裸虫抄らちゅうしょう
横須賀にゐる妹(彼の妻の)のところで、当分彼の息子をあづかりたいと云つて寄越したのである。子供のない慎ましい夫婦暮しで、文学の本ばかり読んでゐる妹であつた。彼の息子は、彼が転地療養をすることになつたが、学校の都合で東京の親戚にのこつてゐた。 …