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端
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はず
ふりがな文庫
“
端
(
はず
)” の例文
そして四里先の大野木村の
端
(
はず
)
れには、父親の故郷の平戸島から二十軒ばかりの百姓を連れて来て、今、開墾させているというのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ちょうどその夜は、小雨でもあったので、長兵衛は、
蓑
(
みの
)
、
笠
(
かさ
)
にすがたを包み、城下
端
(
はず
)
れのなまず橋を西へ、
高台寺道
(
こうだいじみち
)
をいそぎかけた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山脈の
裾
(
すそ
)
は温泉宿の小さい町が白い煙を
籠
(
こ
)
めていた。停車場は町
端
(
はず
)
れの野原にあった。機関庫はそこから幾らか山裾の方へ寄っていた。
機関車
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
もしまたそれが見る影もない
痩村
(
やせむら
)
の
端
(
はず
)
れであったなら、われわれはかえって底知れぬ
懐
(
なつか
)
しさと同時に悲しさ愛らしさを感ずるであろう。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
例えば「地中海の海岸なるシリアの商港、大アンチオキヤ湾に臨んだセレウキヤの汚らしい、貧乏臭い町
端
(
はず
)
れ」をかく描いている。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
▼ もっと見る
三日か四日の間を置いて、町の
端
(
はず
)
れに
無惨
(
むざん
)
にも人が斬られていました。その斬り方は鮮やかというよりも
酷烈
(
こくれつ
)
なるものであります。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
桑港
(
フリスコ
)
の夜、船から降りたった波止場の
端
(
はず
)
れに、ガアドがあって、その上に、冷たく
懸
(
かか
)
っていた、小さく、まん
円
(
まる
)
い月も忘れられません。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そんなわけで、もしも
端
(
はず
)
れの一つに橋がなかったとすれば、その一劃は、腐泥のなかで、孤島のように
泛
(
うか
)
びあがってしまうのだ。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
若木の杉や
楢
(
なら
)
の樹立に
萩
(
はぎ
)
芒
(
すすき
)
をあしらっただけの、なんの気取りもない庭の
端
(
はず
)
れに、浅野川が藍青の布を延べたように
迂曲
(
うきょく
)
して流れている。
ひやめし物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「しっ、
彼
(
あれ
)
はまだ向うの
端
(
はず
)
れにぐずぐずしているんだよ。ここまで刈って来るには、半時間も間のあることだ……どれ、もっと
傍
(
そば
)
へお寄り」
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「同じ海でもカムサツカだ。冬になれば——九月過ぎれば、船一
艘
(
そう
)
も居なくなって、凍ってしまう海だで。北の北の
端
(
はず
)
れの!」
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
自分は一疋の馬に乗り一人の村人に案内されて村
端
(
はず
)
れまで参りますと、私に
按手礼
(
あんしゅれい
)
を受けんがために礼拝して列んで居る人が百名余りありました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
かなり
厖大
(
ぼうだい
)
なトランクを二つ
担
(
かつ
)
いで来て、それぞれの位置にそれを置いて、自分は、一行の一番
端
(
はず
)
れに老紳士と並んで坐り、
頻
(
しき
)
りに何か話し初めた。
動かぬ女
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一方、園のいちばん
端
(
はず
)
れには、他の樹木とは不釣合いに背の高い
白楊
(
はこやなぎ
)
が四五本、そのさやさやと揺らめくおのおのの梢に大きな鴉の巣をのせている。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
どっちの道も
曲折
(
きょくせつ
)
していて、
真直
(
まっすぐ
)
に
端
(
はず
)
れを望み得るものはない。どの方を見ても、こんもりとした杉の林が空に魔物が立っているように黒くなって見えた。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
北海道の○○大学は、
後
(
うしろ
)
に農園があって、側面が運動場になっているが、その運動場の
端
(
はず
)
れから農園にかけて草の
堤
(
どて
)
が続き、そして堤の外は墓場になっていた。
死体を喫う学生
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それはとにかく、一方、田辺の家の下男の助次郎が、ちょうどその時刻に、煙草を買うために、部落の
端
(
はず
)
れの、沼岸に添った商い店の障子をあけて中へ入ると
