あっし)” の例文
あっしのカンでは多分天草一揆頃日本に渡って来て、ミカエル四郎と名乗る日本人が秘蔵してたものじゃないか知らんと……ヘエヘエ。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「なアに、あっしはこうなることを見通していたんだ。お品さんが一年泊っていりゃア、三百六十六日目にこのの旦那がやられるよ」
「そうですね。洋服屋なんてものは、とても見込はありませんね。あっしは二日歩いてみて、つくづくこの商売が厭になってしまった」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
だからあっしァいっしょに苦労をしてひとつ釜の飯を食べてみてえとこうおもってやってきたんだ。成る、きっと成るよ大真打にお前さんは。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
と、ぽんと一本参りたまえば、待構えしていにて平然と、「ありゃあっし男妾おとこめかけさ、意気地いくじの無い野郎さね。」一同聞いて唖然あぜんたり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もしあっしの申し上げることが、旦那のおためになることでやして、もっともだと旦那がお思いでしたら、一万五千ペセタ下さいやしょうかね?」
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「ようござんす、幽霊って奴ああっしゃあんまり好きじゃありませんが、坊っ……じゃねえ春田さんと一緒ならやります!」
幽霊屋敷の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「素的素的」ガルールはすっかり誘入ひきいれられてしまって、「その加勢の人数にんずあっしが引受けます。一週間と経たないうちに、きっと纏めてつれて来ます」
「へえそれじゃこのあっしに様子を見ろと仰有おっしゃるので? どうもね、私にはその悠長が心にかかってならないのですよ。いっそこの儘突っ走った方が結句安全じゃありませんかね」
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ハッハッ。実はあっしもそんな経験があるんですよ。この病院で足を切ってもらった最初のうちは、よく足の夢を見たもんです」
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あっしも思い込んだんでさ。いえ、何でも参りません。いえ、いえ、もう御無沙汰いたしますッて、そういったら、お嬢さん、……
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「永いこと御迷惑かけたけれど、明日か明後日、急にあっしア大金持になることになったんだ、払いますよそのときいっぺんに」
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「そんな事があったかないか知らないけれど、あっしの家内なら、阿母おっかさんは黙ってみていたらいいでしょう。一体誰がそんな事を言出したんです」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ええ、ようござんすとも。あっしにゃ学問のことは分らねえが、鬼の一疋いっぴきや二疋ぶち殺す役ならいつでも引受ひきうけますよ」
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「ざっくばらんに言ってしまえば、一日延しにしていたあっしとお静の祝言を、わけがあって、この月のうちに運びたいと思うんだが、どんなもんだろう」
「実はガルボの奴も連れて来ようかと思いやしたんですが、奴はどうもこんな恰好で旦那にお眼にかかるなあ、工合が悪いってんで、あっしの家へ待たしてありますんで」
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
あっしにゃ解りませんが……印度インドならもっと遠いように思いますがね」
「どうも不可いけねえ、固くるしいね。あっしにゃアどうにも太刀打ち出来ねえ。へいへいどうぞお心安くね。お尋ねにあずかりやした山東庵京伝、正に私でごぜえやす。とこうバラケンにゆきやしょう。アッハハハハどうでげすな?」
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あっしはそれを読んで行くうちに、自分の首をしめられるような気持になってしまいましたよ。西洋あちらには血も涙もない悪党が多い。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「でもあっしのような青二才の弟子になるより、どうせこの商売におなんなさるのだったら、もっとどうにかなったお人の……」
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「えー、えーと、僕の、わたしの親分は春田龍介さんで、あっしあっし拳骨メリケン壮太でやす、矢でも鉄砲でも恐れません、えへん」
骸骨島の大冒険 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
真実ほんとに……。」と鼻頭はなさきで笑って、「和泉屋の野郎、よけいなことばかりしゃべりやがって、彼奴あいつあっしが何の厄介になった。干渉されるわれはねえ。」
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ざっくばらんに言ってしまえば、一日延しにしていたあっしとお静の祝言を、わけがあって、この月のうちに運びたいと思うんだが、どんなもんだろう」
「堪えた、堪えたとも。こうあっしアな、生れてから今日ッて今日ほどものを堪えたことはねえんだ。ははははは、」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ところがそうはいかねえ事情がありやしたんで……旦那、あっしゃもうくびでやんすよ」
