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哉
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かな
ふりがな文庫
“
哉
(
かな
)” の例文
「音に聞えし真柄殿、
何処
(
どこ
)
へ行き給うぞや、引返し勝負あれ」と呼びければ、「引くとは何事ぞ、
悪
(
にく
)
い男の言葉
哉
(
かな
)
。いでもの見せん」
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
これ必ずしも意外ならず、
苟
(
いやし
)
くも吾が宮の如く美きを、目あり心あるものの
誰
(
たれ
)
かは恋ひざらん。
独
(
ひと
)
り怪しとも怪きは隆三の
意
(
こころ
)
なる
哉
(
かな
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
果せる
哉
(
かな
)
、この平さんは百両の富が当った嬉しまぎれに、友達を無暗に引っぱって角の店へ上って、景気よく一杯やり出しました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何で眼を醒ましたのかと思って、ボンヤリしていると果せる
哉
(
かな
)
だ。コンナ風に
雑然
(
ごちゃごちゃ
)
聞えて来る騒音の中のドレか一つが起している。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
道に反く者、心の弱き者、定見なき者又単なる好奇心で動く者は、
禍
(
わざわい
)
なる
哉
(
かな
)
である。真理を求むる者のみが、
大盤石
(
だいばんじゃく
)
の上に立って居る。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
▼ もっと見る
ここに於て我輩の要求する
如上
(
じょうじょう
)
の二大要項の根本的解決の必成を期待して
已
(
や
)
まざるものである。人道主義なる
哉
(
かな
)
、人道主義なる哉。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「春の海
終日
(
ひねもす
)
のたりのたり
哉
(
かな
)
」……「海」を「河」に置き代えよう。「春の河終日のたりのたり哉」まさに隅田がそうであった。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
人見のせがれは
怪
(
け
)
しからぬ、卜幽の子は不肖だと、よう陰口を耳にするが、故ある
哉
(
かな
)
、そちの言は、どうもいちいち
僭越
(
せんえつ
)
すぎるようだの。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
所以
(
ゆえ
)
ある
哉
(
かな
)
、主税のその面上の雲は、河野英吉と床の間の矢車草……お妙の花を争った時から、早やその影が懸ったのであった。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もし甲冑を帯していなかったら、今少し体つきの
工合
(
ぐあい
)
なども分るのであろうが、惜しい
哉
(
かな
)
此の服装ではたゞ顔だけしか見ることが出来ない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この本堂の内陣の土蔵の
扉
(
とびら
)
にも椿岳の
麒麟
(
きりん
)
と
鳳凰
(
ほうおう
)
の画があったそうだが、惜しい
哉
(
かな
)
、十数年前修繕の際に
取毀
(
とりこぼ
)
たれてしまった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
私が子規のまだ生きているうちに、「半鐘と並んで高き冬木
哉
(
かな
)
」という句を作ったのは、実はこの半鐘の記念のためであった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
悲しい
哉
(
かな
)
、私たちの知識が私たちを
卑怯
(
ひきょう
)
にしなかった場合は少ない。そうしてこれが作物の生気を奪わなかった場合は少ない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
言懸
(
いひかけ
)
られお菊は
口惜
(
くやし
)
きこと限りなく
屹度
(
きつと
)
膝
(
ひざ
)
を立直し是は思ひも依ぬ事を
仰
(
おほ
)
せらるゝもの
哉
(
かな
)
云掛
(
いひかゝり
)
されるも程がある
勿體
(
もつたい
)
ない母樣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「江戸なる
哉
(
かな
)
、江戸なる哉、天明三年吉原松葉屋今の瀬川を千五百両にて身請せし大尽あり、諸侯の
類
(
たぐい
)
かと聞くに
不然
(
しからず
)
、尋常の町家なりとぞ」
傾城買虎之巻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
史学なる
哉
(
かな
)
、史学なるかな、史学は実に当時に於ける思想世界の薬石なり。禅学廃して宋学起り宋学盛んにして陽明学興る。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
誰やらの
邸
(
やしき
)
で歌の会のあったとき見覚えた通りに半紙を横に二つに折って、「家老衆はとまれとまれと仰せあれどとめてとまらぬこの五助
哉
(
かな
)
」
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
窮するも命なることを知り、大難に臨んでいささかの興奮の色も無い孔子の
容
(
すがた
)
を見ては、大勇なる
哉
(
かな
)
と嘆ぜざるを得ない。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
あはれなる
哉
(
かな
)
吾友
(
わがとも
)
よ、我のラサ府にありし時、その身につみの
及
(
およ
)
ばんを、知らぬこころゆ
吾
(
わが
)
ために、
尽
(
つく
)