瘤
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
叔父はその
翌
(
あく
)
る朝、
沢山
(
たくさん
)
の同じ戦争に行く人と一緒に、私達の村
端
(
はず
)
れの停車場を通った。叔母も、祖父も、私の母も一緒に、構内に入って早くから待っていた。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
彼等は散歩と云うと大抵町
端
(
はず
)
れの月見草が一っぱい生えている丘へ行った。「月見ヶ丘」と町の人は呼んでいた。秋になって月を見るのにもいい丘であったから。
赤い煙突
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
その夜の帰りに電車の中で私と別れたぎり、彼はまた遠い寒い日本の領地の北の
端
(
はず
)
れに行ってしまった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
沼津とかの町
端
(
はず
)
れの高台の方に、懇意な古い宿屋とか別荘とかがあるから、そこへ行っていろと言うの。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
髪をオドロと
振乱
(
ふりみだ
)
した半狂乱の
体
(
てい
)
でバタバタと駈けて来て、折から日比谷の原の
端
(
はず
)
れに客待ちしていた
俥
(
くるま
)
を呼留め、飛乗りざまに幌を深く卸させて神田へと急がし
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
その廊下の
端
(
はず
)
れには各一つずつの部屋があるのだそうだ。ナイト・ルームであることはいう迄も無い。
赤げっと 支那あちこち
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さて、ふたたび塔の上から眼を放つと、市の
端
(
はず
)
れの小高い坂の角に、城塞めいた
円
(
まる
)
い家が注意をひく。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
もとより人里には遠く、街道
端
(
はず
)
れの事なれば、旅の者の
往来
(
ゆきき
)
は無し。ただ
孵化
(
かえ
)
り立の
蝉
(
せみ
)
が弱々しく鳴くのと、
山鶯
(
やまうぐいす
)
の
旬
(
しゅん
)
脱
(
はず
)
れに啼くのとが、
断
(
き
)
れつ続きつ聴えるばかり。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
未荘はもとより大きな村でもないから、まもなく
行
(
ゆ
)
き尽してしまった。村
端
(
はず
)
れは大抵水田であった。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
五時になるのを待ちかねてミサ子はこんどは柳を誘い、二階の
端
(
はず
)
れにある応急室へ行って見た。
舗道
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
その中でも、経正の幼友達であった大納言法印
行慶
(
ぎょうけい
)
などは、わざわざ桂川の
端
(
はず
)
れまでついてきて、別れを惜しむのであった。別れるにあたって、行慶は一首の歌を贈った。
現代語訳 平家物語:07 第七巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
集ったものも空しくその半分は町の
端
(
はず
)
れの辻堂にお棄置きになるのでございます。
あじゃり
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
静寂
(
しずか
)
な重苦しい陰欝なこの丘の
端
(
はず
)
れから狭いだらだら坂を下ると、カラリと
四囲
(
あたり
)
の空気は変ってせせこましい、軒の低い家ばかりの場末の町が帯のように繁華な下町の真中へと続いていた。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
所は
芝
(
しば
)
烏森
(
からすもり
)
で俗に「
林
(
はやし
)
の屋敷」と呼ばれていた屋敷長屋の
端
(
はず
)
れの
家
(
うち
)
だったが、
家内
(
うち
)
の
間取
(
まどり
)
といい、庭の
趣
(
おもむき
)
といい、
一寸
(
ちょっと
)
気取った家で、
凡
(
すべ
)
て
上方
(
かみがた
)
風な少し陰気ではあったが
中々
(
なかなか
)
凝
(
こ
)
った
建方
(
たてかた
)
である
暗夜の白髪
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
白官舎の窓——西洋窓を格子のついた腰高窓に改造した——の多くは死人の眼のように暗かったが、東の
端
(
はず
)
れの三つだけは光っていた。十二時少し前に、星野の部屋の戸がたてられて灯が消えた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
いや、それでもまだ平らかな丘の
端
(
はず
)
れに白い小さな洋館が見えた。測候所ででもあろう。そのまた北寄りのこれはやや小高く
辷
(
すべ
)
り上った傾斜面の中程に、鼠いろの
天幕
(
テント
)
が一つ角錐状に張られてある。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
あの宏大な芝生の庭につづいて、その西の
端
(
はず
)
れに雑木林があつた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
