可厭いとわ)” の例文
可厭いとわしい親戚の前に頭を下げて、母子おやこの生命を托さなければ成らないか、と思う心は、一家の零落を哀しむ心に混って、涙を流させた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これに悚然ぞっとしたさまに、一度すぼめた袖を、はらはらと翼のごとくたたいたのは、紫玉が、可厭いとわしき移香うつりがを払うとともに、高貴なる鸚鵡おうむを思い切った、安からぬ胸の波動で
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此に悚然ぞっとしたさまに、一度すぼめた袖を、はら/\と翼の如くたたいたのは、紫玉が、可厭いとわしき移香うつりがを払ふとともに、高貴なる鸚鵡を思ひ切つた、安からぬ胸の波動で、飜々はらはらとふるひながら
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)