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悲
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かな
ふりがな文庫
“
悲
(
かな
)” の例文
ぼくは、そうきくと、
物心
(
ものごころ
)
のつかない
幼時
(
ようじ
)
のことだけれど、なんとなく、いじらしい
兄
(
あに
)
のすがたが
目
(
め
)
に
浮
(
う
)
かんで、
悲
(
かな
)
しくなるのです。
兄の声
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と
言
(
い
)
って、あたりを
見𢌞
(
みまわ
)
した
時
(
とき
)
の
袖子
(
そでこ
)
は
何
(
なに
)
がなしに
悲
(
かな
)
しい
思
(
おも
)
いに
打
(
う
)
たれた。その
悲
(
かな
)
しみは
幼
(
おさな
)
い
日
(
ひ
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げて
行
(
ゆ
)
く
悲
(
かな
)
しみであった。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
我
(
われ
)
ゆゑ
死
(
し
)
ぬる
人
(
ひと
)
のありとも
御愁傷
(
ごしうしよう
)
さまと
脇
(
わき
)
を
向
(
む
)
くつらさ
他處目
(
よそめ
)
も
養
(
やしな
)
ひつらめ、さりとも
折
(
おり
)
ふしは
悲
(
かな
)
しき
事
(
こと
)
恐
(
おそ
)
ろしき
事
(
こと
)
胸
(
むね
)
にたゝまつて
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
で、その
白鳥
(
はくちょう
)
は、
今
(
いま
)
となってみると、
今
(
いま
)
まで
悲
(
かな
)
しみや
苦
(
くる
)
しみにさんざん
出遭
(
であ
)
った
事
(
こと
)
が
喜
(
よろこ
)
ばしい
事
(
こと
)
だったという
気持
(
きもち
)
にもなるのでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
いかにもねばり
強
(
づよ
)
い、あきらめにくい
悲
(
かな
)
しみの
心
(
こゝろ
)
が、ものゝ
纏
(
まと
)
ひついたように、くね/\した
調子
(
ちようし
)
の
現
(
あらは
)
れてゐるのが
感
(
かん
)
じられませう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
▼ もっと見る
『それから
後
(
のち
)
は』と
帽子屋
(
ばうしや
)
は
悲
(
かな
)
しげな
調子
(
てうし
)
で、『
私
(
わたし
)
の
云
(
い
)
ふことを
聞
(
き
)
かなくなつて
了
(
しま
)
つて!まァ、
何時
(
いつ
)
でも六
時
(
じ
)
のところに
止
(
とま
)
つてゐる』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
誰
(
たれ
)
も爲る
者
(
もの
)
有
(
あ
)
るまじと思ひ
頻
(
しきり
)
に
悲
(
かな
)
しく心は後へ
引
(
ひか
)
れながら既に
奉行所
(
ぶぎやうしよ
)
へ來り
白洲
(
しらす
)
へ
引居
(
ひきすゑ
)
られたり此日伊勢屋三郎兵衞方にては彼旅僧を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その中で
娘
(
むすめ
)
はまだ
子供
(
こども
)
でしたから、ついそこらへ出かけて、じきにおとうさんが
帰
(
かえ
)
って
来
(
く
)
るもののように
思
(
おも
)
って、
悲
(
かな
)
しそうな
顔
(
かお
)
もしずに
松山鏡
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
心から
悲
(
かな
)
しんでいるのでした。ふたりは
貧
(
まず
)
しい
百姓
(
ひゃくしょう
)
でした。持っている土地といえば、わずかに庭ぐらいの大きさのものでした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
しかし、やがて
贈
(
おく
)
り
主
(
ぬし
)
の
悲
(
かな
)
しき
形
(
かた
)
見になつたその
寫眞器
(
しやしんき
)
は、
支那
(
しな
)
の旅から
歸
(
かへ
)
ると
間
(
ま
)
もなく、或る
文
(
ぶん
)
學青年の
詐欺
(
さぎ
)
にかゝつてうしなはれた。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
この
日
(
ひ
)
から、
少年
(
せいねん
)
のちいさい
胸
(
むね
)
には
大
(
おほ
)
きな
黒
(
くろ
)
い
塊
(
かたまり
)
がおかれました。
妬
(
ねた
)
ましさににて
嬉
(
うれし
)
く、
悲
(
かな
)
しさににて
懐
(
なつか
)
しい
物思
(
ものおもひ
)
をおぼえそめたのです。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
その
時分
(
じぶん
)
の
不安
(
ふあん
)
、
焦燥
(
しょうそう
)
、
無念
(
むねん
)
、
痛心
(
つうしん
)
……
今
(
いま
)
でこそすっかり
精神
(
こころ
)
の
平静
(
へいせい
)
を
取
(
と
)
り
戻
(
もど
)
し、
別
(
べつ
)
にくやしいとも、
悲
(
かな
)
しいとも
思
(
おも
)
わなくなりましたが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
彼
(
かれ
)
は
寐
(
ね
)
ながら
過去
(
くわこ
)
二三
時間
(
じかん
)
の
經過
(
けいくわ
)
を
考
(
かんが
)
へて、
其
(
その
)
クライマツクスが
突如
(
とつじよ
)
として
如何
(
いか
)
にも
不意
(
ふい
)
に
起
(
おこ
)
つたのを
不思議
(
ふしぎ
)
に
感
(
かん
)
じた。
且
(
かつ
)
悲
(
かな
)
しく
感
(
かん
)
じた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ヂュリ さ、
乳母
(
うば
)
いの。……ま、
何
(
なん
)
で
其樣
(
そのやう
)
な
情
(
なさけ
)
ない
顏
(
かほ
)
してゐやる?
