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辱
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はず
ふりがな文庫
“
辱
(
はず
)” の例文
理由なくママを
辱
(
はず
)
かしめ、木村さんを苦しめたと云ってパパを非難して
已
(
や
)
まないので、「そういうことに娘が立ち入って貰いたくない」
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こういう言葉を
辱
(
はず
)
かしめでないと否定するためには、姉いもうとの近しさとか、親しい
劬
(
いたわ
)
りという感情につかまらなくてはならなかった。
日本婦道記:風鈴
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
中にはその名を
辱
(
はず
)
かしめないものがありますが、その大部分は外国へ出すのでありますから、吾々の生活とは交る面が限られております。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
著者としての先生の名を
辱
(
はず
)
かしめることになりはしなかったかと気づかわれもしたが、書いた時には、ぼくとしてはせい一ぱいのしごとであった。
学究生活五十年
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
「今便所にいってると、若い男が横から出て来て、私に
悪戯
(
いたずら
)
をしようとするのです。逃げるには逃げたのですけど、ほんとに
辱
(
はず
)
かしいことですわ。」
封三娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
▼ もっと見る
意味は充分には判らないながら
辱
(
はず
)
かしめの
爛
(
ただ
)
らす熱湯のようなものが胸のまわりから頸筋へ突き上げて来て、これを我慢をするため唇を
屹
(
きっ
)
と噛み締めますと
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
辱
(
はず
)
かしめるつもりでいったのじゃないからな。さ、
理
(
わけ
)
がわかれば、わしもそれで満足だ。……
多寡
(
たか
)
が菓子のこと、持っておいで、なあにお代なんぞいらないよ
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
太政大臣藤原の何とか
卿
(
きょう
)
の百二十三代を
辱
(
はず
)
かしめてはならぬと、
氏族
(
うじぞく
)
制度時代の
旧臭
(
ふるくさ
)
い思想を吹き込んだり負いきれぬほどの重荷を負わせたりするのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
他のことにござれば、恩師より、蹴られ、打たれ、如何ようの
折檻
(
せっかん
)
、お
辱
(
はず
)
かしめも、さらさらお
怨
(
うら
)
みはいたしませぬが、こればかりは、黙して、忍びかねます。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
誰かが彼女自身の面前で、彼女自身を厳しく責めつけ、
辱
(
はず
)
かしめているように感じた。胸の動悸がおのずから高まって来た。顔色が蒼く変り、手がふるえて来た。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
報
(
しら
)
せるべきことをわざと報せなかったり、いろいろ不都合が生じて、そのたびに喬之助が
満座
(
まんざ
)
のなかで
辱
(
はず
)
かしめられて来たのは、むしろ当然と言ってもよかった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ただ、惜しいことには、健康すぐれず、今は
湘南
(
しょうなん
)
の地に転地保養をしておりますが、健康
恢復
(
かいふく
)
すれば、必ず祖父の名を
辱
(
はず
)
かしめぬ人となることと私は望みを嘱しております。
幕末維新懐古談:44 東雲師の家の跡のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
あるものは強奪され、あるものは手足を切りとられ、あるものは下品な言葉や
侮蔑
(
ぶべつ
)
の言葉でおおわれている。いずれも多かれ少かれ
辱
(
はず
)
かしめられ、不名誉を
蒙
(
こうむ
)
っているのだ。
ウェストミンスター寺院
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
正気づいてから聞きただすと、大きな男が無理やりに娘をそこに連れて行って
残虐
(
ざんぎゃく
)
を極めた
辱
(
はず
)
かしめかたをしたのだと
判
(
わか
)
った。笠井は広岡の名をいってしたり顔に小首を傾けた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
(自分は、さっき自分のやったことで、自分自身を
辱
(
はず
)
かしめただけでなく、父さんをも辱かしめていたのだ。いや、父さんこそは誰よりも大きな辱かしめをうけた人だったのだ。)
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
誇張
(
こちょう
)
していえば、その時豹一の自尊心は傷ついた。また、しょんぼりした。
辱
(
はず
)
かしめられたと思い、性的なものへの
嫌悪
(
けんお
)
もこのとき種を植えつけられた。
敵愾心
(
てきがいしん
)
は自尊心の傷から
膿
(
う
)
んだ。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
御通行の際は、白地の
錦
(
にしき
)
の
装束
(
しょうぞく
)
に
烏帽子
(
えぼし
)
の姿で、軍旅のいでたちをした面々に前後を
護
(
まも
)
られながら、父岩倉公の名代を
辱
(
はず
)
かしめまいとするかのように、勇ましく馬上で通り過ぎて行った。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
