わつし)” の例文
それがいけないので、わつし子供こども時分じぶんから、人の見てまいでは物ははれない性分しやうぶんですから、何卒どうぞかへつて下さい、お願ひでございますから。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼奴がどこに泊つてゐたかわつしは知りません。一度エグナアからシリングとエグナアとの密通の事を聞きましたがその時エグナアはシリングの野郎は
無法な火葬 (旧字旧仮名) / 小泉八雲(著)
「そりや、だれだつてつてまさ、わつしたゞきふ天氣模樣てんきもやうかはつて、かぜでもきやしまいかと、それをおまをすんでさあ。」
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わつしですか。わつしはこれで仲々粋な処へ行くんぜ。——まあ御覧なさい。かう云ふ瘤付きです。」
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
「へえ、わつしは深川の六間堀ろくけんぼりで、これでも越後屋重吉と云ふ小間物渡世とせいでござりやす。」
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わつしが行つて一遍さがして來ようか。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
いのがあつたら二つばかりかついツて、ねえさんが小遣こづけえれやしたから、何卒どうぞわつし丁度ちやうどさそうな世辞せじがあつたらうつておんなせえな。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
わつしは旦那に申し上げた通り、越後屋重吉と云ふ小間物渡世で、年にきつと一二度はこの街道を上下のぼりくだりしやすから、善かれ悪しかれいろいろな噂を知つて居りやすので、つい口から出まかせに
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
コロンビアでは知人には誰にも會はず麥酒を二三杯引掛けわつしは家の方へ歩いて歸つて來ました。草臥れたんで電車に乘りエルム街の停車場で降り家の方へ歸つて來るところを捕まつたのです。
無法な火葬 (旧字旧仮名) / 小泉八雲(著)
「さう思つてわつしも一生懸命やるだけはやる積りなんですがね。」
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
わつしはね今日けふはアノとほり朝からりましたので一にちらくようと思つて休んだが、うも困つたもんですね、なんですい病気は。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「旦那え、この酒なら御口に合ひやせう。これから甲州路へかかつて御覧なさいやし。とてもかう云ふ酒は飲めませんや。へへ、古い洒落しやれだが与右衛門の女房で、わつしばかりかさねがさね——」
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
なんです、遠慮ゑんりよなくうおひなさい、わつしが買つてげませう、何様どんな物がべたいんです、うもなんだツて沢山たんとべられやしますまい。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
何日いつでもちよいとわつしをおびなさりやアあな見附みつけて一幕位まくぐらゐせてげらア、うもおほきに有難ありがたうがした。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
エヽこれうがす、ナニ一りやうだとえ大層たいそう安いね、おもらまうしきやせう、小僧こぞうさんまた木挽町こびきちやうはうへでもお使つかひたらおんなせえ、わつし歌舞伎座附かぶきざつき茶屋ちやや武田屋たけだや兼吉かねきちてえもんです
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)