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絲
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いと
ふりがな文庫
“
絲
(
いと
)” の例文
新字:
糸
小賊
(
せいぞく
)
肯
(
き
)
かずして、
則
(
すなは
)
ち
刀
(
かたな
)
を
執
(
と
)
つて
其
(
そ
)
の
指
(
ゆび
)
を
切
(
き
)
つて
珠
(
たま
)
を
盜
(
ぬす
)
むや、
指
(
ゆび
)
より
紅
(
くれなゐ
)
の
血
(
ち
)
衝
(
つ
)
と
絲
(
いと
)
の
如
(
ごと
)
く
迸
(
ほとばし
)
りぬ。
頭領
(
とうりやう
)
面
(
おもて
)
を
背
(
そむ
)
けて
曰
(
いは
)
く、
於戲痛哉
(
あゝいたましいかな
)
。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
その
)
車
(
くるま
)
の
輻
(
や
)
は
手長蜘蛛
(
てながぐも
)
の
脛
(
すね
)
、
天蓋
(
てんがい
)
は
蝗蟲
(
いなご
)
の
翼
(
はね
)
、
※
(
むながい
)
は
姫蜘蛛
(
ひめぐも
)
の
絲
(
いと
)
、
頸輪
(
くびわ
)
は
水
(
みづ
)
のやうな
月
(
つき
)
の
光線
(
ひかり
)
、
鞭
(
むち
)
は
蟋蟀
(
こほろぎ
)
の
骨
(
ほね
)
、
其
(
その
)
革紐
(
かはひも
)
は
豆
(
まめ
)
の
薄膜
(
うすかは
)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「どうしたんでえ、よきは」おつぎは
見
(
み
)
ると
針
(
はり
)
が
向
(
むかふ
)
の
岸
(
きし
)
から
出
(
で
)
た
低
(
ひく
)
い
川楊
(
かはやなぎ
)
の
枝
(
えだ
)
に
纏
(
まつは
)
つて
絲
(
いと
)
の
端
(
はし
)
が
水
(
みづ
)
について
下流
(
かりう
)
へ
向
(
む
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
夜目にも薄白く
沢村田之助
(
きのくにや
)
そっくりの美しい顔立ちを嬉しく浮き上がらせている女は、
成島柳北
(
なるしまりゅうほく
)
が「柳橋新誌」に
艶名
(
えんめい
)
を謳われた柳橋のお
絲
(
いと
)
。
円朝花火
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
紙
(
かみ
)
と
絲
(
いと
)
とはお
祖母
(
ばあ
)
さんが
下
(
くだ
)
さる、
骨
(
ほね
)
の
竹
(
たけ
)
は
裏
(
うら
)
の
竹籔
(
たけやぶ
)
から
爺
(
ぢい
)
やが
切
(
き
)
つて
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れる、
何
(
なに
)
もかもお
家
(
うち
)
にある
物
(
もの
)
で
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
二人はあたかも
絲
(
いと
)
にひかれるように、わたしの車室へ入り込んで来たので、占めたと思って見ていると、あいにく車内には空席が多かったので
深見夫人の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此の二三日
絲
(
いと
)
のやうな
小雨
(
こさめ
)
がひツきりなしに降續いて、
濕氣
(
しつき
)
は骨の
髓
(
ずゐ
)
までも
浸潤
(
しんじゆん
)
したかと思はれるばかりだ、柱も疊も惡く
濕氣
(
しつけ
)
て、
觸
(
さは
)
るとべと/\する。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
梅
(
うめ
)
に
似
(
に
)
た
黄色
(
きいろ
)
い
花
(
はな
)
をひらき
鋸齒
(
のこぎりば
)
のある
圓
(
まる
)
い
葉
(
は
)
を
三
(
みつ
)
つづゝ、
絲
(
いと
)
のような
莖
(
くき
)
につけたみやまきんばい、
小
(
ちひ
)
さい
芝
(
しば
)
のようなみやまつめくさ、たかねつめくさ
等
(
など
)
