藤の瓔珞ふじのやぐら
憲一は裏庭づたいに林の方へ歩いて往った。そこは栃木県の某温泉場で、下には澄みきったK川の流れがあって、対岸にそそりたった山やまの緑をひたしていた。松杉楢などの疎に生えた林の中には、落ちかかった斜陽が微 …