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仮名
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かな
ふりがな文庫
“
仮名
(
かな
)” の例文
旧字:
假名
今年は小学校へ入学する
筈
(
はず
)
であるが、数字はやっと十一までしか数えられず、ひら
仮名
(
かな
)
で、自分の名前を書くことがやっとこさである。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
では自分で
仮名
(
かな
)
の一字でも教えてくれたか。父はそれもしない。そしてただ、終日酒を飲んでは花をひいて遊び暮したのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
とその○□△を
楽書
(
らくがき
)
の余白へ、鉛筆を
真直
(
まっすぐ
)
に取ってすらすらと春の水の
靡
(
なび
)
くさまに走らした
仮名
(
かな
)
は、かくれもなく、散策子に
読得
(
よみえ
)
られた。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
男の顔がはなはだ
獰猛
(
どうもう
)
にできている。まったく西洋の絵にある
悪魔
(
デビル
)
を模したもので、念のため、わきにちゃんとデビルと
仮名
(
かな
)
が振ってある。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
宗業
(
むねなり
)
が、そちのために、書いたのか。……これほどの
仮名
(
かな
)
の名手は、探してもそう数はない。よい師を持っていて、お
汝
(
こと
)
は、しあわせ者だ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
のみならず、いつも漢字と共に使用される関係上、自然と漢字と同じやうに
仮名
(
かな
)
そのものの形にも美醜の感じを含み易い。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
世間
(
せけん
)
の女の子によく百合子があるが、これは正しい書き方ではない。ゆえにユリコといいたければ、
仮名
(
かな
)
でユリ子と書けば問題はないことになる。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
索引
(
さくいん
)
は五十
音
(
おん
)
に
別
(
わか
)
ちたり、
読者
(
どくしゃ
)
の
便利
(
べんり
)
の
為
(
た
)
め
正式
(
せいしき
)
の
仮名
(
かな
)
によらず、オとヲ、イとヰ、の
類
(
るい
)
は
皆
(
み
)
な
近
(
ちか
)
きものに
入
(
い
)
れたり
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
あるものは
仮名
(
かな
)
文字、あるものは
真名
(
まな
)
文字というふうに。それを三郎にも益穂にも分けると、二人は大よろこびで持ち帰ったころは夜もおそかった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それと後にやや日本化し得た我々の
仮名
(
かな
)
文字を、初期には女文字と呼んでいたことと、女流が日本文学の先進者であったこととは、明らかな関係がある。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
手紙は皆きれいな字の漢文です。
仮名
(
かな
)
なんか一字だって混じっておりません。よい文章などをよこされるものですから別れかねて通っていたのでございます。
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
表
(
おもて
)
の
入口
(
いりくち
)
には
焦茶地
(
こげちやぢ
)
へ
白抜
(
しろぬき
)
で「せじや」と
仮名
(
かな
)
で
顕
(
あらは
)
し
山形
(
やまがた
)
に口といふ字が
標
(
しるし
)
に
附
(
つい
)
て
居
(
を
)
る
処
(
ところ
)
は
主人
(
あるじ
)
の
働
(
はたらき
)
で、
世辞
(
せじ
)
を
商
(
あきな
)
ふのだから
主人
(
あるじ
)
も
莞爾
(
にこやか
)
な顔、
番頭
(
ばんとう
)
も
愛
(
あい
)
くるしく
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その中には随分過激な論もあって、日本語を英語にしてしまうなどという論者もあり、あるいは
仮名
(
かな
)
の会とか、
羅馬
(
ローマ
)
字会とか、種々雑多なものが起ったのである。
学問の独立と東京専門学校の創立
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
煙草
(
たばこ
)
の煙りを口へ吸って、それを口から吐き出して、
柳
(
やなぎ
)
に
蹴毬
(
けまり
)
とか、
仮名
(
かな
)
文字とか、輪廓だけの
龍虎
(
りゅうこ
)
