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心殘
神聖い
語で
二人の
手を
結び
合はして
下されば、
戀を
亡す
死の
爲に
此身が
如何樣にならうとまゝ。
妻と
呼ぶことさへ
叶へば、
心殘りはない。
わしは
七十の
阪を
越して、もういつ
命が
終るかわからぬ。
今のうちによい
婿をとつて、
心殘りのないようにして
置きたい。
此下駄で
田町まで
行く
事かと
今さら
難義は
思へども
詮方なくて
立上る
信如、
小包みを
横に二タ
足ばかり
此門をはなれるにも、
友仙の
紅葉目に
殘りて、
捨てゝ
過ぐるにしのび
難く
心殘りして
見返れば