があります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
娘
(
むすめ
)
さんはまた
絲
(
いと
)
を
紡
(
つむ
)
いで
熱心
(
ねつしん
)
に
働
(
はたら
)
いてゐるといふ
實際生活
(
じつさいせいかつ
)
を
見
(
み
)
ることが
出來
(
でき
)
、また
料理屋
(
りようりや
)
や
茶店
(
ちやみせ
)
も
各地方
(
かくちほう
)
にあるそのまゝの
建築
(
けんちく
)
で、
料理
(
りようり
)
もまたその
地方
(
ちほう
)
の
名物
(
めいぶつ
)
を
食
(
く
)
はせ
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
画工はまた
予
(
あらかじ
)
め
其心
(
そのこころ
)
して、我を伴ひ
入
(
い
)
りぬ。先づ蝋燭一つ
点
(
とも
)
し、一つをば
猶
(
なほ
)
衣
(
ころも
)
のかくしの中に
貯
(
たくは
)
へおき、
一巻
(
ひとまき
)
の
絲
(
いと
)
の端を入口に結びつけ、さて我手を引きて進み入りぬ。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
復音
(
ふくおん
)
の
一聲
(
いつせい
)
、たとへば、弓をもて、二つの
絲
(
いと
)
を彈き鳴らしたるヸオロンの如く歌ひ出づ。
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
火山毛
(
かざんもう
)
の
成因
(
せいゝん
)
は
一應
(
いちおう
)
説明
(
せつめい
)
を
要
(
よう
)
する。
讀者
(
どくしや
)
は
化學
(
かがく
)
又
(
また
)
は
物理學
(
ぶつりがく
)
の
實驗
(
じつけん
)
に
於
(
おい
)
て、
硝子管
(
がらすくだ
)
を
融
(
と
)
かしながら
急
(
きゆう
)
に
引
(
ひ
)
きちぎると、
管
(
くだ
)
の
端
(
はし
)
が
細
(
ほそ
)
い
絲
(
いと
)
を
引
(
ひ
)
くことを
實驗
(
じつけん
)
せられたことがあるであらう。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
療治
(
れうぢ
)
の
報酬
(
はうしう
)
に
藥箱
(
くすりばこ
)
の
進物
(
しんもつ
)
といふのは、
少
(
すこ
)
し
變
(
へん
)
だが、
本道
(
ほんだう
)
のほかに
外療
(
げれう
)
も
巧者
(
かうしや
)
の
玄竹
(
げんちく
)
は、
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
の
怪我
(
けが
)
を
十針
(
とはり
)
ほども
縫
(
ぬ
)
つて、
絲
(
いと
)
に
絡
(
から
)
んだ
血腥
(
ちなまぐさ
)
いものを、
自分
(
じぶん
)
の
口
(
くち
)
で
嘗
(
な
)
め
取
(
と
)
るといふやうな
苦勞
(
くらう
)
までして
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
五
色
(
しき
)
の
絲
(
いと
)
の
縷糸
(
よりいと
)
に
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
くやうに、
一度
(
いちど
)
止
(
や
)
んで、しばらくぴつたと
靜
(
しづ
)
まつたと
思
(
おも
)
ふと、
絲
(
いと
)
を
搖
(
ゆす
)
つたやうに
幽
(
かすか
)
に
來
(
き
)
たのが、
忽
(
たちま
)
ち、あの
大地震
(
おほぢしん
)
であつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
凧
(
たこ
)
が
言
(
い
)
ふものですから、
父
(
とう
)
さんが
絲
(
いと
)
をたぐりますと、
凧
(
たこ
)
はフハ/\フハ/\
空
(
そら
)
を
舞
(
ま
)
ふやうにして、
田圃
(
たんぼ
)
のところまで
嬉
(
うれ
)
しさうに
降
(
お
)
りて
來
(
き
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼等
(
かれら
)
はそれを
絲
(
いと
)
と
喚
(
よ
)
