いと)” の例文
「わたしな、数字みただけで頭がいとうなるんで。県立の試験やこい、だれがうけりゃ。その日になったら、わたし、病気になってやる」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
そいからまたしてもいとなり出して、今度は前よりもっと苦しそうにのた打ち廻って、何や血のかたまりみたいなもんが出たらしいいうたりするのんですが
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と立上りながら振切って百度のくじをぽんと投付けると、柳田典藏の顔へあたったからいとうございます。はっとつらを押えて居るうち戸外おもてへ駈出しました。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ウーム、フフフ、いとうござる、痛うござる」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おいとうございましょう?」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
いとござんしょう。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
孝「いとうございます、貴方あなた左様な事を仰しゃっても、とくと胸に聞いて御覧遊ばせ、虚弱ひよわい草履取をおちなすッて」
何ぞまた訳でもあるような気イしてめったなこといわれへん思てるうちに、「ああいた、……またいとなって来た」いうておなかさすり出しなさったのんです。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「まだおからだがおいとうございますか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっとも番頭さんには事情を明かしたんやのうて、ただ必要な薬品だけもろて、それをええ加減に調合したのんで、間違うてたんかどうか、よんべにわかにおなかいとなり出して
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
孝「いとうございます、どんなに突かれてもつねられても、覚えのない事は云いようがありません」
曲「あいた/\/\いとうごぜえやす、どうか御勘弁を…悪い事はふッつりめますから」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
○「成程是はもっともです、いとうござえましたろう、其処に大きな石があったんで」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母「へえ、旅のもんでござえますが、道中で塩梅あんべえが悪くなりましてね、快くなえうち歩いて来ましたから、原なけえ掛って寸白が起っていとうごぜえますから、観音様のお堂をお借り申しました」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)