とかそういうものを空へかいて、見物へ見せる芸なのである。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
好奇心のまま読みにくい
仮名
(
かな
)
文字を、何気なく拾って見ますと、それは次のように
認
(
したた
)
めてありました。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
書入れをしたり
仮名
(
かな
)
をつけたりして、やっと読むことのできる語録を二三冊持っていることが、和尚の虎の巻で、それを取り上げてしまえば、水をあがった
河童
(
かっぱ
)
同様で
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「待て待て、
仮名
(
かな
)
が四つ、本字が三つじゃ手の付けようがない。何か順序があるだろう」
銭形平次捕物控:135 火の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と大谷夫人は台所のメモに雁鴨青籠詰めの図と書いて
仮名
(
かな
)
まで振ったのを差しつけた。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私自身の経験によっても私は
文天祥
(
ぶんてんしょう
)
がドウ書いたか、白楽天がドウ書いたかと思っていろいろ調べてしかる後に書いた文よりも、自分が心のありのままに、
仮名
(
かな
)
の間違いがあろうが
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
山川村庄
(
さんせんそんしやう
)
はさらなり、
凡
(
およそ
)
物の名の
訓
(
よみ
)
かた
清濁
(
すみにごる
)
によりて越後の
里言
(
りげん
)
にたがひたるもあるべし。
然
(
しかれ
)
ども里言は多く
俗訛
(
ぞくなまり
)
なり、
今
(
いま
)
姑
(
しばらく
)
俗に
从
(
したがふ
)
もあり。本編には
音訓
(
おんくん
)
の
仮名
(
かな
)
を
下
(
くだ
)
さず、かなづけは
余
(
よ
)
が
所為
(
しわざ
)
なり。
北越雪譜:05 北越雪譜二編凡例
(新字旧仮名)
/
山東京山
(著)
山川村庄
(
さんせんそんしやう
)
はさらなり、
凡
(
およそ
)
物の名の
訓
(
よみ
)
かた
清濁
(
すみにごる
)
によりて越後の
里言
(
りげん
)
にたがひたるもあるべし。
然
(
しかれ
)
ども里言は多く
俗訛
(
ぞくなまり
)
なり、
今
(
いま
)
姑
(
しばらく
)
俗に
从
(
したがふ
)
もあり。本編には
音訓
(
おんくん
)
の
仮名
(
かな
)
を
下
(
くだ
)
さず、かなづけは
余
(
よ
)
が
所為
(
しわざ
)
なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
下手くそな
仮名
(
かな
)
文字だが、やッとその意だけは通じている。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
はた
羅甸
(
らてん
)
、
波爾杜瓦爾
(
ほるとがる
)
らの
横
(
よこ
)
つづり青なる
仮名
(
かな
)
は
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
仮名
(
かな
)
ちがひの多きことかな
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
仮名
(
かな
)
は勿論使用上、
音標文字
(
おんぺうもじ
)
の一種たるに過ぎない。しかし「か」は「加」と云ふやうに、祖先はいづれも漢字である。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
惜
(
おし
)
い事に、
雨露
(
うろ
)
、
霜雪
(
そうせつ
)
に
曝
(
さら
)
され、
蝕
(
むしばみ
)
もあり、その額の裏に、彩色した
一叢
(
ひとむら
)
の野菊の絵がほのかに見えて、その
一本
(
ひともと
)
の根に(きく)という
仮名
(
かな
)
があります。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし如意輪堂の壁へ残して去った和歌の文字には、優しかるべきはずの
仮名
(
かな
)
なのに、何か、やるかたない思いをそこへぶつけたような筆勢と墨の気があった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
書き一方に
仮名
(
かな
)
がなければ読めないようなむずかしい文字を並べて純文学だとか美文だといっているがなるほど双方の極端を寄せてあるからアルカリ性と酸性とを
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
日本人は
仮名
(
かな
)
という「音」を表わす便利なものを、借り物の漢字から造り出して、この言語学上、全く性質を異にしたものを混同して、意志の発表機関としている。
文明史の教訓
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
あの掻き
瑕
(
きず
)
と不気味な
仮名
(
かな
)
文字とが、新しい持主の好奇心を