んで
居
(
ゐ
)
るけれども、
機
(
はた
)
を
織
(
お
)
つて
切
(
き
)
り
放
(
はな
)
した
最後
(
さいご
)
の
絲
(
いと
)
の
端
(
はし
)
を
繩
(
なは
)
のやうに
綯
(
な
)
つた
綱
(
つな
)
である。
婆
(
ばあ
)
さん
等
(
ら
)
は
圓
(
まる
)
い
座
(
ざ
)
を
作
(
つく
)
つて
銘々
(
めい/\
)
の
前
(
まへ
)
へ二
錢
(
せん
)
づつの
錢
(
ぜに
)
を
置
(
お
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
これが、此の
廢殘
(
はいざん
)
の
境
(
さかひ
)
にのさばつて
尤
(
もつと
)
も人の目を
刺戟
(
しげき
)
する
物象
(
ぶつしやう
)
だ………何うしたのか、此の樹の
梢
(
こずえ
)
に
赤
(
あか
)
い
絲
(
いと
)
が
一筋
(
ひとすじ
)
絡
(
から
)
むで、スーツと
大地
(
だいち
)
に落ちかゝツて、フラ/\
軟
(
やはらか
)
い風に
揺
(
ゆら
)
いでゐた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
往
(
い
)
んで
欲
(
ほ
)
しいとは
思
(
おも
)
へども、
小鳥
(
ことり
)
の
脚
(
あし
)
に、
氣儘少女
(
きまゝむすめ
)
が、
囚人
(
めしうど
)
の
鎖
(
くさり
)
のやうに
絲
(
いと
)
を
附
(
つ
)
けて、ちょと
放
(
はな
)
しては
引戻
(
ひきもど
)
し、
又
(
また
)
飛
(
と
)
ばしては
引戻
(
ひきもど
)
すがやうに、お
前
(
まへ
)
を
往
(
い
)
なしたうもあるが、
惜
(
を
)
しうもある。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
奧山家
(
おくやまが
)
の
一軒家
(
いつけんや
)
に、たをやかな
女
(
をんな
)
が
居
(
ゐ
)
て、
白雪
(
しらゆき
)
の
絲
(
いと
)
を
谷
(
たに
)
に
繰
(
く
)
り
引
(
ひ
)
く
絲車
(
いとぐるま
)
の
音
(
おと
)
かと
思
(
おも
)
ふ。……
床
(
ゆか
)
しく、
懷
(
なつか
)
しく、
美
(
うつく
)
しく、
心細
(
こゝろぼそ
)
く、
且
(
か
)
つ
凄
(
すご
)
い。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おつぎは
堀
(
ほり
)
の
近
(
ちか
)
くへ
耕
(
たがや
)
して
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
に
見
(
み
)
ると
與吉
(
よきち
)
の
竿
(
さを
)
は
絲
(
いと
)
がとれて
居
(
ゐ
)
た。おつぎは
岸
(
きし
)
へ
上
(
あが
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
お
味噌
(
みそ
)
も
家
(
うち
)
で
造
(
つく
)
り、お
醤油
(
しやうゆ
)
も
家
(
うち
)
で
造
(
つく
)
り、
祖母
(
おばあ
)
さんや
伯母
(
をば
)
さんの
髮
(
かみ
)
につける
油
(
あぶら
)
まで
庭
(
には
)
の
椿
(
つばき
)
の
樹
(
き
)
の
實
(
み
)
を
絞
(
しぼ
)
つて
造
(
つく
)
りました。
林
(
はやし
)
にある
小梨
(
こなし
)
の
皮
(
かは
)
を
取
(
と
)
つて
來
(
き
)
て、
黄色
(
きいろ
)
い
汁
(
しる
)
で
絲
(
いと
)
まで
染
(
そ
)
めました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そりや
同
(
おな
)
じ
所
(
ところ
)
に
住
(
す
)
んでるから、
緋鯉
(
ひごひ
)
に
屬
(
つ
)
くが
當前
(
あたりまへ
)
だけれどもね、
君
(
きみ
)
が、よくお
飯粒
(
まんまつぶ
)
で、
絲
(
いと
)
で
釣上
(
つりあ
)
げちや
投
(
な
)
げるだらう。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
星の光の
