假名かな)” の例文
新字:仮名
ガラツ八は時々ふところを覗いて、假名かなで書いて貰つた口上書を辨慶べんけい讀みにし乍ら、斯う言つた聲を張り上げました。
むかうて筋違すぢつかひかどから二軒目けんめちひさなやなぎが一ぽんひくえだのしなやかにれた葉隱はがくれに、一間口けんぐちまい腰障子こししやうじがあつて、一まいには假名かな、一まいには眞名まな豆腐とうふいてある。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それでまためづらしくなつて、一旦いつたんせたのをまたけてると、不圖ふと假名かなまじらない四角しかくが二ぎやうほどならんでゐた。それにはかぜ碧落へきらくいて浮雲ふうんき、つき東山とうざんのぼつてぎよく一團いちだんとあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「待て/\、假名かなが四つ、本字が三つぢや手の付けやうがない。何にか順序があるだらう」
結構な鼈甲べつかふの肌に、引つ掻きのやうな、假名かな文字のやうなものが見えますね
八五郎はあごで拍子を取り乍ら、恐ろしく下手へた假名かな文字を讀みだします。
穴の中で見付けた手紙も、この男が書いてお兼のおるゐに渡したに相違ありませんが、平次はそれと感付きながら、わざと假名かなを書かせて、窮屈きうくつさうに手筋を變へて書く源助の樣子を觀察したのでした。
幹助は無筆と言つてゐるが實は假名かな文字くらゐは書ける。
「日本の字だつてやがる。それは假名かなだよ」
と、怪しい假名かなで書くのです。