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機
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はず
ふりがな文庫
“
機
(
はず
)” の例文
だが、
易々
(
やすやす
)
と斬り得る足もとの敗者を斬らずに前髪の美少年は、身をかわした
機
(
はず
)
みに
弾
(
はず
)
みを加えて、ぶうんと横側の敵へ当って来た。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だから、その時何かの
機
(
はず
)
みで腹を押したとすれば、その操作で無意識状態に陥るという、シャルコーの実験を信じたくなるじゃないか
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
電車は
佝僂
(
せむし
)
のやうに首を
竦
(
すく
)
めて走つてゐたが、物の
小半丁
(
こはんちやう
)
も往つたと思ふ頃、
何
(
ど
)
うした
機
(
はず
)
みか、ポオルが
外
(
はづ
)
れてはたと立ち停つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
が、兎に角、偶然の
機
(
はず
)
みから、少しは場所柄がよくなかったにしろ、河野に対する苦言が与えられたことを、欣ばずには居られなかった。
神の如く弱し
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
木の皮で編んだ
半穿
(
はんば
)
き、素足に
草鞋
(
わらぢ
)
といふ風態ですが、何にかの
機
(
はず
)
みで笑つたりすると、眼尻が下がつて飛んだ可愛らしい顏になります。
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
機
(
はず
)
みに四五本の毛は指に掛った儘で抜けスラ/\と尻尾の様な紐が
障
(
さわ
)
る其
途炭
(
とたん
)
入毛だけは根が無いから訳も無く抜けて手に掛る。
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
苦しいから杭に
縋
(
すが
)
って
這上
(
はいあが
)
りますと、扱帯は解けて杭に
纒
(
から
)
み、どう云う
機
(
はず
)
みかお村の死骸が見えませんで、扱帯のみ残ったから
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
機
(
はず
)
みを喰って背後へ下がる。とたんに、ぱっと一条の光りの柱が白布のように立昇った。地底から、穴から——古井戸から。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こんな意味で画の世界にとって画布は、演劇の世界にとって舞台の第四の壁は、文学の世界にとって紙は、一つの
機
(
はず
)
みであり、跳躍の板である。
「見ること」の意味
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
先生、なるほど私は今日の失敗について、どうした
機
(
はず
)
みか、一寸先生を怨みたいような気にもなりました。まことに恥かしい事だと思っています。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
と
呼吸
(
いき
)
は
機
(
はず
)
ませて尋ねました。この言葉の終らぬうちに、早くも赤鸚鵡の眼から電光のように光りがさして、鏡の
表面
(
おもて
)
が
颯
(
さっ
)
と緑色に曇って来ました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「
若気
(
わかげ
)
の
過
(
あやまち
)
だった、魔がさしたのかも知れない、ふとした
機
(
はず
)
みに足を踏み外したのが、取返しのつかぬ事になった」
柿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
豆腐屋が気に向いた朝だけ石臼を回して、心の
機
(
はず
)
まないときはけっして豆を
挽
(
ひ
)
かなかったなら
商買
(
しょうばい
)
にはならない。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女は昔、どこかの芸妓であって、それが、何かの
機
(
はず
)
みで大隈重信夫人になっただけのことではないか。
学校騒動
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
しかしながら
懶
(
ものう
)
く王者の
項
(
うなじ
)
をうな垂れ、しみじみとその厚ぼつたい蹠裏に
機
(
はず
)
む感覚に耐へ、彼は考へた。
測量船
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
と、ぼくは、
機
(
はず
)
みで、うッかりいった。……が、考えれば、不思議なことはちッともないので、北側と南側とでは、はじめッから性格的にちがっていたのである。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
薄く塗った感心に襟脚の太くない、
二十歳
(
はたち
)
ばかりの、
愛嬌
(
あいきょう
)
たっぷりの女で、二つ三つは行ける口、
四方山
(
よもやま
)
の話も
機
(
はず
)
む処から、小宮山も興に入り、思わず三四合を傾けまする。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると、これが所謂ものの
