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ひそ
ふりがな文庫
“
私
(
ひそ
)” の例文
ええそういう
訳
(
わけ
)
なら御嫁に来て上げましょうと、その場ですぐ承知しないとも限るまいと思って、
私
(
ひそ
)
かに
掛念
(
けねん
)
を
抱
(
いだ
)
いたくらいである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
啓太郎は今日まで、
私
(
ひそ
)
かに中村と鈴木とを尊敬して居たけれど、沼倉が来てから後は、二人はちっともえらくないような気がし出した。
小さな王国
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
〔評〕官軍江戸を
伐
(
う
)
つ、關西諸侯兵を出して之に從ふ。是より先き
尾藩
(
びはん
)
宗家
(
そうけ
)
を
援
(
たす
)
けんと欲する者ありて、
私
(
ひそ
)
かに
聲息
(
せいそく
)
を江戸に
通
(
つう
)
ず。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
私
(
ひそ
)
かにおもうに、此歌はやはり行幸に供奉して三河の現地で詠んだ歌であろう。そして少くも其年は萩がいまだ咲いていたのであろう。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
即ち彼は
私
(
ひそ
)
かに密告状を
認
(
したゝ
)
めて、彼の家の隣人谷田義三が保険金詐取の目的で放火を企てたものであると錦町署へ訴えたのである。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
▼ もっと見る
何故、不徳はある人に取って
寧
(
むし
)
ろ
私
(
ひそ
)
かなる誇りであって、自分に取ってこんな苦悩の種であるのだろう、と嘆いたことさえあった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一説には、この不気味な評判が一層高くなることを懼れて、エドワルド氏が
私
(
ひそ
)
かに当局に握らせて手離して貰ったのだとも言われている。
海妖
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
誰れか大いにこれを
蒐
(
あつ
)
め楽むという人が出そうなものだがと実はこの東洋に著名な花木のために
私
(
ひそ
)
かに希望して止まないのです。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
句の意味は、夏の夜少数の兵士、もしくは本陣に使するものなどが、
私
(
ひそ
)
かに敵の陣営の後ろを覚られぬように通り抜けたというのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
さうして生活古典たる宮廷の行事に、何分かの神聖感と、懐しみとを加へることが、出来さうに
私
(
ひそ
)
かに考へてゐる次第である。
貴種誕生と産湯の信仰と
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
私は恥しいことだけれど、かくも奇妙な事情の
下
(
もと
)
に、昔の競争相手と再会したことを、
心
(
こころ
)
私
(
ひそ
)
かに喜ばないではいられなかった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「馬鹿!」渠は
私
(
ひそ
)
かに應じて立ちあがつた。そして肉眼の力をふさいでゐたいやうな豫期をしながら、障子のすき間から下をのぞいて見た。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
何となく知ろうと努め、一方用心しているように感ぜられ、自分の
私
(
ひそ
)
かな期待を裏切って、初対面らしい圧苦しさが漂った。
思い出すこと
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
關守る兵卒は手形に疑はしき
廉
(
かど
)
なしと言渡しつ。この宣告の早かりしにはフエデリゴの
私
(
ひそ
)
かに贈りし「パオロ」一枚の效驗もありしなるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
かくて今宵図らずも、殿たち二匹の物語を、鴨居の上にて
洩
(
も
)
れ聞きつ。さても嬉しや今宵こそ、御恩に報ゆる時来れと、心
私
(
ひそ
)
かに喜ぶものから。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
彼はそれ以来すべてをこの未知の答えに懸けて、二度と苦しい思いをしないために、当分はあの噴き井の近くへも立ち寄るまいと
私
(
ひそ
)
かに決心した。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「あら、わたくしなんにも考えてなんぞいはしませんわ」と、意味の無い笑顔をして見せて、
私
(
ひそ
)
かに胸をどき附かせた。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
さうした光景を見た
丈
(
だけ
)
で、瑠璃子の胸が一杯になつた。父が、此上兄を
恥
(
はづか
)
しめないやうに、兄が大人しく出て呉れるやうにと、心
私
(
ひそ
)