せし君を
我
(
われ
)
いかに、
棄
(
す
)
てゝや安く
過
(
すご
)
すべき
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
惜しい
哉
(
かな
)
東の方は前山に遮られて、充分に裾野の発達する余地がないので、やや優美の趣に欠けているのは是非もない。
那須、尾瀬、赤城、志賀高原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
……里まで出づれば
食物
(
くいもの
)
もあらんに、それさへ四足疲れはてて、今は
怎麼
(
いか
)
にともすべきやうなし。ああいひ甲斐なき事
哉
(
かな
)
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
かなしい
哉
(
かな
)
、すでに
錆
(
さ
)
びていたという話がある。十年一日の
如
(
ごと
)
き、不変の政治思想などは迷夢に過ぎないという意味だ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
『
快
(
くわい
)
なる
哉
(
かな
)
、
櫻木君
(
さくらぎくん
)
の
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
は
遂
(
つひ
)
に
竣工
(
しゆんこう
)
しましたか。』と、
暫時
(
しばし
)
は
言
(
げん
)
もなく、
東天
(
とうてん
)
の
一方
(
いつぽう
)
を
眺
(
なが
)
めたが、
忽
(
たちま
)
ち
腕拱
(
うでこま
)
ぬき
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
情ない
哉
(
かな
)
惣次郎は血に染って倒れておりますから、百姓衆も気の毒に思い、死骸を戸板に載せて引き取り、此の事を代官へ訴え、
先
(
ま
)
ず検視も済み
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
良い
哉
(
かな
)
ブッシュ、このレコード三枚あっただけで、私はブッシュを、クライスラーの次に座を設けたくなるくらいだ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
御主意
(
ごしゆい
)
御尤
(
ごもつとも
)
に
候
(
さふらふ
)
。
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
唱歌
(
しやうか
)
は
思
(
おも
)
ひ
止
(
と
)
まり
候
(
さふらふ
)
。
淺
(
あさ
)
ましい
哉
(
かな
)
。
教室
(
けうしつ
)
に
慣
(
な
)
れ
候
(
さふらふ
)
に
從
(
した
)
がつて
心
(
こゝろ
)
よりも
形
(
かたち
)
を
教
(
をし
)
へたく
相成
(
あひな
)
る
傾
(
かたむ
)
き
有之
(
これあり
)
、
以後
(
いご
)
も
御注意
(
ごちゆうい
)
願上候
(
ねがひあげさふらふ
)
。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
そして日本の文壇と思潮界は、このノンセンス等によって支配されている。救いがたい
哉
(
かな
)
! 吾人はむしろ彼等を捨て、民衆の群に行かねばならぬ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
主人が少年書生と
見縊
(
みくびっ
)
て金を恵む了簡であろう、無礼な事をするもの
哉
(
かな
)
と少し心に立腹して、真面目になって争う事があると云うような次第で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
順徳院の御製に(承久のみだれに佐渡へ遷幸の時なり)「
都
(
みやこ
)
をばさすらへ
出
(
いで
)
し
今宵
(
こよひ
)
しもうき身
名立
(
なだち
)
の月を見る
哉
(
かな
)
」▲
直江津
(
なほえのつ
)
今の高田の
海浜
(
かいひん
)
をいふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
陣々相
比
(
な
)
らび簇々相薄まりその
熾
(
さか
)
んなること
洵
(
まこと
)
に空前の盛観であってよくもかく殖えたもの
哉
(
かな
)
と目を瞠らしめた。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
(七五)
巖穴
(
がんけつ
)
の
士
(
し
)
、
(七六)
趨舍
(
すうしや
)
(七七)
時
(
とき
)
有
(
あ
)
り、
此
(
かく
)
の
若
(
ごと
)
きの
類
(
たぐひ
)
、
名
(
な
)
(七八)
湮滅
(
いんめつ
)
して
稱
(
しよう
)
せられず、
悲
(
かな
)
しい
哉
(
かな
)
。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
虎はかく人畜を残害するもののそれは「柿食いに来るは烏の道理
哉
(
かな
)
」で、食肉獣の悲しさ他の動物を生食せずば自分の命が立ち往かぬからやむを得ぬ事だ
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
しかも、その酒杯が古染ネジなどであり、このわたの容器が朝鮮
斑唐津
(
まだらからつ
)
などの珍器であったとしたら、まったくもってたまらない。人生の楽事
亦
(
また
)
多なる
哉
(
かな
)
だ。
くちこ
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
斯く思いて余は
殆
(
ほとん
)
ど震い上り世には恐ろしき夫婦もある
哉
(
かな
)
と
嘆
(
たん
)
じたれど、此後の事は是よりも
猶
(
な
)
お
酷
(
ひど
)
かりき。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
芭蕉
(
ばしょう
)
翁は「
木曾
(
きそ
)
殿と背中あはせの寒さ
哉
(
かな
)
」と云ったそうだが、わたしは
