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はず
ふりがな文庫
“
彈
(
はず
)” の例文
新字:
弾
漸く
神輿
(
みこし
)
をあげた平次ですが、外の風に當ると
彈
(
はず
)
みがついて、まだ晝をあまり廻らぬうちに、加州樣下屋敷隣の百草園に着きました。
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私はもう往來を
輕
(
かろ
)
やかな昂奮に
彈
(
はず
)
んで、一種
誇
(
ほこ
)
りかな氣持さへ感じながら、美的裝束をして街を濶歩した詩人のことなど思ひ浮べては歩いてゐた。
檸檬
(旧字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「そんな筈はないでせう!」おきみは、息を
彈
(
はず
)
まして訊き返した。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
その
彈
(
はず
)
みに行燈が倒れて消えてしまひましたが、私の聲を聞いて、三五郎さんが飛んで來て、大變な騷ぎになつたのでございますが
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の聲は
彈
(
はず
)
みました。お勝手の外、日蔭の柔かい土の上に、
斜
(
なゝ
)
めにめり込んだ、梯子の足特有の跡が印されてゐるではありませんか。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
二十四五のちよいと好い男で、場所柄らしくないにしても、何んかの
彈
(
はず
)
みでニツコリすると、女のやうに優しい表情になります。
銭形平次捕物控:231 鍵の穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
無愛想で素つ氣なくて、
滅多
(
めつた
)
なことでは人に笑顏も見せないのに、どうかした
彈
(
はず
)
みで、チラリと、恐ろしく色つぽいところが出るんです。
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
頭の樣子、髮形ちなど、手さぐりでも見ようと、頭巾に手をかけると、さうはさせまいと身を揉んだ
彈
(
はず
)
みに
馥郁
(
ふくいく
)
として
處女
(
をとめ
)
が匂ふのです。
銭形平次捕物控:317 女辻斬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
子刻
(
こゝのつ
)
(十二時)少し過ぎに源次郎が俺の家の格子の外に立つた時、立聞きして居たと言つた癖にひどく息が
彈
(
はず
)
んで居たが——」
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
木綿の怪し氣な品で、それに何んかの
彈
(
はず
)
みに裾がまくれた時氣が付くと、裏に
縞物
(
しまもの
)
の
双子
(
ふたこ
)
の
巾
(
きれ
)
が當ててあつたやうで御座います
銭形平次捕物控:181 頬の疵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
明神下の家へ歸つて來て、ホツとしてゐるところへ、相變らず
疾風
(
しつぷう
)
のやうに飛び込んで來たのは、
彈
(
はず
)
みきつた八五郎でした。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そいつが、何んかの
彈
(
はず
)
みで開かなかつたんだ。東海坊が火に追はれ乍ら、床板ばかり氣にすると思つたが、こいつだよ」
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ハツと思つて身體を引く
彈
(
はず
)
みに、滑つて轉げたので反つて助かつたくらゐです。ぢつとしてゐたら間違ひもなく頭から煮え湯を被つたことでせう
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お葉は少し息を
彈
(
はず
)
ませて居ります。十八といふにしては、やゝ小柄ですが、表情にも仕草にも、子供らしい
破綻
(
はたん
)
はなく、いかにもませた感じです。
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
不思議な水々しさがあり、若さと
老
(
お
)
いと、青春と
頽廢
(
たいはい
)
との一種の交錯が、屈從と諦らめとに慣れた態度の下に、何にかの
彈
(
はず
)
みで隱見するのでした。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「馬鹿だなア、娘と聞くと眼の色を變へて乘り出しやがる。——四十八歳のゆき遲れで、
人三化七
(
にんさんばけしち
)
だつた日にや、女房の取次があんなに
彈
(
はず
)
むものか」
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ま、待つてくれ。さう
彈
(
はず
)
みが付いちや
叶
(
かな
)
はない——先づ膝つ小僧を隱しなよ。
鐵瓶
(
てつびん
)
は
沸
(
たぎ
)
つてゐるんだぜ、そいつを引つくり返すと穩かぢや濟まない」
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
どちらも大していける口ではありませんが、話が
彈
(
はず
)
むとツイ醉が發して、女房のお靜に氣を
揉
(
も
)
ませ乍ら、晩のお馳走をすつかり冷たくしてしまつた頃
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
斯
(
こ
)
んな調子で物を言ふガラツ八ですが、事件の重大さは、その
彈
(
はず
)
む息にも、變つた眼の色にも充分讀み取られます。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
彈
(
はず
)
みに、長大な身體が小窓のところまで伸びると、隙間漏る月の光が、丁度その顏のところを照らしたのです。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ところで、鑄掛屋の幸吉は、何にかの
彈
(
はず
)
みで鼬小僧の本性を見破つてしまつた。お歌が鼬小僧とわかると、凡夫の悲しさで、一人呑んでは居られない。
銭形平次捕物控:214 鼬小僧の正体
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
不義の
快樂
(
くわいらく
)
に
耽
(
ふけ
)
つて居たが、何にかの
彈
(
はず
)
みでそれが主人の小左衞門に嗅ぎつけられ、急に殺す氣になつたのだらう
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
從妹
(
いとこ
)
のお才さんを、——見直すと何んでもない顏だつたんですつて。でも、お仙さんはものの
彈
(
はず
)