悲
(
かな
)
しい
消息
(
しらせ
)
であらうとも、せめて
嬉
(
うれ
)
しさうに
言
(
い
)
うてたも。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
お
日様
(
ひさま
)
はもえる
宝石
(
ほうせき
)
のように
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
にかかり、あらんかぎりのかがやきを
悲
(
かな
)
しむ
母親
(
ははおや
)
の
木
(
き
)
と
旅
(
たび
)
にでた
子
(
こ
)
どもらとに
投
(
な
)
げておやりなさいました。
いちょうの実
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
生
(
う
)
みの
親
(
おや
)
のことも
忘
(
わす
)
れて、こゝのお
二人
(
ふたり
)
に
馴
(
な
)
れ
親
(
した
)
しみましたので、
私
(
わたし
)
はお
側
(
そば
)
を
離
(
はな
)
れて
行
(
い
)
くのが、ほんとうに
悲
(
かな
)
しうございます
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
『おゝ、』と
飛附
(
とびつ
)
くやうな
返事
(
へんじ
)
を
為
(
し
)
て
顔
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
したが、
固
(
もと
)
より
誰
(
たれ
)
も
居
(
ゐ
)
やう
筈
(
はず
)
は
無
(
な
)
い。
枕
(
まくら
)
ばかり
寂
(
さび
)
しく
丁
(
ちやん
)
とあり、
木賃
(
きちん
)
で
無
(
な
)
いのが
尚
(
な
)
ほうら
悲
(
かな
)
しい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「わたくしたちも泣きながら、七
里
(
り
)
の
山路
(
やまじ
)
を歩いたのです。もうおよばないことですから、このうえ、
悲
(
かな
)
しいことをいわないでくださいまし」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つくづくと険しくなつて了つたわれとわが顔をぢつと
凝視
(
みつ
)
めてゐた私は心の底から突きあげてくる
悲
(
かな
)
しさと狂ほしさから
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
眼中
(
がんちう
)
に
無念
(
むねん
)
の
涙
(
なみだ
)
を
浮
(
うか
)
べて、
今
(
いま
)
も
猶
(
な
)
ほ
多少
(
たせう
)
仇浪
(
あだなみ
)
の
立騷
(
たちさわ
)
いで
居
(
を
)
る
海面
(
かいめん
)
を
睨
(
にら
)
んで
居
(
を
)
る。
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
はいと/\
悲
(
かな
)
し
相
(
さう
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
彼
(
かれ
)
は
只
(
たゞ
)
涙
(
なみだ
)
がこみあげて
止
(
と
)
め
處
(
ど
)
もなく
悲
(
かな
)
しくさうしてしみ/″\と
泣
(
な
)
き
續
(
つゞ
)
けた。
勘次
(
かんじ
)
はそれを
聞
(
き
)
いた
瞬間
(
しゆんかん
)
肩
(
かた
)
の
唐鍬
(
たうぐは
)
を
轉
(
ころ
)
がしてぶつりと
土
(
つち
)
を
打
(
う
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
赤裸々
(
せきらゝ
)
に、
眞面目
(
まじめ
)
に、
謙遜
(
けんそん
)
に
悔
(
く
)
ゐることの、
悲痛
(
ひつう
)
な
悲
(
かな
)
しみと、しかしながらまた
不思議
(
ふしぎ
)
な
安
(
やすら
)
かさとをも
併
(
あは
)
せて
經驗
(
けいけん
)
した。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
江戸
(
えど
)
の
民衆
(
みんしゅう
)
は、
去年
(
きょねん
)
の
吉原
(
よしわら
)
の
大火
(
たいか
)
よりも、
更
(
さら
)
に
大
(
おお
)
きな
失望
(
しつぼう
)
の
淵
(
ふち
)
に
沈
(
しず
)
んだが、
中
(
なか
)
にも
手中
(
しゅちゅう
)
の
珠
(
たま
)
を
奪
(
うば
)
われたような、
悲
(
かな
)
しみのどん
底
(
ぞこ
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだのは
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ひややかなまま母、思いやりのない夫、家の人びとのあまりにすげなきしぶりを気づいては、お政は
心中
(
しんちゅう
)
惑乱
(
わくらん
)
してほとんど
昏倒
(
こんとう
)
せんばかりに
悲
(
かな
)
しい。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
日
(