辱
(
はず
)
かしめ、あなたを憤死させました、忠右衛門の忰頼母めを、今こそ討ち取りまして、父上の怨みの残りおります紙帳へ、その血を注ぐでございましょう。止どめは、天国の剣で致しまする
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
素
(
もと
)
より悪人という事は村方で大概ほしの付いて居ります旅魚屋の傳次なり、おやまを
辱
(
はず
)
かしめようとした
廉
(
かど
)
があり、
直
(
すぐ
)
に桑名川村へ調べに参ると、典藏は家を畳み、急に逐電致しました故
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その立腹を他に移して他人を
辱
(
はず
)
かしめると云うことはドウしても出来ない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それでも寿命がつきて死んだ者はまだいい。心中してわれから命を縮めた者は、同じ浄閑寺の土に埋められながらも、手足を縛って荒菰に巻かれて、犬猫にも劣った
辱
(
はず
)
かしめを受けるのである。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
少くとも己は、自分が今
何処
(
どこ
)
に居て、何をしているかと云う意識だけは失わずに居る。自分が浅ましい真似をして、満座の中で
辱
(
はず
)
かしめを受けて居る事も知って居る。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
臣、さきに
隴西
(
ろうせい
)
に派せられ、
祁山
(
きざん
)
において孔明と対陣し、功すくなく、罪は大でした。ひそかに
慙愧
(
ざんき
)
して、いまだ忠を
攄
(
の
)
ぶることができないのを
辱
(
はず
)
かしく思っております。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
辱
(
はず
)
かしめられるのも、もとはと言えば、役者渡世に、身を落していればこそ、それもこれも、みんな、呪わしいあの悪人共が、親父どのを、悲しい身の上に、蹴落したからだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
辱
(
はず
)
かしめることになるのよ、取り返しのつかないことになるのよ奈尾さん、せめて島川さまがお望みの舞だけでもなさいな、御家老の奥さまだということは知っておいでじゃないの
合歓木の蔭
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あの人間が人間の体を裂き
弄
(
もてあそ
)
び喜ぶのは、重くろしく
汚
(
けがら
)
はしく
辱
(
はず
)
かしい気がする。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
この例は
卑陋
(
ひろう
)
であるかも知れないが、理解を容易ならしむる為めにいって見ると、ここに一人の男がいて、肉慾の衝動に駆られて一人の少女を
辱
(
はず
)
かしめたとしよう。肉慾も一つの本能である。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
辱
(
はず
)
かしめられた相手は、山の中の
番太
(
ばんた
)
のむすめである。そんな話も出た。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
わたくしは
博羅
(
はくら
)
に住んでいた
韓氏
(
かんし
)
の娘でございます。城が落ちたときに、賊のために
囚
(
とら
)
われて
辱
(
はず
)
かしめを受けようとしましたが、わたくしは死を決して争い、さんざんに賊を罵って殺されました。
中国怪奇小説集:15 池北偶談(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
未
(
ま
)
だそればかりじゃアない、お前さんのような
容貌
(
みめ
)
よい女中が、深夜にあんな所に居て、悪者に
辱
(
はず
)
かしめられたらどうするえ、又
先刻
(
さっき
)
のように雪に悩んで倒れていて誰も人が来なかったらどうするえ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
(本年五十六歳ノ夫ガ四十五歳ノ妻ノ裸体ニカクモ
憧
(
あこが
)
レルトイウヿハ
希有
(
けう
)
ノヿダ。ソレヲ考エテミルガヨイ)第四ノ目的ハ、ソウスルヿニヨッテ彼女ヲ極度ニ
辱
(
はず
)
カシメ
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「さりとは似あわしからぬことば、それは世のつねの敗軍の将のことで、羽将軍のごときは、名分ある降服というべきで
辱
(
はず
)
るどころではない。堂々
臣道
(
しんどう
)
の
真
(
まこと
)
を
践
(
ふ
)
まれておる」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただいま内外多端の際に
喙
(
くちばし
)
を
容
(
い
)
れてその主任の人を廃するのは将軍をして職掌を尽くさしめないのである、上は
帝
(
みかど
)
の知遇を
辱
(
はず
)
かしめ下は万民の希望にそむき祖先へ対しても実に面目ない次第だ
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
怒
(
おこ
)
るまいことか、田沼侯は朝廷が幕府を
辱
(
はず
)
かしめるもはなはだしいとして、兵権政権は幕府に存するととなえ、あだかも一橋慶喜なぞは眼中にもないかのように、その足で引き返して
敦賀
(
つるが
)
に向かった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
辱
常用漢字
中学
部首:⾠
10画
“辱”を含む語句
恥辱
侮辱
凌辱
屈辱
耻辱
醜辱
忍辱
汚辱
辱知
侮辱的
穢辱
屈辱的
御恥辱
栄辱
雪辱
国辱
寵辱
慈悲忍辱
柔和忍辱
國辱
...