と
溜息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いて、ジーナは語り出しました。父親というのは、同じ長崎県でもここからは北の
端
(
はず
)
れに当る、平戸島の人だというのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
翌日は、彼の母が、
洲股
(
すのまた
)
に着く日であった。藤吉郎は従者を連れて、城外一里余の
柾木村
(
まさきむら
)
の
端
(
はず
)
れまで、母の
駕籠
(
かご
)
を迎えに出ていた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
城の東に縮景園という藩侯の泉邸がある、場所はその近くで、武家町としては
端
(
はず
)
れのほうだったが、もう七八年というもの空家になっていた。
風流化物屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
母屋に近い藤棚のついた二間打ち抜きの部屋と一番
端
(
はず
)
れの
神楽堂
(
かぐらどう
)
のような建て前の棟はもう借手がついていた。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そのとき、耕地の
端
(
はず
)
れの大木の下から人の呼び声がしたので、ジャンはふと顔をあげると、
黄金
(
こがね
)
色の麦穂の上から、彼の女房の上体がちらと浮きあがった。
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
葛西橋は荒川放水路に架せられた長橋の中で、その最も海に近く、その最も南の
端
(
はず
)
れにあるものである。
放水路
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
村
端
(
はず
)
れの、町との境にある「益城屋」は、白い壁の米倉が、幾十とならんでいた。景気のいいときは、
此処
(
ここ
)
の倉庫は、ガラン堂になるように米が倉から
搬
(
はこ
)
び出された。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
そして、直ぐに私に、
国民大街
(
ヴィア・ナツォナレ
)
の
端
(
はず
)
れの、第二回
万国自動車展覧会会場
(
インテルナツォナアレ・アウトモビイレ・サロネ
)
へ来るように、と言うのだ。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
私
(
わたくし
)
は墓地の手前にある
苗畠
(
なえばたけ
)
の左側からはいって、両方に
楓
(
かえで
)
を植え付けた広い道を奥の方へ進んで行った。するとその
端
(
はず
)
れに見える
茶店
(
ちゃみせ
)
の中から先生らしい人がふいと出て来た。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
船員達の
素人芝居
(
しろうとしばい
)
があるというので、
皆
(
みんな
)
一等食堂に行き、すっかりがらんとしたあとぼくがツウリスト・ケビンの間を歩いていますと、
仄明
(
ほのあか
)
るい
廊下
(
ろうか
)
の
端
(
はず
)
れに、月光に輝いた
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それはサディが云った通り室の
端
(
はず
)
れに——グロテスクなチーク材の彫像が立っていた。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
橋を渡り、畑や、圃の中の小道を過ぎて、目ざす隣村の村
端
(
はず
)
れに来かかりますと、広い野原の中に一筋の道が走っています。二人は昨夜の夢に見た通りの道ですから、驚きました。
迷い路
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何よりも
先
(
さ
)
きに眼に
入
(
い
)
ったのは村の
端
(
はず
)
れの河添いの空地に突立っている一つの舞台だ。ぼんやりとした遠くの方の月夜の中で、
空間
(
くうかん
)
の諸物がほとんどハッキリ分界していなかった。
村芝居
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
私は周章て、廊下の
端
(
はず
)
れまで走って、そこのうすくらがりの中へうずくまった。
可哀相な姉
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
鉄道線路の
高土堤
(
たかどて
)
が町
端
(
はず
)
れの畑の中を走っていた。さながら町の北側に立ち回した緑色の
屏風
(
びょうぶ
)
だった。長い緑の土堤には晩春の陽光がいっぱいに当たっていた。その下は土を取った
赭土
(
あかつち
)
の窪地。
汽笛
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
林の
端
(
はず
)
れは広い
草原
(
くさはら
)
になっていた。そこに十坪位の小さい池があってきれいな水を
湛
(
たた
)
えていたが、その池の
縁
(
へり
)
にも
紅紫
(
こうし
)
とりどりの躑躅や皐月の花があった。憲一はその池の
縁
(
へり
)
へ往って腰をかけた。
藤の瓔珞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
“端”を含む語句
端折
尖端
尻端折
片端
出端
端緒
一端
端正
山端
縁端
端然
端艇
突端
上端
町端
切端
川端
下端
端々
発端
...