ひ
)
は
已
(
すで
)
に
沒
(
ぼつ
)
した。イワン、デミトリチは
顏
(
かほ
)
を
枕
(
まくら
)
に
埋
(
うづ
)
めて
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
横
(
よこ
)
になつてゐる。
中風患者
(
ちゆうぶくわんじや
)
は
何
(
なに
)
か
悲
(
かな
)
しさうに
靜
(
しづか
)
に
泣
(
な
)
きながら、
唇
(
くちびる
)
を
動
(
うご
)
かしてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それから、小さいニールスは、家も食べ物も何もない、野の
生
(
い
)
き物たちと生活をともにして、小さな生き物たちの
苦
(
くる
)
しみや
悲
(
かな
)
しみをつぶさに知ります。
「ニールスのふしぎな旅 下」まえがき
(新字新仮名)
/
矢崎源九郎
(著)
それでも、
私
(
わたし
)
、どんなに
悲
(
かな
)
しいことだらうと
思
(
おも
)
ひますわ。
只
(
たゞ
)
ね、そう
考
(
かんが
)
へるだけでも、
涙
(
なみだ
)
が
出
(
で
)
そうなんですもの。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
おかみさんは金貨の袋を見て、大へん
悲
(
かな
)
しそうな、またこわいような顔をして、アリ・ババに泣きつきました。
アラビヤンナイト:03 三、アリ・ババと四十人のどろぼう
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
(七五)
巖穴
(
がんけつ
)
の
士
(
し
)
、
(七六)
趨舍
(
すうしや
)
(七七)
時
(
とき
)
有
(
あ
)
り、
此
(
かく
)
の
若
(
ごと
)
きの
類
(
たぐひ
)
、
名
(
な
)
(七八)
湮滅
(
いんめつ
)
して
稱
(
しよう
)
せられず、
悲
(
かな
)
しい
哉
(
かな
)
。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
土井は
悲
(
かな
)
しいお伽話に似た、可憐なその作品が、さうむづかしいものでもなかつたところから、悪戯に訳して見たこともあつたくらゐ、
懐
(
なつ
)
かしみを
感
(
かん
)
じたが
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
恥
(
はづか
)
しさ、
悲
(
かな
)
しさ、
腹立
(
はらだ
)
たしさ、——その
時
(
とき
)
のわたしの
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
は、
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
へば
好
(
よ
)
いかわかりません。わたしはよろよろ
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
りながら、
夫
(
をつと
)
の
側
(
そば
)
へ
近寄
(
ちかよ
)
りました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
丁坊はすべてを
諦
(
あきら
)
めて、そしてこの上は、せめて日本人らしく笑って死のうと思った。ただしかし、東京にいるお母さんに会えないで
死
(
し
)
ぬことが
悲
(
かな
)
しい——。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ラプンツェルは、その
後
(
ご
)
、
男
(
おとこ
)
と
女
(
おんな
)
の
双生児
(
ふたご
)
を
産
(
う
)
んで、この
沙漠
(
さばく
)
の
中
(
なか
)
に、
悲
(
かな
)
しい
日
(
ひ
)
を
送
(
おく
)
って
居
(
い
)
たのです。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
彼はクリストフが
悲
(
かな
)
しがってるのに気がついて、
抱
(
だ
)
いてやろうとした。しかしクリストフは
怒
(
おこ
)
って横を向いた。そして彼は
幾日
(
いくにち
)
も
不機嫌
(
ふきげん
)
だった。
小父
(
おじ
)
を
憎
(
にく
)
んでいた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
秋の
刈入
(
かりい
)
れがすんで、
手伝
(
てつだ
)
い仕事がなくなると、村のひとたちはだれも清造にこういうのでした。清造はそれを聞くと
悲
(
かな
)
しくなって、沼のふちへ来て
泣
(
な
)
いていました。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
ひとたび法師がびわをひきだし、その歌をうたいはじめると、なんともいえないあわれさ、
悲
(
かな
)
しさがひびきわたり、
鬼
(
おに
)
でさえも
泣
(
な
)
かずにはいられないほどでありました。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
熊の
居
(
ゐ
)
たる跡へ
坐
(
すはり
)
しにそのあたゝかなる事
巨燵
(
こたつ
)