絲
(
いと
)
の
緒
(
を
)
に
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
藍地
(
あゐぢ
)
に
紺
(
こん
)
の
立絞
(
たてしぼり
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を
唯
(
たゞ
)
一重
(
ひとへ
)
、
絲
(
いと
)
ばかりの
紅
(
くれなゐ
)
も
見
(
み
)
せず
素膚
(
すはだ
)
に
着
(
き
)
た。
襟
(
えり
)
をなぞへに
膨
(
ふつく
)
りと
乳
(
ちゝ
)
を
劃
(
くぎ
)
つて、
衣
(
きぬ
)
が
青
(
あを
)
い。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
向
(
むか
)
つて
左
(
ひだり
)
の
端
(
はし
)
に
居
(
ゐ
)
た、
中
(
なか
)
でも
小柄
(
こがら
)
なのが
下
(
おろ
)
して
居
(
ゐ
)
る、
棹
(
さを
)
が
滿月
(
まんげつ
)
の
如
(
ごと
)
くに
撓
(
しな
)
つた、と
思
(
おも
)
ふと、
上
(
うへ
)
へ
絞
(
しぼ
)
つた
絲
(
いと
)
が
眞直
(
まつすぐ
)
に
伸
(
の
)
びて、するりと
水
(
みづ
)
の
空
(
そら
)
へ
掛
(
かゝ
)
つた
鯉
(
こひ
)
が——
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
招
(
まね
)
いて
手繰
(
たぐ
)
られるやうに
絲卷
(
いとまき
)
から
絲
(
いと
)
を
曳
(
ひ
)
いたが、
幅
(
はゞ
)
も、
丈
(
たけ
)
も、
颯
(
さつ
)
と
一條
(
ひとすぢ
)
伸擴
(
のびひろ
)
がつて、
肩
(
かた
)
を
一捲
(
ひとまき
)
、
胴
(
どう
)
へ
搦
(
から
)
んで
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
胡粉
(
ごふん
)
に
分
(
わか
)
れた
水
(
みづ
)
の
影
(
かげ
)
は、
朱
(
しゆ
)
を
研
(
と
)
ぐ
藥研
(
やげん
)
に
水銀
(
すゐぎん
)
の
轉
(
まろ
)
ぶが
如
(
ごと
)
く、
衝
(
つ
)
と
流
(
なが
)
れて、すら/\と
絲
(
いと
)
を
曳
(
ひ
)
くのであつた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
招
(
まね
)
いて
手繰
(
たぐ
)
られたやうに
絲卷
(
いとまき
)
から
絲
(
いと
)
を
曳
(
ひ
)
いたが、
幅
(
はゞ
)
も
丈
(
たけ
)
も
颯
(
さつ
)
と
一條
(
ひとすぢ
)
伸擴
(
のびひろ
)
がつて、
肩
(
かた
)
を
一捲
(
ひとまき
)
、
胴
(
どう
)
で
搦
(
から
)
んで。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
水仙
(
すゐせん
)
薫
(
かを
)
る
浮世小路
(
うきよこうぢ
)
に、やけ
酒
(
ざけ
)
の
寸法
(
すんぱふ
)
は、
鮟鱇
(
あんかう
)
の
肝
(
きも
)
を
解
(
と
)
き、
懷手
(
ふところで
)
の
方寸
(
はうすん
)
は、
輪柳
(
わやなぎ
)
の
絲
(
いと
)
を
結
(
むす
)
ぶ。
結
(
むす
)
ぶも
解
(
と
)
くも
女帶
(
をんなおび
)
や、いつも
鶯
(
うぐひす
)
の
初音
(
はつね
)
に
通
(
かよ
)
ひて、
春待月
(
はるまちつき
)
こそ
面白
(
おもしろ
)
けれ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
變
(
かは
)
れば
現在
(
げんざい
)
、
夫
(
をつと
)
の
見
(
み
)
る
前
(
まへ
)
。
婦人
(
ふじん
)
は
身震
(
みぶる
)
ひして
飛退
(
とびの
)
かうとするのであつたが、
輕
(
かる
)
く
撓柔
(
しなやか
)
に
背
(
せ
)
にかかつた
手
(
て
)
が、
千曳
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
の
如
(
ごと
)
く、
