いと)” の例文
「その大だこのいとをもっと長く強くして、ニュージーランドのぼくらの学校までとどかせ、できればぼくらのひとりを乗せて、救助をたのむんだ」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
恐ろしい大きな高い巌が前途ゆくてに横たはつてゐて、あのさきへ行くのか知らんと疑はれるやうな覚束ない路を辿つて行くと、辛うじて其の岩岨いはそばいとのやうな道が付いて居て
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
この一堂のうち綺羅きらかおりをぎ、和楽のあたたかみを吸うて、落ち合うからは、二人の魂は無論の事、けて流れて、かき鳴らすこといとの細きうちにも、めぐり合わねばならぬ。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ひとひと黄金こがね白銀しろがねいとつて、つたふるがごとくにかんずる……おもふに魔神まじん対向むかひあつて、さいげるひゞきであらう……なんにつけても、飛騨谷ひだだに第一だいいちかく場所ばしよちかづきがた魔所ましよである
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
恐ろしい大きな高いいわ前途ゆくてに横たわっていて、あのさきへ行くのか知らんと疑われるような覚束おぼつかない路を辿たどって行くと、かろうじてその岩岨いわそばいとのような道が付いていて
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「心配ご無用さ、ちゃんと巻きろくろの用意があるよ。これでいと伸縮自在しんしゅくじざいになる」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
明戸を出はずるる頃、小さき松山の行く手にありて、それにかかれる坂路のいとの如くに翠の影の中に入れるさま、何の事はなけれどつくろわぬ趣ありておもしろく見えければ、寒月子はこれを筆に写す。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)