にあたるごとく
全身
(
みうち
)
あたゝまりて
寒
(
さむさ
)
をわすれしゆゑ、熊にさま/″\礼をのべ猶もたすけ玉へと
種々
(
いろ/\
)
悲
(
かな
)
しき事をいひしに
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
そして
顏
(
かほ
)
には
赤
(
あか
)
い
紅
(
べに
)
を
塗
(
ぬ
)
つたのだとか、
少
(
すこ
)
し
口元
(
くちもと
)
を
歪
(
ゆが
)
めて
悲
(
かな
)
しそうな
表情
(
ひようじよう
)
をしたものもあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
婦負
(
めひ
)
の
野
(
ぬ
)
の
薄
(
すすき
)
おし
靡
(
な
)
べ
降
(
ふ
)
る
雪
(
ゆき
)
に
宿
(
やど
)
借
(
か
)
る
今日
(
けふ
)
し
悲
(
かな
)
しく
思
(
おもほ
)
ほ
(
イは
)
ゆ 〔巻十七・四〇一六〕 高市黒人
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
エチエンヌはすっかり
息
(
いき
)
を切らして四人に
追
(
お
)
いつきます。四人がそんなゲートルをはかされているのを見ると、
喜
(
よろこ
)
んでいいのか、
悲
(
かな
)
しんでいいのかわからないような
気持
(
きもち
)
です。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
仲善
(
なかよ
)
しの
象
(
ぞう
)
と
熊
(
くま
)
とは、
折
(
をり
)
ふし、こんな
悲
(
かな
)
しい
話
(
はなし
)
をしてはおたがひの
身
(
み
)
の
不幸
(
ふしあはせ
)
を
嘆
(
なげ
)
きました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
要吉は、なんとなくむかむかするといっしょに
悲
(
かな
)
しい気持になりました。店でくさらせるばかりでなく、こうして、おやしきの
台所
(
だいどころ
)
へきても、まだ、たべる人もなくくさらせる。
水菓子屋の要吉
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
悲
(
かな
)
しそうなおどおどしたようすで、
僧正様
(
そうじょうさま
)
にお
祈
(
いの
)
りをしていただきたいと申すんです。
活人形
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
蠻勇
(
ばんゆう
)
、
余
(
よ
)
の
如
(
ごと
)
きを、
斯
(
か
)
くまでに
慕
(
した
)
ふかを
思
(
おも
)
へば、
嬉
(
うれ
)
しいよりも
悲
(
かな
)
しさが
浮
(
うか
)
んで
來
(
く
)
る。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
〔ああ、ヱヴェレストはまだ
遠
(
とほ
)
いらしい。〕ペンペは
悲
(
かな
)
しい
聲
(
こえ
)
をあげて
泣
(
な
)
きだしたが、
自分
(
じぶん
)
の
聲
(
こえ
)
を
聴
(
き
)
いて
救
(
すく
)
ひに
来
(
く
)
るものも
無
(
な
)
いのかとおもふと、
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つて、
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
が
茫
(
ぼう
)
ッとして
来
(
き
)
た。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
はずかしさと、
悲
(
かな
)
しさと、新しいシャツを思う
嬉
(
うれ
)
しさのこんぐらかった中で、シューラは
誰
(
だれ
)
かのうきうきしたような、もじもじしたような
声
(
こえ
)
を聞きわけた。
走
(
はし
)
って
来
(
き
)
たためにやや
息
(
いき
)
ぎれがしている。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
それはちょうど
蛇
(
へび
)
にみこまれた小鳥の、
悲
(
かな
)
しいさけび声に似ていた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
無理
(
むり
)
ないわ あたしだつて
悲
(
かな
)
しくなつちまつたわ アーン アーン
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
悲
(
かな
)
しくもまたあはれなり、冬の夜の
地爐
(
ゐろり
)
の
下
(
もと
)
に
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
父はよく
悲
(
かな
)
しがつて女の人たちに言つてゐた。
お灸
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
悲
常用漢字
小3
部首:⼼
12画
“悲”を含む語句
悲哀
悲愁
悲劇
悲痛
慈悲
悲惨
悲愴
悲嘆
悲歌
御慈悲
慈悲心鳥
悲歎
悲壮
悲慘
悲観
慈悲深
悲傷
可悲
歎悲
悲鳴
...