“あたし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
50.0%
48.6%
1.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「まあ、ひどい風だことねえ。」といって、泣いているかねちゃんを自分の傍に引き寄せて、あたしの身体は濡れていてよ、と温かいくちをかねちゃんの薔薇色の頬辺ほっぺたにあてて、
嵐の夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あたしは今起きて顔を洗って来た所なの。ほんとにお前さんはよく寝て居るのね。だからきっと後生がいゝんだわ。」
幇間 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あたしがいるから、重松さん、置いて行きなさいよ!)と危く口に出かけたが、今でも貧乏たらしくすることのきらいな母の気持を傷つけたくないために新子はだまっていた。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「先生、先生——あたしですよ、開けて下さいな、太十が酔つぱらつて厭らしいことばかり云ふんですもの、逃げて来たわ……」
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「そんな嘘なんか、聞きたくないわ。ほんとに仕事は何うだったの? あたしだって、これには関係してるんじゃありませんか」
赤い手 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「なにこりゃあたし持前もちまえだから仕方がない。昔からふとった事のない女なんだから。やッぱりかんが強いもんだからね。癇で肥る事が出来ないんだよ」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「もしもし姉さん、あたし……わかった? 今ねえあたし中西屋さんに居んのよ、よれよれって云うんだもの……姉さん来ない? え? いらっしゃいよ、よ、ね?」
町の展望 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ここで一言いわせてもらえば、ここまで書いてきた日本橋で、あたしという子供が、すこしでも小利口に見えるようならば、書きかたが大変わるく、なっていないのだ。
新吉は微温ぬるい茶をんで出しながら、「あたしなんざ駄目です。小野君のように、体に楽をしていて金をける伎倆はたらきはねえんだから。」
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「今度はあたし面白い手紙を上げますから返事を下さいな。」と濃く白粉をつけたお安さんは、なすび歯を見せて笑ひながら外に立つてゐた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
懇親といえば懇親あえて益する所はなく、いっそ窮屈極まるものと思って居たが、「あらあたしのではお厭なの」、嬌喉きょうこう玉を転ばすが如きこの妙音が、たちまち小歌という大知己を得させたので、秋元の我部屋へ帰ってからも
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)