千筋
(
ちすぢ
)
の
絲
(
いと
)
に
似
(
に
)
て、
袖
(
そで
)
も
襟
(
えり
)
も
動
(
うご
)
かばこそ。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
白鷺
(
しらさぎ
)
がすうつと
首
(
くび
)
を
伸
(
の
)
ばしたやうに、
車
(
くるま
)
のまはるに
從
(
したが
)
うて
眞白
(
まつしろ
)
な
絲
(
いと
)
の
積
(
つも
)
るのが、まざ/\と
見
(
み
)
える。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
はて、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
に、あんな
處
(
ところ
)
に
水車
(
すゐしや
)
を
掛
(
か
)
けたらう、と
熟
(
ぢつ
)
と
透
(
す
)
かすと、
何
(
ど
)
うやら
絲
(
いと
)
を
繰
(
く
)
る
車
(
くるま
)
らしい。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
白鷺
(
しらさぎ
)
がすらりと
首
(
くび
)
を
伸
(
の
)
ばしたやうに、
車
(
くるま
)
のまはるに
從
(
したが
)
うて
眞白
(
まつしろ
)
な
絲
(
いと
)
の
積
(
つも
)
るのが、まざ/\と
白
(
しろ
)
い。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
はて、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
に、あんな
處
(
ところ
)
へ
水車
(
みづぐるま
)
を
掛
(
か
)
けたらう、と
熟
(
じつ
)
と
透
(
す
)
かすと、
何
(
ど
)
うやら
絲
(
いと
)
を
繰
(
く
)
る
車
(
くるま
)
らしい。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手鍋
(
てなべ
)
提
(
さ
)
ぐる
意氣
(
いき
)
に
激
(
げき
)
して、
所帶
(
しよたい
)
の
稽古
(
けいこ
)
に
白魚
(
しらうを
)
の
魥
(
めざし
)
造
(
つく
)
る
也
(
なり
)
。
然
(
しか
)
も
目
(
め
)
を
刺
(
さ
)
すがいぢらしとて、ぬきとむるは
尾
(
を
)
なるを
見
(
み
)
よ。
絲
(
いと
)
の
色
(
いろ
)
も、こぼれかゝる
袖口
(
そでくち
)
も、
繪
(
ゑ
)
の
篝火
(
かゞりび
)
に
似
(
に
)
たるかな。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
其
(
そ
)
の
紅
(
あか
)
い
絲
(
いと
)
で、
脚
(
あし
)
に
印
(
しるし
)
をつけた
幾疋
(
いくひき
)
かを、
遠
(
とほ
)
く
淀橋
(
よどばし
)
の
方
(
はう
)
の
田
(
た
)
の
水
(
みづ
)
へ
放
(
はな
)
したが、
三日
(
みつか
)
め
四日
(
よつか
)
め
頃
(
ごろ
)
から、
氣
(
き
)
をつけて、もとの
池
(
いけ
)
の
面
(
おも
)
を
窺
(
うかゞ
)
ふと、
脚
(
あし
)
に
絲
(
いと
)
を
結
(
むす
)
んだのがちら/\
居
(
ゐ
)
る。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
内
(
うち
)
から
棹
(
さを
)
なんぞ……
鈎
(
はり
)
も
絲
(
いと
)
も
忍
(
しの
)
ばしては
出
(
で
)
なかつたが——それは
女房
(
にようばう
)
が
頻
(
しきり
)
に
殺生
(
せつしやう
)
を
留
(
と
)
める
處
(
ところ
)
から、つい
面倒
(
めんだう
)
さに、
近所
(
きんじよ
)
の
車屋
(
くるまや
)
、
床屋
(
とこや
)
などに
預
(
あづ
)
けて
置
(
お
)
いて、そこから
内證
(
ないしよう
)
で
支度
(
したく
)
して
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
時
(
とき
)
もあらうに、
眞夏
(
まなつ
)
の
日盛
(