蒲
(
かば
)
殿と背中あわせの暑さにおどろいて、羽織をぬぎに宿に帰ると、あたかも午前十時。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
父に
負
(
そむ
)
かず、師に
負
(
そむ
)
かず、天に
合
(
がっ
)
して人に
合
(
がっ
)
せず、道に同じゅうして時に同じゅうせず、
凛々烈々
(
りんりんれつれつ
)
として、屈せず
撓
(
たゆ
)
まず、苦節
伯夷
(
はくい
)
を慕わんとす。壮なる
哉
(
かな
)
。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
総
(
すべ
)
ては総てはみこころである。
誠
(
まこと
)
に
畏
(
かしこ
)
き極みである。主の恵み讃うべく主のみこころは測るべからざる
哉
(
かな
)
。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
翠
(
みどり
)
の
帳
(
とばり
)
、きらめく星
白妙
(
しらたへ
)
の
牀
(
ゆか
)
、かがやく雪
宏
(
おほい
)
なる
哉
(
かな
)
、美くしの自然
誰
(
た
)
が為め神は、備へましけむ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
悲しい
哉
(
かな
)
、人間の実相はここにある。然り、実に悲しい哉、人間の実相はここにある。この実相は社会制度により、政治によって、永遠に救い得べきものではない。
続堕落論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
苟且
(
かりそめ
)
の物を愛するため自ら
永遠
(
とこしへ
)
にこの愛を失ふ人のはてしなく歎くにいたるも
宜
(
むべ
)
なる
哉
(
かな
)
一〇—一二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
宜
(
むべ
)
なる
哉
(
かな
)
、
縲絏
(
るいせつ
)
の
辱
(
はずかし
)
めを受けて獄中にあるや、同志よりは背徳者として
擯斥
(
ひんせき
)
せられ、牢獄の役員にも
嗤笑
(
ししょう
)
せられて、やがて公判開廷の時ある壮士のために傷つけられぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
能
(
よ
)
くこの二思想を調和して民衆を誘導していったならば、こういう
禍
(
わざわい
)
を未然に
禦
(
ふせ
)
ぐ事が出来たに相違ないが、惜い
哉
(
かな
)
こういう人物は当時一人もいなかったのでございます。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
夫
(
をつと
)
をして
三井
(
みつゐ
)
、
白木
(
しろき
)
、
下村
(
しもむら
)
の
売出
(
うりだ
)
し
広告
(
くわうこく
)
の前に立たしむればこれある
哉
(
かな
)
必要
(
ひつえう
)
の一
器械
(
きかい
)
なり。あれが
欲
(
ほ
)
しいの
愬
(
うつた
)
へをなすにあらざるよりは、
毫
(
がう
)
もアナタの存在を
認
(
みと
)
むることなし
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
美なるかな、
明
(
めい
)
なる
哉
(
かな
)
、街頭に
瓦斯
(
ガス
)
ランプ立つ。これで西洋の市街に負けぬという見出しで
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
然れども
幸
(
さいわい
)
なる
哉
(
かな
)
、わが西洋崇拝の詩作は
尽
(
ことごと
)
く日本文となりて日本の文壇に出づるや、当時文壇の風潮と合致する処ありければ
忽
(
たちま
)
ち虚名を
贏
(
か
)
ち得たりき。けだし偶然の事なり。
矢立のちび筆
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
かなしい
哉
(
かな
)
、かれらも人間だということを認めなければならない、おそらく家族もあることだろう、医者としての才能がないとわかっても、ほかに生きる手段がなければどうするか
赤ひげ診療譚:05 徒労に賭ける
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
劒ヶ峰の一角先づ
燧
(
ひうち
)
を発する如く反照し、峰に
倚
(
よ
)
れる我が
髭
(
ひげ
)
燃えむとす、光の先づ宿るところは、
棟
(
むね
)
高き真理の
精舎
(
しやうじや
)
にあるを
念
(
おも
)
ふ、太陽なる
哉
(
かな
)
、我は現世に在りて
只
(
たゞ
)
太陽を
讚
(
さん
)
するのみ
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
「善いかな、
善
(
よ
)
い
哉
(
かな
)
、
乃至
(
ないし
)
、文字語言あることなし。これ真に不二の法門に入る」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
悠々たる哉
天壌
(
てんじょう
)
。
遼々
(
りょうりょう
)
たる
哉
(
かな
)
古今。五尺の小躯を以て此大をはからむとす。ホレーショの哲学
竟
(
つい
)
に何等のオーソリチーを
価
(
あたい
)
するものぞ。万有の真相は唯一言にして
悉
(
つく
)
す。曰く「不可解」。
巌頭の感
(新字新仮名)
/
藤村操
(著)
さっき
柩
(
ひつぎ
)
を
舁
(
か
)
き出されたまでは覚えて居たが、その後は道々棺で揺られたのと寺で鐘太鼓ではやされたので全く逆上してしまって、惜い
哉
(
かな
)
木蓮屁茶居士などというのはかすかに聞えたが
墓
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
哉
漢検準1級
部首:⼝
9画
“哉”を含む語句
善哉
愚哉
快哉
志賀直哉
善哉善哉
悲哉
秀哉
有之哉
不知哉丸
直哉
不知哉
候哉
惜哉
可降哉
曳哉
欽哉
候哉共被疑
別哉
何哉
雑言哉
...