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「ようごす、あっし達が成りやしょう」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あっしも多分そんな事だろうと思っているにはいるんですが……ですから一緒に寝ているかかあがトテモ義足を怖がり始めましてね。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「じゃ先生、何でもお前さん、あけりゃんこのところをこの人たちにいってやっておくんなせえ、あっしァちょいと他行だ」
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
白山はくさんから来たと云って、わかしゅが手紙を持って、迎いに来ましたよ。あっしが取次いだんだから、間違いはありません」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あっしには解らないことばかりです。なんだって、こんな不自由な刃物を使ったでしょう。剣で刺し殺した上、死骸を
「うは——。偉いなあ坊っちゃん——じゃねえ春田さんは……やっぱりあっしの親分だけありますねえ」
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あっし鐚一文びたいちもん世話になったんじゃあねえけれど、そんなこんなでおめえ、その少姐ねえさんが大の贔屓ひいき
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「イヤ御苦労御苦労。」と新吉もほかの二人と一緒にそばに坐って、頭を掻きながら、「あっしアどうも、こんなことにゃ一向慣れねえもんだからね……。」
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ヘーエ。先生が熱海。似た話があるもんですね。あっしもせっかくの儲け口をサランパンにしちまって逃げましてね。まあお笑い噺だ。聞いてください」
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
実はあっしもコレで東京生れなんで。竜閑りゅうかん橋ってえ処の猫のひたいみたいなケチな横町で生れたもんでゲスが、ヘヘヘ。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「驚いたな、お町さん、あっしもいろいろの目に逢ったが、石井三右衛門ともいわれる大金持の身上しんしょうを、まるごと預かるようなことになろうとは思わなかったよ」
「ねえ、坊っちゃ——じゃねえ春田さん、奴等ぁ何か水みてえなものをあっしにぶっかけましたぜ」
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
塵埃ほこりつによ。お前様方まえさんがたは美くしい手で恐しい掴取つかみどりをしなさるね。今のあの男は二円八十銭の買物をして、五円渡してったじゃないか、そこであっしの買物が二円さ、しかえ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「婆さん、この間から話しておいたようなわけなんだから、あっしのところはもういいよ。婆さんの都合で、暇を取るのはいつでもかまわねえから……。」
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「で、お町さんが殺されて、さしむきお困りなら、どうでしょう、あっしの手から一人女を入れたいんだが」
「そうなんです。先生。あっしも足が無くなった当時は、足の夢をよく見たもんですが、新東さんはきょう初めて見られたんで、トテも気味を悪がって御座るんです」
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おいらが生命いのちがけでれた女を、横取りした奴の面が見てえ、呼びねえな、ええ呼んでみろ。——この女はあっし情人いろでござんすと、そいつの前で立派に名乗ってやらあ、さあ呼ばねえか」
嫁取り二代記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「へ、へ、堪えて大概てえげえ聞いていたんだ。お友達、おい、お友達、てめえが口で饒舌しゃべった事を、もしか、一言ひとことでも忘れたらな、あっしに聞きねえ、けちりんも残らずおさらいをして見せてやらい。こん、畜生、」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あっしももちろん帰りますよ」
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「親分、どうしたものでしょう。このまま引込んじゃ、あっしは構わないが、親分の顔にもかかわります」
あっしゃこれで貴女あなた生命いのちがけのファンなんだよ。ドンナにヤバい思いをしても、貴女あなたの芝居ばっかりは一度も欠かした事はないし、ブロマイドだって千枚以上めているんだぜ。ハハ」
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「だが、何だよ、あっしア」と云った調子が変って
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お挙げ下さい。あっしはたかが町方の御用聞で、巾着切や屋尻切やじりきりを追い廻すのが身上で、大名方の御家騒動に、首を突っ込むような大した働きのある人間じゃございません
あっしたちを引率している藤村てえ工学士の方に聞いたら笑われましたよ。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「何、目下はあっしたちの小僧です。」
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)