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耻
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はず
ふりがな文庫
“
耻
(
はず
)” の例文
まるで寺小屋の芝居に出て来る
涎
(
よだれ
)
くりのような、うすぎたない、見すぼらしい、人前に出るさえ
耻
(
はず
)
かしい姿になってしまって居る。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
馬鹿らしい。なんだって己はこの人達の跡にくっついて歩いているのだろう。なぜ
耻
(
はず
)
かしいなんぞという気を持っているのだろう。
鴉
(新字新仮名)
/
ウィルヘルム・シュミットボン
(著)
或
(
あるい
)
は
不甲斐
(
ふがい
)
ない意久地が無いと思いはしなかッたか……
仮令
(
よし
)
お勢は何とも思わぬにしろ、文三はお勢の手前面目ない、
耻
(
はず
)
かしい……
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「何」章一は
耻
(
はず
)
かしめられてかっとなった。彼はいきなり
細君
(
さいくん
)
に迫って妊娠のために醜くなっているその
黄
(
きい
)
ろな顔を
撲
(
なぐ
)
りつけた。「ばか野郎」
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
何
(
どう
)
ぞ、篠田さん、
御赦
(
おゆるし
)
下ださいまし——警視庁から
愚父
(
ちゝ
)
へ内密の報知がありましたのを、
図
(
はか
)
らず耳にしたので御座います、お
耻
(
はず
)
しいことで御座いますが
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
壮士坊主の課業 これらはまあ下等な僧侶としてなすに
耻
(
はず
)
かしからぬ
業
(
わざ
)
であるけれども、壮士坊主と言われるだけ奇態な事を課業として居る奴があります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
三尊
(
さんぞん
)
四天王十二童子十六
羅漢
(
らかん
)
さては五百羅漢、までを胸中に
蔵
(
おさ
)
めて
鉈
(
なた
)
小刀
(
こがたな
)
に彫り浮かべる腕前に、
運慶
(
うんけい
)
も
知
(
し
)
らぬ
人
(
ひと
)
は
讃歎
(
さんだん
)
すれども
鳥仏師
(
とりぶっし
)
知る身の心
耻
(
はず
)
かしく
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
とうてい
公然
(
けんたい
)
に申されん
耻
(
はず
)
かしかことですばッてん、今迄は誰にも申したことがござりませんでしたけンが、かくなる上は何事も
明瞭
(
ささくり
)
と申上げまッしょう。……今から八年前のことでございました。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
相手が日本の女だったらこんな歯の浮くような言葉が口から出る筈はないと思うと、要は我ながら馬鹿々々しくもあり
耻
(
はず
)
かしくもあった。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
アアそれ程までに
私
(
わたくし
)
を……思ッて下さるとは知らずして、
貴嬢
(
あなた
)
に向ッて
匿立
(
かくしだ
)
てをしたのが今更
耻
(
はず
)
かしい、アア耻かしい。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「でも」と、云った夫人は急に思いついたことがあるようにさも
耻
(
はず
)
かしそうな顔をして、「お父さま、どうぞ、床をあげることは、ちょっとの間お待ちくださいませ」
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その心のごときも我は華族であるから
耻
(
はず
)
かしき行いをしてはならんと深く自ら戒めて居る者が多い。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ただ
模品
(
うつし
)
をこしらえて御遣わしなされまし、と云ったほどにも拘らず、天下に一ツの鐙故他に知る者は有るまいけれど、模品を遣わすなどとは
吾
(
わ
)
が心が
耻
(
はず
)
かしい、と云って真物を与えた。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
人形の製作なら、ええとこのお嬢さんや奥さんの余技として、誰に聞かれたかて
耻
(
はず
)
かしいことあれしませんけど、洋裁は止めてほしいんですねん。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
螺
(
さざい
)
の
壺々口
(
つぼつぼぐち
)
に
莞然
(
にっこ
)
と含んだ微笑を、細根大根に
白魚
(
しらうお
)
を五本並べたような手が持ていた団扇で
隠蔽
(
かく
)
して、
耻
(
はず
)
かしそうなしこなし。文三の眼は俄に光り出す。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それは誰しも
耻
(
はず
)
かしければ
其様
(
そのよう
)
にまぎらす者なれど、何も
紛
(
まぎら
)
すにも及ばず、
爺
(
じじ
)
が身に覚あってチャンと心得てあなたの思わく図星の外れぬ様致せばおとなしく
御
(
お
)
待
(
まち
)
なされと何やら
独呑込
(
ひとりのみこみ
)
の様子
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
此処
(
ここ
)
に書くのも
耻
(
はず
)
かしい事の限りですが、———二階へ行って、彼女の古着を引っ張り出してそれを何枚も背中に載せ、彼女の足袋を両手に
篏
(
は
)
めて
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これにはわたくし、ほとほと感心してしまいまして、自分なんぞが監督したり心配したりするなんて
烏滸
(
おこ
)
がましいことだと、此方が
耻
(
はず
)
かしくなってしまいました
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ああ、勉強おし、勉強おし、もう直ぐピアノも買って上げるから。そうして西洋人の前へ出ても
耻
(
はず
)
かしくないようなレディーにおなり、お前ならきっとなれるから」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
... かえりみず文さし
上候
(
あげそうろう
)
こなた心少しは
御汲分
(
おんくみわ
)
け………」とか「ひとかたならぬ御事のみ
仰下
(
おおせくだ
)
されなんぼうか
嬉
(
うれ
)
しくぞんじ色々
耻
(
はず
)
かしき身の上までもお
咄
(
はなし
)
申上げ………」
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
到底左大臣を満足させる程の
款待
(
かんたい
)
をなし得ないのを、
耻
(
はず
)
かしくも
歯痒
(
はがゆ
)
くも感ずる念が一杯であった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
後に
舞
(
ま
)
いの
件
(
くだり
)
になって、「げに
耻
(
はず
)
かしや我ながら、昔忘れぬ心とて、………今
三吉野
(
みよしの
)
の河の名の、菜摘の女と思うなよ」などとあるから、菜摘の地が静に
由縁
(
ゆかり
)
のあることは
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
芝居が見られないで泣くなどと云う子供らしさを内心
耻
(
はず
)
かしく思いながら、最初のうちは一生懸命に
怺
(
こら
)
えていて、しまいに怺えきれなくなって泣いたのであると云うことが
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大勢の前で
耻
(
はず
)
かしくもあり、ごたごたしている最中なので、それは云わずにしまいました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
今は子供
欺
(
だま
)
しの人形などを
拵
(
こしら
)
えて喜んでいられる時代ではあるまい、女性と
雖
(
いえども
)
もっと実生活につながりのある仕事をしなければ
耻
(
はず
)
かしい時ではないか、と云うのであったが、幸子は
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
今迄は雪子と云うものを、
何処
(
どこ
)
へ出しても
耻
(
はず
)
かしくない妹として人に見せびらかす気味合いであったのに、昨日は沢崎の眼が雪子を見るたびに、此方は始終ビクビクしていたではないか。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「………うち、こんな
所
(
とこ
)
にいること、櫛田さんに知れたら
耻
(
はず
)
かしいわ。………」
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
耻
(
はず
)
かしながらその風景を
細叙
(
さいじょ
)
する資格がない。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
耻
部首:⽿
10画
“耻”を含む語句
羞耻
耻辱
耻入
羞耻心
可耻
破廉耻
廉耻
無耻
生耻
破廉耻漢
氣耻
気耻
老耻
死耻
耻掻
耻晒
耻曝
愧耻