機
(
はず
)
みである。その、車体に近く引き下げられたペイルソルプの右手の指に、大きな
印形
(
シグニット
)
入りの金指輪——刑事らしい好みだ——が嵌められてあった。
双面獣
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
覚束
(
おぼつか
)
ない、極めて不調法の手附きで、しかも
滑稽
(
こつけい
)
な
程
(
ほど
)
真面目
(
まじめ
)
な顔附をしてカチヤン/\と使ひつけないナイフを動かしてゐると、どうした
機
(
はず
)
みにか余計な力がその手に
這入
(
はひ
)
つて
夢
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
釣瓶は勢よく天へ引き上げられ、高く/\上がつたとき、どうした
機
(
はず
)
みにかその
繩
(
なは
)
がきれて、子良は
真逆様
(
まつさかさま
)
に地面へ
墜
(
お
)
ち、
身体
(
からだ
)
は形もないほどメチヤ/\にこはれてしまひました。
子良の昇天
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
ふとした
機
(
はず
)
みに、ある限られた条件で、そのものを
観
(
み
)
、聞き、触れる場合には、必ずそう感じなければならぬ一つの姿を、驚嘆すべき正確さを以て言葉に写す技を心得ているのである。
「ぶどう畑のぶどう作り」後記
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
家のお代さんが
先刻
(
さっき
)
少しゴタゴタしたので泣いて騒いだところがどういう
機
(
はず
)
みか
吃逆
(
しゃっくり
)
を始めて急に止まらない。背中を叩いても湯を飲ませてもいよいよ激しくなるばかりでどうしても
癒
(
なお
)
らん。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それでも
愛
(
あい
)
ちやんは
粗暴
(
そばう
)
な
振舞
(
ふるまひ
)
を
好
(
この
)
みませんでしたから、
出來
(
でき
)
るだけそれを
耐
(
た
)
へ
忍
(
しの
)
んで
居
(
ゐ
)
ました。『
競技
(
ゲーム
)
は
今
(
いま
)
、
些
(
や
)
や
好
(
い
)
い
工合
(
ぐあひ
)
に
行
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る』
云
(
い
)
つて
愛
(
あい
)
ちやんは
少
(
すこ
)
しく
談話
(
はなし
)
を
機
(
はず
)
ませやうとしました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
ぐるぐるひどくまわっていたら、まるで木も折れるくらい
烈
(
はげ
)
しくなってしまった。丁度雨も降るばかりのところだった。一人の僕の友だちがね、沼を通る時、とうとう
機
(
はず
)
みで水を
掬
(
すく
)
っちゃったんだ。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
あの
母子
(
おやこ
)
の
刃
(
やいば
)
から、どうした
機
(
はず
)
みかで逃げ
終
(
お
)
おせたことは確実と見ていい。沢庵はこころの
裡
(
うち
)
で、
先刻
(
さっき
)
から大きな欣びを胸へ拾っていた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ガラッ八は平次を
宥
(
なだ
)
めながら、財布から小粒を出して勘定をすませ、板前と小女に、
機
(
はず
)
み過ぎない程度のお年玉をやりました。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
法外流を編みだした練塀小路の老先生が、あんなことで肩を割りつけられるようなことはないのだけれど——物の
機
(
はず
)
みとでも言うのだろうか。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
カチーリとはずれで駈けて突く
機
(
はず
)
みに通り掛りの人の
腮
(
あご
)
をポンと突きましたが、痛いもので、年始廻りの供の帰りが、首に大きな風呂敷を掛け
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
出ようとした
機
(
はず
)
みが半身になった肩口をスッポリその中に
篏
(
は
)
め込んで、頭から右腕にかけて動けなくなってしまったのだ。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「見ること」の
機
(
はず
)
みをもって、自分自身を脱けだし、自分自身を対象化すること、「見ること」を
機
(
はず
)
みとして、自分自身を自分自身に矛盾せしめ
「見ること」の意味
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
左へ
躱
(
かわ
)
した自動車は、躱し方が余りに急であった
為
(
ため
)
、
機
(
はず
)
みを打ってそのまゝ、左手の岩崖を墜落しそうな勢いを示した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
紅矢は余程の大怪我をしたものと見えて、顔中繃帯をして、
呼吸
(
いき
)
を
機
(
はず
)
ませて倒おれております。この
体
(
てい
)
を見た両親や、その他の者の驚きは一通りでありませんでした。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