かに祈つてゐた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
我能く人に福を分てば、人も亦我に福を與ふべく、たとひ人能く我に福を與へざるまでも、人皆心
私
(
ひそ
)
かに我をして福あらしめんことを祷るものである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
或る日、その出来上がった鼠をば、昼食を終ったわずかの休みの暇に、
私
(
ひそ
)
かに店頭の
棚
(
たな
)
に乗せて
眺
(
なが
)
めていました。
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それに今や先生がおられぬのであるから、二人の荷物を一人で背負うが如き思いで心
私
(
ひそ
)
かに安からぬものがある。
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
わたしは青べかを
漕
(
こ
)
いで河をくだり、ふたつ瀬から関門をぬけて細い水路へはいっていった。そこにはわたしが
私
(
ひそ
)
かにみつけておいた
鮒
(
ふな
)
の釣場があるのだ。
お繁
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
前にも申上げた通りいわゆる琉球王国は慶長十四年以後は日本の一諸侯島津氏が
殊更
(
ことさら
)
に名に於ては支那に
隷
(
れい
)
せしめ実に於ては日本に属せしめて
私
(
ひそ
)
かに支那貿易を
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
あのように嫌いぬかれて、なおもこころ
私
(
ひそ
)
かに男を思うなどということは、お藤の
性
(
さが
)
でも、またそんなしおらしい年齢でもなく、頭からできない芸当であった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
創造の能力がそこに見られるからである。鶴見の少年期はそんな時代の波をくぐって来た。その一事を生涯のよろこびとすることを、彼は
私
(
ひそ
)
かに誇りとしている。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
特に撰抜せられて『十八史略』や、『日本外史』の講義をなし、これを無上の光栄と喜びつつ、世に妾ほど怜悧なる者はあるまじなど、心
私
(
ひそ
)
かに
郷党
(
きょうとう
)
に誇りたりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
いや、時には、もつともつと身体を汚してみないかと、
私
(
ひそ
)
かに自分にけしかけて、じつと
蘚苔
(
こけ
)
のやうなものが、皮膚に厚くたまるのを楽しんでゐるかに見えたりする。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
義友を失ふの悲しみは胸に余りしかども、
私
(
ひそ
)
かに我が去就を紛々たる政界の
外
(
ほか
)
に置かんとは定めぬ。
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
この鐘に径五寸ばかりの円き
瑕
(
きず
)
あり、土俗いわく、この鐘を鋳る時、一女鏡を寄附して鋳物師に与う、しかれども、心
私
(
ひそ
)
かに惜しんだので、その鏡の形に瑕生じたと。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私はせめて、彼等の喧嘩が、何等かの甘さを以て終ることを
私
(
ひそ
)
かに期待するものであつたが、その事は全く無くて、妻君は常に殴られ、笛六は常に殴つて一日を終つた。
蝉:――あるミザントロープの話――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
床は気温の変化に伴って、パリンパリンといい、時に地震があると屋根がきしむ。そして夜中には、誰でも、確かに歩廊を
私
(
ひそ
)
かに歩く足音が聞えたと誓言するであろう。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
間もなく劇評家は彼と解ると、側へ寄つて来て
私
(
ひそ
)
かに、親しげに、鷹揚に黙つて肩を叩いた。
虎
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
他の国にゆかしめば、必ずも後の
禍
(
わざはひ
)
となるべしと、
苦
(
ねんごろ
)
に教へて、又商鞅を
私
(
ひそ
)
かにまねき、吾汝を
一三四
すすむれども王
許
(
ゆる
)
さざる色あれば、用ゐずばかへりて汝を害し給へと教ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
彼等は
私
(
ひそ
)
かな戦術をもって、一本の「住宅地分割貸地」の棒杭に合同したのだった。
都会地図の膨脹
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
呉羽之介は、まっ白な、細い手を
膝
(
ひざ
)
の上にのせて
私
(
ひそ
)
かに
検
(
しら
)
べるようにみつめました。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
しかるに彼らはヨブの哀哭の語に接してその言辞に
因
(
とら
)
えられてその
心裡
(
しんり
)
を解する
