっけど、そんなもんあてにはいり用おまへん」と、質屋の申出を断り、その後家柄のことも忘れてしまった。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「そやつたら、あて喜んで出まんがな。」悪戯者いたづらものの延若は鴈治郎の困るのが面白さに一膝前へ乗り出して来た。そして喜剣と岡平と九太夫とをごつちやにしたやうな表情をしながら鴈治郎に言つた。
お君は、「あて如何どないでも良え。あんたの好きなようにし」しかし、「あんまり遠いところへ行かんといてや」
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「一遍お待ちやす……おもいを遂げんと気がかりなよって、見ていておくれやす。あてが手伝うさかいな。」
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それまでは、「あてですか。あてはどうでもろしおます」と口癖に言っていた。お君は働きものであった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
(ほんに、あても、東の方贔屓どす……しっかりとあんじょうに……)
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お君にそれを知らさなかった金助も金助だが、お君もまたお君で、そんなものあてにはいり用おまへんと質店主人あるじの申出を断り、その後、家柄のことなぞ忘れてしまった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
その秋、お君に再婚の話が持ちかけられ、例によって、あてはどうでも宜ろしおますと万事相手の言う通りになった。相手は生玉前町の電球口金商野瀬安二郎であった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
この縁談が成立すれば政江は伯爵家の何かに当る訳だ。「あて」が「わたし」に変り、耳隠しがパアマネントウェーブに成るのも満更不思議ではない——と人々は思い当ったのである。
俗臭 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
あてでっか。私はどないでもよろしおま」
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
あてでっか。私はどないでもよろしおま」
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
あてか、私はどないでもよろしおま」
(新字新仮名) / 織田作之助(著)