けれども自然は思ったより
頑愚
(
かたくな
)
であった。二人はこれだけで別れる事ができなかった。妙な
機
(
はず
)
みからいったん収まりかけた風波がもう少しで盛り返されそうになった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
或日エデインバラの
市街
(
まち
)
を歩いてゐる時、どうした
機
(
はず
)
みか橋から滑り落ちて沼に
陥
(
はま
)
つた事があつた。馬のやうな正直者すら、
偶
(
たま
)
には橋から滑りおちる事のある世の中だ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と、ある日、その日も満員という大した景気の日だったが、いつもの通り十分にその「狂い」をみせたあと、いよ/\という最後のとき、どうした
機
(
はず
)
みかまんまとかれは飛び損った。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
もともと彼は、父に隠れる気など少しもなかったのだが、つい妙な
機
(
はず
)
みで、こんなことになってしまった。それに、困ったことには、誰も自分が見えないのを気にかけている様子がない。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
首すじをおさえると、こび権の身体は
機
(
はず
)
みを喰ったように横へ倒れた。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
ガラツ八は平次を
宥
(
なだ
)
め乍ら、財布から小粒を出して勘定をすませ、板前と小女に、
機
(
はず
)
み過ぎない程度のお年玉をやりました。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
旅魚屋の傳次は本堂へ出ましたが、勝手を知らんから木魚に
躓
(
つまづ
)
き、前へのめる
機
(
はず
)
みに
鉄灯籠
(
かなどうろう
)
を突飛し、
円柱
(
まるばしら
)
で頭を打ちまして
経机
(
きょうづくえ
)
の上へ尻餅をつく。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そう云って、捕えられていた腕を、スラリと抜くと、沢田はその
機
(
はず
)
みで、一間ばかりひょろひょろと下へ滑って行ったが、
其処
(
そこ
)
で
一寸
(
ちょっと
)
踏み
止
(
とど
)
まると
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
新しい美は、人々には気のつかない深みにおいて、その対立物を把握し、その対立物を媒介として
機
(
はず
)
みとして、より深い真実の中に滲透する力である。
近代美の研究
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
すると、その
機
(
はず
)
みに、頸だけがガクリと下向きになって、その刹那、一つの怖しい色彩が観客の眼を射った。
オフェリヤ殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
跳び上った松、彦に足を取られて、た、た、た、た、と
鷺踏
(
さぎと
)
びのまま
機
(
はず
)
みと居合いとで逆手に抜いた九寸五分。すかさず下から彦が払う。獲物は——と言いたいが拾って来たらしい水だらけの傘一本。
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
考えながら歩くせいか会話は少しも
機
(
はず
)
まない心持がした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と息を
機
(
はず
)
ませて、又もや宙を飛んで追っかけた。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「一たいどんな
機
(
はず
)
みで、白状したんだい?」
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「それだよ、そのお狐を若い女が袖に忍ばせているのも
可怪
(
おか
)
しいが、何かの
機
(
はず
)
みで落っことすと、乾き切った往来の上で尻尾が欠けた。——この通り」
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
河野は、入って来た時から、険悪な空気に包まれて居た。細木と藤田とは、つい妙な話の
機
(
はず
)
みから、河野に対する平生の非難を、口に出してしまった。
神の如く弱し
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
自分の対立物であるもののすべてを透して、自分の道を発見するところの
機
(
はず
)
みとして、契機として、新しい美は我々の中にさとしているかのようである。
近代美の研究
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
そして、その
機
(
はず
)
みに、
鍵
(
キイ
)
と紐を裏側から蹴ったので、鎧通しが結び目から飛び出して床の上に落ちたのだよ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
機
常用漢字
小4
部首:⽊
16画
“機”を含む語句
機会
機會
昇降機
機械
上機嫌
時機
起重機
機関
機智
動機
制動機
好機
機織
弾機
機構
機能
推進機
御機嫌伺
機関室
飛行機
...