刺戟
(
しげき
)
する様なことはなかったであろうか。彼は掻き傷にこもる恐しい妄執にふと心
戦
(
おのの
)
くことはなかったか。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わざと
仮名
(
かな
)
を書かせて、窮屈そうに手筋を変えて書く源助の様子を観察したのでした。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それでまた珍らしくなって、いったん伏せたのをまた開けて見ると、ふと
仮名
(
かな
)
の交らない四角な字が二行ほど並んでいた。それには
風
(
かぜ
)
碧落
(
へきらく
)
を
吹
(
ふ
)
いて
浮雲
(
ふうん
)
尽
(
つ
)
き、
月
(
つき
)
東山
(
とうざん
)
に
上
(
のぼ
)
って
玉
(
ぎょく
)
一団
(
いちだん
)
とあった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この日、白雲は、どこかでローマ字綴りの
仮名
(
かな
)
をつけたのを、半紙へ幾枚か墨で書いてもらって来て、それを練習している。その時分、市内を
訊
(
たず
)
ぬればしかるべき蘭学や、英語の塾はあるべきはず。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
幸
(
さいわい
)
に
箸箱
(
はしばこ
)
の下に紙切が見着かった——それに、
仮名
(
かな
)
でほつほつと(あんじまいぞ。)と書いてあった。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仮名
(
かな
)
書きで「こばいあん」とした
朱文字
(
しゅもじ
)
の
提灯
(
ちょうちん
)
をおいて、ゆるんだ鼻緒をすげなおしている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのほか
発句
(
ほっく
)
も出来るというし、
千蔭流
(
ちかげりゅう
)
とかの
仮名
(
かな
)
も上手だという。それも皆若槻のおかげなんだ。そういう消息を知っている僕は、君たちさえ
笑止
(
しょうし
)
に思う以上、
呆
(
あき
)
れ返らざるを得ないじゃないか?
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
上がり口を奥へ、二つ目の角を右へ切れて、突当たりを左へ曲がると東側の
部屋
(
へや
)
だと教わったとおり歩いて行くと、はたしてあった。黒塗りの札に野々宮よし子と
仮名
(
かな
)
で書いて、戸口に掛けてある。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
向
(
むこ
)
うて
筋違
(
すじっかい
)
、
角
(
かど
)
から二軒目に小さな柳の樹が一本、その低い枝のしなやかに垂れた
葉隠
(
はがく
)
れに、一
間口
(
けんぐち
)
二枚の
腰障子
(
こししょうじ
)
があって、一枚には
仮名
(
かな
)
、一枚には
真名
(
まな
)
で豆腐と書いてある。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「なるほど、ばあさんの
手蹟
(
て
)
だ。
児童
(
こども
)
にも読めるように、
仮名
(
かな
)
まで振ってあら」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(原文に交へたる漢文は
仮名
(
かな
)
まじりに書き改めたり。)
八宝飯
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
やむをえず、じゃ
仮名
(
かな
)
が好いでしょうと忠告した。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自身で
仮名
(
かな
)
消息こまごま
認
(
したた
)
めて、
誡
(
いまし
)
めたり、励ましたり、泣く子をあやすように督戦し、そのための評議も
度々
(
たびたび
)
ひらいて、東国の船をあつめ、兵糧をつみ込ませ、範頼の助けに送ろうと用意していた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おっかさん、と
仮名
(
かな
)
で書かして下さる時、この
襟
(
えり
)
へ
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仮名
(
かな
)
がき
経典
(
きょうてん
)
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“仮名”の意味
《名詞》
仮 名(かめい、かりな)
(カメイ)本名を隠す必要があるとき、仮に付けた名前。仮称。
(ケミョウ) 武士などが実名の他に烏帽子親が、付ける名前。通称。
(ケミョウ) 仏教で実体がないものに仮に付けた名前。
かな(カナ)の漢字表記。
(出典:Wiktionary)
仮
常用漢字
小5
部首:⼈
6画
名
常用漢字
小1
部首:⼝
6画
“仮名”で始まる語句
仮名垣魯文
仮名遣
仮名文
仮名文字
仮名手本
仮名床
仮名交
仮名書
仮名違
仮名使