ひざかり
)
、
黒髮
(
くろかみ
)
かたしく
雪
(
ゆき
)
の
腕
(
かひな
)
、
徐大盡
(
じよだいじん
)
が
三度目
(
さんどめ
)
の
若
(
わか
)
き
妻
(
つま
)
、
絲
(
いと
)
をも
懸
(
か
)
けず、
晝寢
(
ひるね
)
をして
居
(
ゐ
)
た。(
白絹帳中皓體畢呈
(
はくけんちやうちうかうたいひつてい
)
。)とある、これは、
一息
(
ひといき
)
に
棒讀
(
ぼうよ
)
みの
方
(
はう
)
に
願
(
ねが
)
ふ。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
たゞ
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
のしるしばかり、
髮
(
かみ
)
は
絲
(
いと
)
で
結
(
むす
)
んでも、
胡沙
(
こさ
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
は
肩
(
かた
)
に
亂
(
みだ
)
れた、
身
(
み
)
は
痩
(
や
)
せ、
顏
(
かほ
)
は
窶
(
やつ
)
れたけれども、
目鼻立
(
めはなだ
)
ちの
凛
(
りん
)
として、
口許
(
くちもと
)
の
緊
(
しま
)
つたのは、
服裝
(
なり
)
は
何
(
ど
)
うでも
日本
(
やまと
)
の
若草
(
わかくさ
)
。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
時
(
とき
)
は
十二月
(
じふにぐわつ
)
なんだけれど、
五月
(
ごぐわつ
)
のお
節句
(
せつく
)
の、
此
(
これ
)
は
鯉
(
こひ
)
、
其
(
それ
)
は
金銀
(
きんぎん
)
の
絲
(
いと
)
の
翼
(
つばさ
)
、
輝
(
かゞや
)
く
虹
(
にじ
)
を
手鞠
(
てまり
)
にして
投
(
な
)
げたやうに、
空
(
そら
)
を
舞
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た
孔雀
(
くじやく
)
も、
最
(
も
)
う
庭
(
には
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
居
(
ゐ
)
るの……
燻占
(
たきし
)
めはせぬけれど
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
白
(
しろ
)
い
手
(
て
)
が、ちら/\と
動
(
うご
)
いた、と
思
(
おも
)
ふと、
鉛
(
なまり
)
を
曳
(
ひ
)
いた
絲
(
いと
)
が
三條
(
みすぢ
)
、
三處
(
みところ
)
へ
棹
(
さを
)
が
下
(
お
)
りた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
うき
世
(
よ
)
を
濟
(
す
)
ました
媼
(
ばあ
)
さんが
一人
(
ひとり
)
、
爐端
(
ろばた
)
に
留守
(
るす
)
をして、
暗
(
くら
)
い
灯
(
ともし
)
で、
絲車
(
いとぐるま
)
をぶう/\と、
藁屋
(
わらや
)
の
雪
(
ゆき
)
が、ひらがなで
音信
(
おとづ
)
れたやうな
昔
(
むかし
)
を
思
(
おも
)
つて、
絲
(
いと
)
を
繰
(
く
)
つて
居
(
ゐ
)
ると、
納戸
(
なんど
)
の
障子
(
しやうじ
)
の
破
(
やぶ
)
れから
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ふと
中六
(
なかろく
)
の
通
(
とほ
)
りの
南外堂
(
なんぐわいだう
)
と
言
(
い
)
ふ
菓子屋
(
くわしや
)
の
店
(
みせ
)
の、この
處
(
ところ
)
、
砂糖氣
(
さたうけ
)
もしめり
氣
(
け
)
も
鹽氣
(
しほけ
)
もない、からりとして、たゞ
箱道具
(
はこだうぐ
)
の
亂
(
みだ
)
れた
天井
(
てんじやう
)
に、つゝみ
紙
(
がみ
)
の
絲
(
いと
)
を
手繰
(
たぐ
)
つて、くる/\と
𢌞
(
まは
)
りさうに
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
第一
(
だいいち
)
、
身
(
み
)
