いと)” の例文
我は聖光みひかりいと多く受くる天にありて諸〻の物を見たりき、されど彼處かしこれてくだる者そを語るすべを知らずまたしかするをえざるなり 四—六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
尋ね出してをつと道十郎殿の惡名をすゝがせん者をと夫より心を定め赤坂あかさか傳馬町でんまちやうへと引取られ同町にておもてながらもいとせま孫店まごだな借受かりうけ爰に雨露うろ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ポリドーロスはその末男で父母の愛いと厚くトロイ攻めらるるに及び王この児に大金を添えてツラシア王ポリムネストスに預けた
目科の細君がいと賢き説を立てながらも其説の当らざりしは無理に非ず、後に至りて聞糺きゝたゞせしに老人は全く左きゝなりしに相違なし
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
既に世の塵に立交らで法のかどに足踏しぬる上は、然ばかり心を悩ますべき事もまことは無き筈ならずや、といと物優しく尋ね問ふ。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
依之増修ぞうしうせつに於て此事はかの書に見しとおぼえしも、其書を蔵せざれば急就きうしの用にべんぜず、韈癬べつせんするが多し。かつ浅学せんがくなれば引漏ひきもらしたるもいと多かるべし。
黒く多き髮の毛をいと惜しげもなく引つめて、銀杏返しのこはれたるやうに折返し折返し髷形まげなりに疊みこみたるが、大方横に成りて狼藉の姿なれども
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
依之増修ぞうしうせつに於て此事はかの書に見しとおぼえしも、其書を蔵せざれば急就きうしの用にべんぜず、韈癬べつせんするが多し。かつ浅学せんがくなれば引漏ひきもらしたるもいと多かるべし。
一杯いっぱい雛壇ひなだんのやうな台を置いて、いとど薄暗いのに、三方さんぽう黒布くろぬの張廻はりまわした、壇の附元つけもとに、流星ながれぼし髑髏しゃれこうべひからびたひとりむしに似たものを、点々並べたのはまとである。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
黄昏たそがれちかき野山は夕靄ゆうもやにかくれて次第にほのくらく蒼黒く、何処いずくよりとも知れぬかわずの声断続きれぎれに聞えて、さびしき墓地の春のゆうぐれ、いとど静に寂しく暮れてゆく。
父の墓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
或は人をねたみにくみて我身ひとりたたんと思へど、人ににくまうとまれて皆我身の仇と成ことをしらず、いとはかなく浅猿あさまし。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
此等これらあとから皇子わうじえました、丁度ちやうどにんらせられて、ちひさな可愛かあい方々かた/″\いとたのしげに、つてお二人ふたかたづゝんでおでになりました、いづれもみん心臟ハートかざりたてられてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そのいと低きものといと高きものとは、人の觀念の及ばざるところなれば、個物を見るごとに、これより高きものなきことなく、又これより低きものなきことなし。個物は高しといへども類にあらず。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
それ歐洲をうしうは、げいよりも。 はたがくよりもいとたけき。
すゞしきひゞきいと瑲々さや/\
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
我またきだを傳ひて諸〻の光の降るを見たり、そのかずいと多く、我をして天に現はるゝ一切の光かしこより注がると思はしむ 三一—三三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
せしが縁と成て其後毎夜まいよ呼込ではもませけるにいと上手なれば政太夫も至極しごくに歡び療治をさせける處城富は稽古けいこを聞感にたへて居る樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかるに生まれていと幼き児が三疋より多く母にれられ居るを見ず、自分で餌をあさるほど長じた児が二疋より多く母にともなわれ居るを見なんだ。
判事は書記に差図を与え目科は警官と密々ひそ/\語らう最中なりしかば、余はとがめられもせず又咎めらる可しと思いもせず、いと平気に、いと安心して
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
小説にける男女の主客が婚礼はいとめでたし。なんとなれば渠等の行路難は皆合卺がふきんの事ある以前既に経過し去りて、自来無事悠々いう/\あひだに平和なる歳月を送ればなり。
愛と婚姻 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彼方は固より闇の中に人あることを知らざれば、何に心を置くべくも無く、御仏の前に進み出でつ、いとつゝしましげに危坐かしこまりて、数度あまたゝび合掌礼拝がつしやうらいはいなし、一心の誠を致すと見ゆ。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
