いと)” の例文
新字:
宗助そうすけ今日こんにちまで經驗けいけんうつたへて、これくらゐかすかな燈火ともしびに、いとなむ人間にんげんおもおここと出來できなかつた。そのひかり無論むろんつきよりもつよかつた。かつつきごと蒼白あをじろいろではなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はじめ村中も倶々とも/″\すゝめて止ざりけりさても寶澤は願ひの如き身となりたび用意よういもそこ/\にいとなみければ村中より餞別せんべつとして百文二百文分におうじておくられしにちりつもりて山のたとへ集りし金は都合八兩貳とぞ成にける其外には濱村はまむらざしの風呂敷ふろしき或は柳庫裏やなぎごり笈笠おひがさくもしぼり襦袢じゆばんなど思々の餞別せんべつに支度は十分なれば寶澤は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宗助そうすけ亡兒ばうじのために、ちひさいひつぎこしらえて、ひとたない葬儀さうぎいとなんだ。しかるのちまたんだもののためにちひさな位牌ゐはいつくつた。位牌ゐはいにはくろうるし戒名かいみやういてあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)