学校騒動がっこうそうどう
その年(大正六年)、二十歳になったばかりの西方現助は、ある日の午後、寄宿舎の門を出て鶴巻町の大通りへぬけようとする曲り角で彼の先輩である東山松次郎に会った。東山は浴衣を着て両袖を肩にたくしあげている。彼は苦学力行の士であった。政治科在学中か …