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妾
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あたし
ふりがな文庫
“
妾
(
あたし
)” の例文
只今まで警察で厳しいお
調
(
しらべ
)
を受けましたが、
妾
(
あたし
)
はマッタク何も存じません。妾はこの亭主に一生苦労をさせ通して死に別れました。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「何故そんな怖い顔をして
被在
(
いらっしゃ
)
るの。
妾
(
あたし
)
、𤢖じゃなくってよ。妾の
罰
(
ばち
)
で、
貴下
(
あなた
)
は𤢖に酷い目に逢ったと云うじゃアありませんか。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「兄さん、そのプッジングを
妾
(
あたし
)
にちょうだい。ね、好いでしょう」とお重が兄に云った。兄は無言のまま皿をお重の方に
押
(
おし
)
やった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「先生、先生——
妾
(
あたし
)
ですよ、開けて下さいな、太十が酔つぱらつて厭らしいことばかり云ふんですもの、逃げて来たわ……」
武者窓日記
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「そんな嘘なんか、聞きたくないわ。ほんとに仕事は何うだったの?
妾
(
あたし
)
だって、
此
(
これ
)
には関係してるんじゃありませんか」
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
「
妾
(
あたし
)
や未来派さ。」と
故意
(
わざ
)
と取り澄まして答へながら、彼女は遠野の膝の上でその豊満な身体を
弛
(
ゆる
)
やかに
揺
(
ゆ
)
すり初めた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
「さァ、みなさんで
忌憚
(
きたん
)
なく、批評して下さい、そして悪いとこはドンドンなくして、みんな
妾
(
あたし
)
たち局のものにピッタリするようにつくりましょう」
工場新聞
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「
妾
(
あたし
)
は今起きて顔を洗って来た所なの。ほんとにお前さんはよく寝て居るのね。だからきっと後生がいゝんだわ。」
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「まあ、ひどい風だことねえ。」といって、泣いているかねちゃんを自分の傍に引き寄せて、
妾
(
あたし
)
の身体は濡れていてよ、と温かい
唇
(
くち
)
をかねちゃんの薔薇色の
頬辺
(
ほっぺた
)
にあてて
嵐の夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「え、だけど
妾
(
あたし
)
なんか馴れ切つてゐるけれど……
兄
(
あん
)
さんは淋しいで御ざんせう!」
姉妹
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
首垂
(
うなだ
)
れて居る男に向って斯う叫んだのでありました、——バラされない内に、へえ左様ですかと
下手
(
したて
)
に出たらどうだい、女だからってお前さん方に舐められる様な
妾
(
あたし
)
じゃないんだよ、ねえ
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
「ああ、やっぱりお前さんだったネ。
妾
(
あたし
)
はずいぶん待っていたのよ。……」
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
⦅御存じ?
妾
(
あたし
)
が貴方を亡くさせたのです。妾は貴方のお口を心を
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
(
妾
(
あたし
)
がいるから、重松さん、置いて行きなさいよ!)
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
妾
(
あたし
)
に言ってごらん!
洪水のように
(新字新仮名)
/
徳永保之助
(著)
「チョット。
妾
(
あたし
)
は洗濯物をば取り込まにゃならぬ。一足先に帰るけに、お前はあとから帰って来なさいよ。
湯銭
(
ゆせん
)
は払うてあるけに……」
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「何よ用談があるって。
妾
(
あたし
)
にそんなむずかしい事が分りゃしないわ。それよりか向うの御座敷の三味線でも聞いてた方が増しよ」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お前さんの
鑑違
(
かんちが
)
いだよ。
成
(
なる
)
ほど、
妾
(
あたし
)
は
然
(
そ
)
う云ったけれども、若旦那が手を
下
(
おろ
)
してお前の
阿母
(
おっか
)
さんを殺したんじゃアない。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「——いつか、新聞に“現代青年の任務”というのをお書きになったんでしょ。
妾
(
あたし
)
、とても、感激しましたわ」
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「三平さんなら、
妾
(
あたし
)
にだってかけられるわ。そら、もうかゝった! ほうら、だん/\眠くなって来てよ。」
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「あの晩かくまっていただかなかったら、斬合いの
側杖
(
そばづえ
)
から、
妾
(
あたし
)
ア殺されていたかもしれないんだものね」
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
妾
(
あたし
)
は平気ですわ、それより奥さんこそ……」
歌へる日まで
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
お酒が少しばかりまわりますと、親切に色々と
妾
(
あたし
)
の
身上
(
みのうえ
)
をお尋ねになりましたので、何もかも
真個
(
ほんと
)
の事をスッカリ話しました。
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あなた何の必要があってそんな事を聞くの。兄さんが好きか嫌いかなんて。
妾
(
あたし
)
が兄さん以外に好いてる男でもあると思っていらっしゃるの」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
