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はず
ふりがな文庫
“
発奮
(
はず
)” の例文
旧字:
發奮
と転がして、
発奮
(
はず
)
みかかって、ちょいと留めて、一つ
撓
(
た
)
めておいて、ゆらりと振って放す時、得も言われず銀鈴が
谺
(
こだま
)
に響く。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……いや、愚に返った事は——もし踊があれなりに続いて、下り坂を
発奮
(
はず
)
むと、町の
真中
(
まんなか
)
へ舞出して、漁師町の棟を飛んで、海へころげて落ちたろう。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大巌
(
おおいわ
)
の一枚戸のような奴がまた恐しく
辷
(
すべ
)
りが良くって、
発奮
(
はず
)
みかかって、がらん、からから山鳴り震動、カーンと
谺
(
こだま
)
を返すんです。ぎょっとしました。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
響に応じて、コロコロと
行
(
や
)
ったが、こっちは一吹きで控えたのに、
先方
(
さき
)
は
発奮
(
はず
)
んだと見えて、コロコロコロ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
伸過ぎた身の
発奮
(
はず
)
みに、
蹌踉
(
よろ
)
けて、片膝を
支
(
つ
)
いたなり、口を開けて、
垂々
(
たらたら
)
と
濺
(
そそ
)
ぐと——水薬の色が光って、守宮の頭を
擡
(
もた
)
げて
睨
(
にら
)
むがごとき目をかけて、滴るや否や
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
見る内に、額にたらたらと
衝
(
つ
)
と汗を流し、
死声
(
しにごえ
)
を振絞ると、
頤
(
あご
)
から胸へ
膏
(
あぶら
)
を絞った……あのその大きな唇が
海鼠
(
なまこ
)
を干したように乾いて来て、舌が
硬
(
こわ
)
って
呼吸
(
いき
)
が
発奮
(
はず
)
む。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
発奮
(
はず
)
んで、ずるずると来た
奴
(
やつ
)
が、
若衆
(
わかいしゅ
)
の足許で、ころりと
飜
(
かえ
)
ると、クシャッと異変な声を出した。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
対手
(
あいて
)
は学士の方ですって、それまで申して占て貰いましたら、とても縁は無い
断念
(
あきら
)
めものだ、と
謂
(
い
)
いましたから、私は嬉しくって、三銭の見料へ白銅一つ
発奮
(
はず
)
みました。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
景物の福引に十両二十両という品ものを
発奮
(
はず
)
んで出しますんで、一番引当てよう
了簡
(
りょうけん
)
で、
禁厭
(
まじない
)
に蛇の袋をぶら下げて、杖を
支
(
つ
)
いて、お十夜という形で、夜中に霜を踏んで
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鉄漿溝
(
おはぐろどぶ
)
というのについて
揚屋町
(
あげやまち
)
の裏の田町の方へ、紺足袋に
日和下駄
(
ひよりげた
)
、後の減ったる
代物
(
しろもの
)
、一体なら
此奴
(
こいつ
)
豪勢に
発奮
(
はず
)
むのだけれども、一進が
一十
(
いっし
)
、
二八
(
にっぱち
)
の二月で工面が悪し
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
聾
(
つんぼ
)
ひがみの
向腹立
(
むかっぱらたち
)
が、何おのれで、
渡
(
わたり
)
をききも、尋ねもせず、
足疾
(
あしばや
)
にずかずかと
踏掛
(
ふんが
)
けて、二三間ひょこひょこ
発奮
(
はず
)
んで伝わったと思うと、左の足が、ずぶずぶと砂に潜った。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
汗が冷く、
慄気
(
ぞっ
)
と寒い。息が
発奮
(
はず
)
んで、身内が震う処から、取ったのを放してくれない指の先へ、ぱっと火がついたように、ト胸へ来たのは、やあ!こうやって生血を吸い取る……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
