わたい)” の例文
わたいを口説く気で、うござんすか。まったくは、あの御守殿より、私の方が口説くにはむずかしいんだから、そのつもりで、しっかりして。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「早く行こうよ。わたいお金持ちだよ。今夜は。仲店なかみせでお土産を買って行くんだから。」とすたすた歩きだす。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
おのれが取次をするから此の様な間違が出来でけたのや、サ是を御覧、此の手紙が何よりの証拠や、わたいはお前に逢いとうて逢いとうてならぬから、家出をしてお前のとこ
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
だって、すっかりくなってよ。西洋じゃあみんな平気ですって。また田舎なんぞには当前あたりまえだと思ってますとさ、わたいもうさっぱりしたんです。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ちょいちょい遊びに帰って来るわ。だけれど、わたいも一生懸命にお稽古けいこしなくっちゃならないんだもの。」
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
内儀いえはんういう最中で争論いさかいをしては済みまへんが、一寸ちょっとこれにいておはなしがあるんでおす、一昨夜おとついわたいが一寸用場へ参りまして用をしてから、手を洗うていると
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ちょいと今夜はわたい嬉しいわねえ、こないだから塩梅あんばいが悪くッて、それにお前さんは久しくおいでなさらないし、ふさいでばかりいたんですよ。」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「早くかうよ。わたいお金持ちだよ。今夜こんやは。仲店なかみせでお土産みやげを買つてくんだから。」とすた/\歩きだす。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
漸うの思いで参りました、わたいもそう長う寺に辛抱しては居られまへぬ、あんたはんもわたいのような者でも本当に思うてくだはるなら、いっそ手に手を取って此所こゝを逃げまひょう
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それはあの、何なの、だってわたいは何にも知らないんですもの、」と俯向うつむいて膝の上を、煙管きせるで無意識にたたきながら
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ちよい/\遊びに帰つて来るわ。だけれど、わたいも一生懸命にお稽古けいこしなくつちやならないんだもの。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「ううむ、内じゃないの。おほりとこで、長い尻尾で、あの、目が光って、わたい、私をにらんで、こわかったの。」
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(天狗様でしょうか、鬼でしょうか、わたいたちとはお宗旨違いだわね。引込ひっこみましょう可恐こわいから。)居かわって私の膝にうしろ向きにかけていた銀杏返いちょうがえしが言ったのです。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこで、その小豆を喰いながら、わたいらが、売女なら、どうしよってんだい、小姐ちいねえさん、内々の紐が、ぶら下ったり、爪の掃除をしない方が、余程よっぽど汚れた、頽れた、浅ましい。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたいたちは、おとっさんを待つてるよ。」
夜釣 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたいたちは、おとつさんをつてるよ。」
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)