細流こながれある所にいたれば紅唇べに粉面おしろい哥妓げいしや紅裩あかきゆもじかゝげわたる、花姿くわし柳腰りうえう美人等びじんらわらじをはいて水をわたるなどが江戸の目にはいとめづらしくきやうあり。酔客すゐかくぢんくをうたへば酔妓すゐぎ歩々あるきながらをどる。
されど恰も見てその中よりひとりを擇ぶ人の如く我はルッカの者をえらびぬ、彼我の事を知るをいと希ふさまなりければ 三四—三六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
すなわちどの民も、いと古く蛇を霊怪至極のものとし、したがって雲雨暴風竜巻や、ある星宿までも、蛇や竜とするに及んだと言わねばならぬ。
付て一同に通夜迄もなし翌朝よくあさ泣々なく/\野邊のべおくりさへいとねんごろに取行なひ妻の紀念かたみ孤子みなしご漸々やう/\男の手一ツにそだてゝ月日を送りけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
れが悲みもれが涙もれが失望の絶叫もすべいとたくみなる狂言には非ざるや、藻西太郎の異様なる振舞も幾何いくらか倉子の為めにれるには非ざるや
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
みち太郎稻荷たらういなりあり、奉納ほうなふ手拭てぬぐひだうおほふ、ちさ鳥居とりゐ夥多おびたゞし。此處こゝ彼處かしこ露地ろぢあたりに手習草紙てならひざうししたるがいたところゆ、いともしをらし。それより待乳山まつちやま聖天しやうでんまうづ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
細流こながれある所にいたれば紅唇べに粉面おしろい哥妓げいしや紅裩あかきゆもじかゝげわたる、花姿くわし柳腰りうえう美人等びじんらわらじをはいて水をわたるなどが江戸の目にはいとめづらしくきやうあり。酔客すゐかくぢんくをうたへば酔妓すゐぎ歩々あるきながらをどる。
云ふべきかたも無く静なれば、日比ひごろ焼きたる余気なるべし今薫ゆるとにはあらぬ香の、有るか無きかに自然おのづから匀ひを流すもいとく知らる。かゝる折から何者にや、此方を指して来る跫音す。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あゝこれらのいとも富めるはこに——こは下界にて種をくにふさはしき地なりき——收めし物の豐かなることいかばかりぞや 一三〇—一三二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
手苛てひどく婦女を攻撃したものだが、発端に作者自ら理論上女ほど厭な者はない、しかし実行上好きで好きで神と仰ぐと断わって居るは、いと粋な人だ。
くつがえった車室の台板に圧し附けられ、いとど赤い顔の猶一層赤くなったのを板の下から出して、額の筋をも痛みに膨らませて、爾して気絶して居ると言う仲々御念の入った有様だ。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
猶雪の奇談きだん他事たじ珎説ちんせつこゝにもらしたるもいとおほければ、生産せいさんいとまふたゝびへんつぐべし。
年順なれば兄先づ渡る其時に、転びやすきを気遣ひて弟は端を揺がぬやう確と抑ゆる、其次に弟渡れば兄もまた揺がぬやうに抑へやり、長者は苦なく飛び越えて、三人ともにいと長閑のどけそゞろに歩む其中に
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
地下にかくしある財宝で、わが邦の発掘物としては曲玉や銅剣位が関の山だが、あっちのは金銀宝玉金剛石その他いと高価の珍品が夥しく埋まれあるから
徳そなはれる淑女よ(およそ人けんいと小さき天の内なる一切のものに優るはたゞ汝によるのみ) 七六—七八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
猶雪の奇談きだん他事たじ珎説ちんせつこゝにもらしたるもいとおほければ、生産せいさんいとまふたゝびへんつぐべし。
驢は荷を負うていとあらみちを行くに、辛抱強くて疲れた気色を見せず。ニービュールが、アラビアで見た体大きくて、かんの善い驢は、旅行用に馬よりもまされば、したがって価も高い由。
いと大いなる罪】嫉み(淨、一四・八二以下參照)
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
この蛇佐渡にいと多しと聞く、河童に殺された屍は、口を開いて笑うごとく、水蛇の被害屍は歯を喰いしばり、向歯むこうば二枚欠け落ち、すっぽんに殺されたのは、脇腹章門辺に爪痕入れりと見え
ただしいと古く香の知識の発達したはまずアジア大陸諸国で、支那の『神農本草』既に香剤を収めた事多く、『詩経』『離騒』に芳草しばしば見え、返魂はんごん招仙に名香をく記事を絶えず。
漢高祖や文帝や北魏の宣武など、母が竜に感じて帝王を生んだ話も少なからず。かくまで尊ばれた支那の竜はどんな物かというに、『本草綱目』の記載が、いと要を得たようだから引こう。
この『史記』の文を見ると、驢は支那よりもまず北狄ほくてき間にいと古く入ったので、かかる寒地によく繁殖したは、その時々野馬や野驢の諸種と混合して、土地相応の良種を生じたに依るだろう。
『本草啓蒙』に、一種足長蛸形章魚たこに同じくして足いと長し、食えば必ず酔いまたはんを発す。雲州でクチナワダコといい、雲州と讃州でこれは蛇の化けるところという。蛇化の事若州に多し。
老懸を附けし者の供奉ぐぶの事を記ししにて釜取といいしはいと古し。