いと)” の例文
新字:
小賊せいぞくかずして、すなはかたなつてゆびつてたまぬすむや、ゆびよりくれなゐいとごとほとばしりぬ。頭領とうりやうおもてそむけていはく、於戲痛哉あゝいたましいかな
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのくるま手長蜘蛛てながぐもすね天蓋てんがい蝗蟲いなごはねむながい姫蜘蛛ひめぐもいと頸輪くびわみづのやうなつき光線ひかりむち蟋蟀こほろぎほねその革紐かはひもまめ薄膜うすかは
「どうしたんでえ、よきは」おつぎはるとはりむかふきしからひく川楊かはやなぎえだまつはつていとはしみづについて下流かりういてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
夜目にも薄白く沢村田之助きのくにやそっくりの美しい顔立ちを嬉しく浮き上がらせている女は、成島柳北なるしまりゅうほくが「柳橋新誌」に艶名えんめいを謳われた柳橋のおいと
円朝花火 (新字新仮名) / 正岡容(著)
かみいととはお祖母ばあさんがくださる、ほねたけうら竹籔たけやぶからぢいやがつてれる、なにもかもおうちにあるものひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
二人はあたかもいとにひかれるように、わたしの車室へ入り込んで来たので、占めたと思って見ていると、あいにく車内には空席が多かったので
深見夫人の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
此の二三日いとのやうな小雨こさめがひツきりなしに降續いて、濕氣しつきは骨のずゐまでも浸潤しんじゆんしたかと思はれるばかりだ、柱も疊も惡く濕氣しつけて、さはるとべと/\する。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
うめ黄色きいろはなをひらき鋸齒のこぎりばのあるまるみつつづゝ、いとのようなくきにつけたみやまきんばい、ちひさいしばのようなみやまつめくさ、たかねつめくさなどがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
むすめさんはまたいとつむいで熱心ねつしんはたらいてゐるといふ實際生活じつさいせいかつることが出來でき、また料理屋りようりや茶店ちやみせ各地方かくちほうにあるそのまゝの建築けんちくで、料理りようりもまたその地方ちほう名物めいぶつはせ
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
画工はまたあらかじ其心そのこころして、我を伴ひりぬ。先づ蝋燭一つともし、一つをばなほころものかくしの中にたくはへおき、一巻ひとまきいとの端を入口に結びつけ、さて我手を引きて進み入りぬ。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
復音ふくおん一聲いつせい、たとへば、弓をもて、二つのいとを彈き鳴らしたるヸオロンの如く歌ひ出づ。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
火山毛かざんもう成因せいゝん一應いちおう説明せつめいようする。讀者どくしや化學かがくまた物理學ぶつりがく實驗じつけんおいて、硝子管がらすくだかしながらきゆうきちぎると、くだはしほそいとくことを實驗じつけんせられたことがあるであらう。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
療治れうぢ報酬はうしう藥箱くすりばこ進物しんもつといふのは、すこへんだが、本道ほんだうのほかに外療げれう巧者かうしや玄竹げんちくは、わかもの怪我けが十針とはりほどもつて、いとからんだ血腥ちなまぐさいものを、自分じぶんくちるといふやうな苦勞くらうまでして
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
しきいと縷糸よりいと
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
いきくやうに、一度いちどんで、しばらくぴつたとしづまつたとおもふと、いとゆすつたやうにかすかたのが、たちまち、あの大地震おほぢしんであつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たこふものですから、とうさんがいとをたぐりますと、たこはフハ/\フハ/\そらふやうにして、田圃たんぼのところまでうれしさうにりてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼等かれらはそれをいとんでるけれども、はたつてはなした最後さいごいとはしなはのやうにつたつなである。ばあさんまるつくつて銘々めい/\まへへ二せんづつのぜにいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これが、此の廢殘はいざんさかひにのさばつてもつとも人の目を刺戟しげきする物象ぶつしやうだ………何うしたのか、此の樹のこずえあかいと一筋ひとすじからむで、スーツと大地だいちに落ちかゝツて、フラ/\やはらかい風にゆらいでゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
んでしいとはおもへども、小鳥ことりあしに、氣儘少女きまゝむすめが、囚人めしうどくさりのやうにいとけて、ちょとはなしては引戻ひきもどし、またばしては引戻ひきもどすがやうに、おまへなしたうもあるが、しうもある。
奧山家おくやまが一軒家いつけんやに、たをやかなをんなて、白雪しらゆきいとたに絲車いとぐるまおとかとおもふ。……ゆかしく、なつかしく、うつくしく、心細こゝろぼそく、すごい。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おつぎはほりちかくへたがやしてときると與吉よきち竿さをいとがとれてた。おつぎはきしあがつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
味噌みそうちつくり、お醤油しやうゆうちつくり、祖母おばあさんや伯母をばさんのかみにつけるあぶらまでには椿つばきしぼつてつくりました。はやしにある小梨こなしかはつてて、黄色きいろしるいとまでめました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そりやおなところんでるから、緋鯉ひごひくが當前あたりまへだけれどもね、きみが、よくお飯粒まんまつぶで、いと釣上つりあげちやげるだらう。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
星の光のいと
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
藍地あゐぢこん立絞たてしぼり浴衣ゆかたたゞ一重ひとへいとばかりのくれなゐせず素膚すはだた。えりをなぞへにふつくりとちゝくぎつて、きぬあをい。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むかつてひだりはした、なかでも小柄こがらなのがおろしてる、さを滿月まんげつごとくにしなつた、とおもふと、うへしぼつたいと眞直まつすぐびて、するりとみづそらかゝつたこひが——
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まねいて手繰たぐられるやうに絲卷いとまきからいといたが、はゞも、たけも、さつ一條ひとすぢ伸擴のびひろがつて、かた一捲ひとまきどうからんで
