かな)” の例文
旧字:
世界の希望は人間の希望なり、何をか人間の希望といふ、曰く、個の有限の中にありて彼の無限の目的にかなはせんこと是なり。
「拙者の以前まえに持っておった者が、やはり三つの願をかけて、それも三つともかなったとか聞き及んでおるが——。」
クリストの一生を背景にしたクリスト教を理解することはこの為に一々彼の所業を「予言者X・Y・Zの言葉にかなはせん為なり」と云ふ詭弁きべんを用ひなければならなかつた。
続西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
◯コリント後書五章はまずおわりの日における信徒の栄化(永世賦与えいぜいふよ)を述べ、次に五節において「それこの事にかなう者と我らをし給う者は神なり、聖霊みたまをそのかたとして我らに賜えり」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
長秀曰く、子を立てるとしたら此場合、信雄信孝両公のいずれを推すかはすこぶる問題となるから、それより秀吉の言の如く、嫡孫の三法師殿を立てるのが一番大義名分にかなって居るように思われる。
賤ヶ岳合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
マシユー・アーノルドは、「人生の批評としての詩に於ては、詩の理、詩の美の定法にかなふかぎりは、人生を慰め、人生を保つことを得るなり」
国民の理想にしたがひしものにして天理にそむきしものは甚だ稀なり、く国民の志望を充たせし人は常に能く人類の幸福を増進せし人なり、ネルソンは英国民の理想にかなひて世界進歩に偉業を呈せり
ネルソン伝に序す (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
女性はどこまでも女性らしく写すを可とす、どこまでも自然にかなふを以て写実主義の本色とすなる可し。