能
(
あた
)
わず、ますます彼らの推測の正当なりしを悟り、ここにヨブを責めてその
私
(
ひそ
)
かなる罪を懺悔せしめ
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
相沢活夫君の論は、此号の論客中尤も文に老練なる者と
可申
(
まうすべく
)
、君の感慨には小生亦
私
(
ひそ
)
かに同情に堪へざる者に有之候。既にこの気概あり、他日の行動
嘱目
(
しよくもく
)
の至りに御座候。(以下次号)
渋民村より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私
(
ひそ
)
かに
自
(
みずか
)
ら量らず、同志を
糾合
(
きゅうごう
)
し、神速に上京し、間部の首を獲て、これを竿頭に貫き、上は以て吾が公勤王の衷を表わし、かつ江家名門の声を振い、下は以て天下士民の公憤を発し
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
後には
大久保
(
おおくぼ
)
の苗字を賜わり、大久保
石見守長安
(
いわみのかみながやす
)
とまで出世したのじゃが、それ程の才物ゆえ、邪智にも
長
(
た
)
けていて、
私
(
ひそ
)
かに佐渡吹きの黄金を隠し置き、御役御免になっても老後の栄華
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
聞説
(
きくならく
)
、若林玵蔵子某席における圓朝が人情噺を
私
(
ひそ
)
かに速記し、のちこれを本人に示したとき、声の写真とはこれかと瞠目せしめたのが、実に本邦講談落語速記の
嚆矢
(
こうし
)
ではあるとされている。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
良人の機嫌を取るという事も、現在の程度では
狭斜
(
きょうしゃ
)
の女の
嬌態
(
きょうたい
)
を学ぼうとして及ばざる位のものである。男子が教育ある婦人を
目
(
もく
)
して心
私
(
ひそ
)
かに高等下女の観をなすのは甚しく不当の評価でない。
婦人と思想
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ゆくゆくは奏覧にも供え、また二条摂政さま(
良基
(
よしもと
)
)の
莵玖波
(
つくば
)
集の後を
承
(
う
)
けて
勅撰
(
ちょくせん
)
の
御沙汰
(
ごさた
)
も拝したいものと
私
(
ひそ
)
かに
思定
(
おもいさだ
)
めておいでの模様で、いたくこの集のことをお心に掛けてございました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
今帰りかけて居る孫生を呼び戻して
私
(
ひそ
)
かに余の意中を明してしまふた。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
『あゝ、ベラドンナ(西洋はしりどころ)だ。もう遅すぎるな。』と医者は
私
(
ひそ
)
かに思ひながら、もう毒が大ぶめぐつてゐるので、とても効き目はあるまいと思ひましたが、とにかく薬をくれました。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
時ありて梁山泊の豪傑連が額を
鳩
(
あつ
)
めて
密
(
ひそか
)
に勢力拡張策を講ずるなど随分
変梃来
(
へんてこ
)
な事ありてその都度提調先生
私
(
ひそ
)
かに自ら当代の
蕭何
(
しょうか
)
を以て
処
(
お
)
るといふ、こんな学堂が世間にまたとあるべくも覚えず候
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
税
(
と
)
キテ今
自
(
よ
)
リ庶政ヲ
親
(
と
)
ル/小儒
私
(
ひそ
)
カニ擬ス昇平ヲ
頌
(
たた
)
ヘント〕
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
配達夫等が
私
(
ひそ
)
かに水液を混入せざるや等の万一を防げり。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
提灯を持ちたる男 (
私
(
ひそ
)
かに)此処は南蛮寺ぢや。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
昇はその
光景
(
ようす
)
を見て
私
(
ひそ
)
かに冷笑した。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
内蔵助の
私
(
ひそ
)
かなる壮行を祝して
軽女
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
“私”の意味
《人称代名詞》
(わたし、わたくし)一人称。
(出典:Wiktionary)
“私”の解説
私(し、わたくし)は、仕事場などの社会的集団の中における人間の属性と対比して、一個人としての属性を示すときに用いられる言葉である。
この意味における反対語は公(こう、おおやけ)である。例えば、「私用」は仕事に関係のない行動や物品を指し、「公用」はもっぱら仕事上の行動や仕事に用いる物品を指す。
(出典:Wikipedia)
私
常用漢字
小6
部首:⽲
7画
“私”を含む語句
私等
私語
私達
私通
私生児
私共
私宅
私室
私娼
私部
私刑
私窩子
歇私的里
私娼窟
私曲
私家
私怨
私事
私淑
私方
...