旨
(
うま
)
くないの。これを飲むと
温暖
(
あったか
)
になるんだけれども……。」と、お葉は笑った、「じゃア、
妾
(
あたし
)
が
助
(
す
)
けて上げますよ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ええ、何にも。それに
妾
(
あたし
)
は目聡い方ですから、
一寸
(
ちょっと
)
でも物音がすれば、
直
(
す
)
ぐ眼をさますのです」
目撃者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
妾
(
あたし
)
たち「人生案内」なんて見なかったからわかんないわ、それにこの批評はむずかしくて……」
工場新聞
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「……あたしの気持ちはわかっている癖に……あなたがソンナ悪党ってことは……
妾
(
あたし
)
……きょうが今日まで知らなかったわ……にくらしい……」
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
妾
(
あたし
)
の嫌いななア持って廻って、厭がらせの
散々
(
さんざ
)
ッ
腹
(
ぱら
)
、出て行けがしにあつかわれることさ」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
妾
(
あたし
)
、あなたのこと、まえから知っていました。あなたの御活躍なさってるご
容子
(
ようす
)
——」
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「あら好くってよ。
妾
(
あたし
)
ちゃんと知ってるわ。——さんざっぱら
他
(
ひと
)
を待たした癖に」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「……でもって何です。
妾
(
あたし
)
のいうことをお聴きになれなければ、一箱も差し上げませんよ。ホホホ……」
女坑主
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あの、
妾
(
あたし
)
といらっしゃいな。今夜も手伝って下さらない? あのね、この方もいらっしゃいますのよ」——斯う云うと鳥渡
頤
(
あご
)
をしゃくって、側に引き添っている青年を、彼の方へ紹介した。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「なに
妾
(
あたし
)
ゃ手出しなんかした事あ、ついの一度だってありゃしない」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「——青井は未来の代議士だって、
妾
(
あたし
)
も、信じますわ」
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
金兵衛さんの事までもスッカリ……毎月二十五日が本郷の
無尽講
(
むじん
)
の寄合なので、帳面とお金を持って行かれる。その帰りに電車で
妾
(
あたし
)
の所へ見える事まで話しました。
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『ね、可愛いいじゃァありませんか、
妾
(
あたし
)
の云うことを聞くんですもの』
奥さんの家出
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「遅いわあなた、六時なら。
妾
(
あたし
)
もう少しで
帰
(
かい
)
るところよ」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妾
(
あたし
)
はこの間の夢が
本当
(
ほんと
)
か嘘か、たしかめに来たのではないか。わざわざお役人様に願って、
彼
(
か
)
の石神の胸から出た鏡が、本当にあるのか無いのか、見に来たのではないか。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「そんな事がなくったって、
妾
(
あたし
)
あてるわ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ええ、今夜は
妾
(
あたし
)
なのよ」
人を呪わば
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「……兄さん兄さん。一郎兄さん。あなたはまだ
妾
(
あたし
)
を思い出さないのですか。あたしですあたしです……モヨ子ですよ……モヨ子ですよ。返事して下さい……返事して……」
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
妾
(
あたし
)
なんだか気味が悪い」
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
妾
(
あたし
)
もうたくさん」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
妾
(
あたし
)
は社交や何かで、これから
益
(
ますます
)
忙しくなるのです。とても哺乳の時間なぞはありません」
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「胸をご覧、
妾
(
あたし
)
の胸を」
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「だって
妾
(
あたし
)
……」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妾
(
あたし
)
です。お兄様の
許嫁
(
いいなずけ
)
だった……
貴方
(
あなた
)
の未来の妻でした妾……あたしです。あたしです。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
妾
(
あたし
)
ですよ。あたしですよ。お兄様の
許嫁
(
いいなずけ
)
だった……妾……妾をお忘れになったのですか。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あれッ。青眼先生……
妾
(
あたし
)
は美紅です。この
家
(
うち
)
の娘です。悪魔ではありません」
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
“妾”の解説
妾(めかけ、しょう)とは、婚姻した男性が、妻以外にも囲う女性のことで、経済的援助を伴う愛人を指す。
(出典:Wikipedia)
妾
漢検準1級
部首:⼥
8画
“妾”を含む語句
外妾
愛妾
洋妾
妾腹
寵妾
妾宅
妻妾
男妾
妾達
婢妾
妾狂
侍妾
蓄妾
御妾腹
妓妾
妾等
嬖妾
嬪妾
世間妾形気
側妾
...