意図いと)” の例文
旧字:意圖
私は直ぐ帆村の意図いとが呑みこめた。彼は例の事件について、外国汽船の出入はげしい港で何事かを調べていたというわけなのだろう。
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だれひとり、その勇壮活発ゆうそうかっぱつ歌詞かしをうたって男先生の意図いとおうとするものはなく、イイイイ ムイミーと歌うのだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ともあれ、ここ人生の最盛期と、天正十三年の新春へむかって、意図いとのごとく、年を越した者は、秀吉だった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次の時代の超人を造ろうとする自然の意図いとを無意識で執行しっこうする盲目の使途であるというように書いている。
女性崇拝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
こういうことをはたで見ていたと言って、明らかにわしをからかう意図いとを見せて詳しく詳しく語りました。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
かれの意図いとが、塾の精神を徹底的てっていてきにたたきつけるにあったことは、もうむろん疑う余地がなかった。かれは、しかし、真正面から「友愛塾の精神がまちがっている」とは、さすがに言わなかった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ママの意図いととしては、フランス人の性情せいじょうが、利に鋭いと同時に洗練された情感と怜悧れいりさで、敵国の女探偵を可愛かわゆく優美に待遇する微妙な境地を表現したつもりでしょう。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ここへも、唐突な訪れで、何か筑前のはら意図いとでもあるやに思し召すかもしれぬが、一度、お顔を見ておきたいだけのことにすぎん。いつかは、会いたいものと、年来、思うていたのでな
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白木先生の意図いとをはかりかねながら、私は黙ってこの対話に耳を傾けていた。
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
佐久間玄蕃允げんばのじょうは、夕刻、ここに一部隊を上げていた。翌朝の賤ヶ嶽攻撃に、飯浦坂いいうらざか、清水谷などの西北方にある味方先鋒部隊と呼応こおうし、敵を孤塁こるいらしめて撃つ意図いとであったのはいうまでもない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)