世に美しい女の
状
(
さま
)
に、一つはうかうか
誘
(
さそ
)
われて、気の
発奮
(
はず
)
んだ事は言うまでもない。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
靴足袋を長く
露
(
あらわ
)
した
服筒
(
ずぼん
)
を
膝頭
(
ひざがしら
)
にたくし上げた、という妙な
扮装
(
なり
)
で、その
婦
(
おんな
)
たち、鈍太郎殿の手車から転がり出したように、ぬっと
発奮
(
はず
)
んで出て、どしんと、音を立てて
躍込
(
おどりこ
)
んだのが
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土木の小官吏、山林見廻りの役人か、何省お
傭
(
やとい
)
の技師という
風采
(
ふうさい
)
で、お役人あつかいには苦笑するまでも、技師と間違えられると、先生、陰気にひそひそと嬉しがって、茶代を
発奮
(
はず
)
む。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ごくごく
吝嗇
(
けち
)
に行った処で、
鰻
(
うなぎ
)
か鳥ね、中な処が岡政で小ざっぱり、但しぐっと
発奮
(
はず
)
んで伊予紋となろうも知れず、
私
(
わっし
)
ゃ鮨屋だ! 甘いものは本人が行けず、いずれそこいらだ、まあ
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
主人
(
あるじ
)
の医学士は、実は健康を損ねたため、保養かたがた
暢気
(
のんき
)
を専一に、ここに業を開いているのであるが、久しぶりのこの都の客と、
対談
(
はなし
)
が
発奮
(
はず
)
んで、晩酌の量を過したので、もう奥座敷で
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
義士の
人数
(
にんず
)
、六人の同勢は、羽根のように、ぽんぽんと
発奮
(
はず
)
んで出て
行
(
ゆ
)
く。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
扉に
身体
(
からだ
)
が
附着
(
くッつ
)
いて、
発奮
(
はず
)
んで出たが、
跨
(
また
)
いだ足が、そう苦なしには大穴から離りょうとはせぬので、地獄から
娑婆
(
しゃば
)
へ踏掛けた
体
(
てい
)
で、
独
(
ひとり
)
で
踠
(
もが
)
いて、どたんばたん、扉の
面
(
おもて
)
と、や、組んだりける。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と一言掛けて、
発奮
(
はず
)
むばかりに身を
飜
(
ひるがえ
)
すと、そこへ、ズンと来た電車が一
輛
(
だい
)
。
目前
(
めさき
)
へカラカラと
打
(
ぶ
)
つかりそうなのに、あとじさりに
圧
(
お
)
され、圧され、
煽
(
あお
)
られ気味に
蹌踉々々
(
よろよろ
)
となった途端である。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「さあ、団扇、それ、ははは……大きな女の
嬰児
(
あか
)
さんだな。」と立ちも上らず坐ったまま、縁側から柄ばかり庭の中へ差向けたが、
交際
(
つきあい
)
にも蛍かといって
発奮
(
はず
)
みはせず、
動悸
(
どうき
)
のするまで立廻って
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしこれは
情
(
じょう
)
に激して、
発奮
(
はず
)
んだ仕事ではなかったのでございます。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
芸妓
(
げいしゃ
)
も自家これに客となって、祝儀を
発奮
(
はず
)
み、
玉
(
ぎょく
)
を附けて、弾け、飲め、唄え、酌をせよ、と命令を奉ぜしめた時ばかり、世の賤業を営むものとおとしめて
宜
(
よろ
)
しいけれども、
臂鉄砲
(
ひじでっぽう
)
に
癇癪玉
(
かんしゃくだま
)
を込めた
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“発奮”の意味
《名詞》
発 奮(はっぷん)
発憤の別表記。
(出典:Wiktionary)
発
常用漢字
小3
部首:⽨
9画
奮
常用漢字
小6
部首:⼤
16画
“発”で始まる語句
発
発見
発句
発心
発作
発矢
発止
発足
発起
発端