に
着
(
つ
)
いた
絲
(
いと
)
の、
玩弄具
(
おもちや
)
の
鳥
(
とり
)
が、
彳
(
たゝず
)
んだものを、
向
(
むか
)
うへ
通拔
(
とほりぬ
)
ける
數
(
すう
)
はない。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
赤
(
あか
)
い
額
(
ひたひ
)
、
蒼
(
あを
)
い
頬
(
ほゝ
)
——
辛
(
から
)
うじて
煙
(
けむり
)
を
拂
(
はら
)
つた
絲
(
いと
)
のやうな
殘月
(
ざんげつ
)
と、
火
(
ひ
)
と
炎
(
ほのほ
)
の
雲
(
くも
)
と、
埃
(
ほこり
)
のもやと、……
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
を
地上
(
ちじやう
)
に
綴
(
つゞ
)
つて、
住
(
す
)
める
人
(
ひと
)
もないやうな
家々
(
いへ/\
)
の
籬
(
まがき
)
に、
朝顏
(
あさがほ
)
の
蕾
(
つぼみ
)
は
露
(
つゆ
)
も
乾
(
かわ
)
いて
萎
(
しを
)
れつゝ
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此
(
こ
)
の
姫
(
き
)
また
毎
(
つね
)
に
琥珀
(
こはく
)
を
以
(
もつ
)
て
佩
(
おび
)
として、
襲衣
(
しふい
)
の
裡
(
うち
)
に
人知
(
ひとし
)
れず
包
(
つゝ
)
みて
緊
(
し
)
む。
立居
(
たちゐ
)
其
(
そ
)
の
度
(
たび
)
になよやかなる
玉
(
たま
)
の
骨
(
ほね
)
、
一
(
ひと
)
つ/\
琴
(
こと
)
の
絲
(
いと
)
の
如
(
ごと
)
く
微妙
(
びめう
)
の
響
(
ひゞき
)
を
作
(
な
)
して、
聞
(
き
)
くものの
血
(
ち
)
を
刺
(
さ
)
し、
肉
(
にく
)
を
碎
(
くだ
)
かしめき。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
時
(
とき
)
に
御新姐
(
ごしんぞ
)
は
日
(
ひ
)
が
短
(
みじか
)
い
時分
(
じぶん
)
の
事
(
こと
)
、
縁
(
えん
)
の
端近
(
はしぢか
)
へ
出
(
で
)
て、
御前
(
ごぜん
)
の
誕生日
(
たんじやうび
)
には
夫
(
をつと
)
が
着換
(
きか
)
へて
出
(
で
)
ようと
云
(
い
)
ふ、
紋服
(
もんぷく
)
を、
又
(
また
)
然
(
さ
)
うでもない、しつけの
絲
(
いと
)
一筋
(
ひとすぢ
)
も
間違
(
まちが
)
はぬやう、
箪笥
(
たんす
)
から
出
(
だ
)
して、
目
(
め
)
を
通
(
とほ
)
して
片しぐれ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
仙人
(
せんにん
)
が、あの
廣
(
ひろ
)
い
袖
(
そで
)
の
中
(
なか
)
から、
眞紅
(
まつか
)
な、
粘々
(
ねば/\
)
した、
艷
(
つや
)
のある、
蛇
(
へび
)
の
鱗
(
うろこ
)
のやうな
編方
(
あみかた
)
した、
一條
(
ひとすぢ
)
の
紐
(
ひも
)
を
出
(
だ
)
して
絲
(
いと
)
ほどにも、
身
(
み
)
の
動
(
うご
)
きませんほど、
手足
(
てあし
)
を
其
(
そ
)
の
大木
(
たいぼく
)
に
確乎
(
しつかり
)
結
(
いは
)
へて、
綿
(
わた
)
の
丸
(
まる
)
けた
球
(
たま
)
を
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これは
可恐
(
おそろ
)
しい
絲
(
いと
)
を
手繰
(
たぐ
)
つて、
天
(
そら
)
へ
投掛
(
なげか
)
け、
地
(
ち
)
に
敷
(
し
)
き
展
(
の
)
べ、
宙
(
ちう
)
に
綾取
(
あやど
)
る。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
絲
部首:⽷
12画
“絲”を含む語句
藕絲
金絲雀
金絲
藕絲織
絲楯
絲瓜
絲車
絹絲
絲卷
絲竹
紙鳶絲
凧絲
柄絲
麻絲
調絲
絲目
青絲
絲紡
絲經
絲織
...