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
胡粉ごふんわかれたみづかげは、しゆ藥研やげん水銀すゐぎんまろぶがごとく、ながれて、すら/\といとくのであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まねいて手繰たぐられたやうに絲卷いとまきからいといたが、はゞたけさつ一條ひとすぢ伸擴のびひろがつて、かた一捲ひとまきどうからんで。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水仙すゐせんかを浮世小路うきよこうぢに、やけざけ寸法すんぱふは、鮟鱇あんかうきもき、懷手ふところで方寸はうすんは、輪柳わやなぎいとむすぶ。むすぶもくも女帶をんなおびや、いつもうぐひす初音はつねかよひて、春待月はるまちつきこそ面白おもしろけれ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かはれば現在げんざいをつとまへ婦人ふじん身震みぶるひして飛退とびのかうとするのであつたが、かる撓柔しなやかにかかつたが、千曳ちびきいはごとく、千筋ちすぢいとて、そでえりうごかばこそ。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白鷺しらさぎがすうつとくびばしたやうに、くるまのまはるにしたがうて眞白まつしろいとつもるのが、まざ/\とえる。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はて、何時いつに、あんなところ水車すゐしやけたらう、とぢつかすと、うやらいとくるまらしい。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白鷺しらさぎがすらりとくびばしたやうに、くるまのまはるにしたがうて眞白まつしろいとつもるのが、まざ/\としろい。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はて、何時いつに、あんなところ水車みづぐるまけたらう、とじつかすと、うやらいとくるまらしい。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
手鍋てなべぐる意氣いきげきして、所帶しよたい稽古けいこ白魚しらうをめざしつくなりしかすがいぢらしとて、ぬきとむるはなるをよ。いといろも、こぼれかゝる袖口そでくちも、篝火かゞりびたるかな。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……あかいとで、あししるしをつけた幾疋いくひきかを、とほ淀橋よどばしはうみづはなしたが、三日みつか四日よつかごろから、をつけて、もとのいけおもうかゞふと、あしいとむすんだのがちら/\る。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うちからさをなんぞ……はりいとしのばしてはなかつたが——それは女房にようばうしきり殺生せつしやうめるところから、つい面倒めんだうさに、近所きんじよ車屋くるまや床屋とこやなどにあづけていて、そこから内證ないしよう支度したくして
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ときもあらうに、眞夏まなつ日盛ひざかり黒髮くろかみかたしくゆきかひな徐大盡じよだいじん三度目さんどめわかつまいとをもけず、晝寢ひるねをしてた。(白絹帳中皓體畢呈はくけんちやうちうかうたいひつてい。)とある、これは、一息ひといき棒讀ぼうよみのはうねがふ。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゞたまのしるしばかり、かみいとむすんでも、胡沙こさかぜかたみだれた、せ、かほやつれたけれども、目鼻立めはなだちのりんとして、口許くちもとしまつたのは、服裝なりうでも日本やまと若草わかくさ
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とき十二月じふにぐわつなんだけれど、五月ごぐわつのお節句せつくの、これこひそれ金銀きんぎんいとつばさかゞやにじ手鞠てまりにしてげたやうに、そらつて孔雀くじやくも、にはかへつてるの……燻占たきしめはせぬけれど
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しろが、ちら/\とうごいた、とおもふと、なまりいたいと三條みすぢ三處みところさをりた。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うきましたばあさんが一人ひとり爐端ろばた留守るすをして、くらともしで、絲車いとぐるまをぶう/\と、藁屋わらやゆきが、ひらがなで音信おとづれたやうなむかしおもつて、いとつてると、納戸なんど障子しやうじやぶれから
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふと中六なかろくとほりの南外堂なんぐわいだう菓子屋くわしやみせの、このところ砂糖氣さたうけもしめり鹽氣しほけもない、からりとして、たゞ箱道具はこだうぐみだれた天井てんじやうに、つゝみがみいと手繰たぐつて、くる/\と𢌞まはりさうに
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
第一だいいちいたいとの、玩弄具おもちやとりが、たゝずんだものを、むかうへ通拔とほりぬけるすうはない。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あかひたひあをほゝ——からうじてけむりはらつたいとのやうな殘月ざんげつと、ほのほくもと、ほこりのもやと、……あひだ地上ちじやうつゞつて、めるひともないやうな家々いへ/\まがきに、朝顏あさがほつぼみつゆかわいてしをれつゝ
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またつね琥珀こはくもつおびとして、襲衣しふいうち人知ひとしれずつゝみてむ。立居たちゐたびになよやかなるたまほねひとつ/\こといとごと微妙びめうひゞきして、くもののし、にくくだかしめき。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とき御新姐ごしんぞみじか時分じぶんことえん端近はしぢかて、御前ごぜん誕生日たんじやうびにはをつと着換きかへてようとふ、紋服もんぷくを、またうでもない、しつけのいと一筋ひとすぢ間違まちがはぬやう、箪笥たんすからして、とほして
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
仙人せんにんが、あのひろそでなかから、眞紅まつかな、粘々ねば/\した、つやのある、へびうろこのやうな編方あみかたした、一條ひとすぢひもしていとほどにも、うごきませんほど、手足てあし大木たいぼく確乎しつかりいはへて、綿わたまるけたたま
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これは可恐おそろしいいと手繰たぐつて、そら投掛なげかけ、べ、ちう綾取あやどる。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)