みで、首のあたりを少し斬り、手にも少し怪我をしました。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お局のお六の聲が、激情に
彈
(
はず
)
みます。
狹
(
せま
)
い小屋の中は、この女一人を入れただけで、近々と體温を感ずるやう。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の言葉が終らぬうちに格子が開いて、お靜が取次に出た樣子、若い女の低いが
彈
(
はず
)
み切つた聲が聞えます。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「何んかの
彈
(
はず
)
みで、揚羽のお艶が、門口へ顏を出さないものでもあるまいといふ、心細い望みなんださうで」
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
傷は左脇腹を、袷の上からひどくゑぐられたもので、何んかの
彈
(
はず
)
みで左手を擧げたときやられたらしく、刀の切つ尖は間違ひもなく心の臟を破つてゐさうです。
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
地藏樣の臺座の下は、
土龍
(
もぐら
)
の穴のやうに深々と掘れてあり、この中を搜つた
彈
(
はず
)
みで、臺座のゆるんだ地藏樣が、下に轉がり落ちたと思へないことはありません。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
細工は與惣六の時と同じことだ、今度は自害と見せる爲に、石燈籠に細引をかけて、梅の枝に死骸を引上げ、その
彈
(
はず
)
みで石燈籠は崖の下に轉げ落ちたことだらう。
銭形平次捕物控:284 白梅の精
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は默つて八五郎を振り返ると、心得た八五郎は獵犬のやうに、
彈
(
はず
)
みきつてどこかへ飛んで行きます。
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
川を後ろに
背負
(
しよ
)
つてゐるんだから——その時、あつしは危ないと思つて身をよけると、萬兵衞親爺奴、突いて出た
彈
(
はず
)
みに、もんどり打つて大川へ飛び込みましたよ
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
なにかの
彈
(
はず
)
みに誰か氣がついてくれるものがあるかも知れないと、萬一のことを頼みにしたのだらう——幸か不幸かその晩萬兵衞は殺されて、櫛はお前の手に入つた
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
下手人とは拙者もいはない——があの死骸は槍で突いたものだ。何んかの
彈
(
はず
)
みで仰け反るところを、前から一杯に突いたものに間違ひあるまい。あれだけの手際は槍を
銭形平次捕物控:193 色若衆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
樽に
凭
(
もた
)
れて突つ轉がし、どんな
彈
(
はず
)
みか呑口を拔いて、障子を二枚モロに折つたが、文句を言ふ隙もなく、俺は江戸の佐久間町のもので、同じ
暖簾
(
のれん
)
の相模屋を名乘る者だ。
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この話が
彈
(
はず
)
んで、自分の噂が出ると、娘のゆかりはコソコソと自分の家へ入つてしまひました。
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
綱を搖ぶつた
彈
(
はず
)
みで、足が宙に浮き、お鈴の至藝でも、どうすることも出來なかつた樣子です。
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、それはどんな
彈
(
はず
)
みであつたか、お關の手か足が觸つたらしく、安定の良い筈の行燈がバタリと倒れて、五六本打ち込んであつた燈心の
灯
(
あかり
)
が、一度にぱつたと消えたのでした。
銭形平次捕物控:215 妾の貞操
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お職過ぎますかね、あの後家は? 高慢で無愛想で、ヒヤリとしたところがある癖に、何んかの
彈
(
はず
)
みでニツコリすると、ゾツとするほど色つぽいところがありますよ、あの女は」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
などと、佐野松の死骸が、ツイ其處に
轉
(
ころ
)
がつてゐるのも忘れて、八五郎は
彈
(
はず
)
みます。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こゝだよ御主人、傅次郎は嫌がらせに火でも附けるつもりでこゝへ來て、お篠とつかみ合ひを始め、
鼈甲
(
べつかふ
)
の
櫛
(
くし
)
は物の
彈
(
はず
)
みで傅次郎の懷ろに入り、死骸と一緒に向うへ運ばれたのだらう。
銭形平次捕物控:194 小便組貞女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あのお人形のやうなお初が、段々大きくなつて、娘らしく色つぽくなるのを眺めて、宗吉はどんなに
彈
(
はず
)
みきつて居たことでせう。張合ひのある一生奉公だつたに違ひありません。それが」
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
岸井重三郎も、大方の形勢は解つたらしく、
彈
(
はず
)
みきつて家の中へ飛び込みました。が、それつきり、何んの合圖もなく、表の方に待機して居る、平次の手に飛び込んで來る者もありません。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
雪駄直しといふのは、
編笠
(
あみがさ
)
を冠つた
爺々
(
ぢゞ
)
むさい男が多いのですが、これは若くて小意氣で、何かの
彈
(
はず
)
みに顏を擧げるのを見ると、編笠の下の顏は二十七八、
苦
(
にが
)
み走つた良い男でさへあります。
銭形平次捕物控:250 母娘巡礼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
狐につまゝれたやうな心持で、藤澤の
宿
(
しゆく
)
に入ると、旅籠だけは思ひ切り
彈
(
はず
)
んで、長尾屋長右衞門の表座敷を望んで通して貰ひましたが、足を洗つて、部屋に通ると、懷中へ手を入れた平次は
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎はそんな氣樂なことを言つて
彈
(
はず
)
んだやうに飛び出してしまひました。
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
掘出しに行つたが、其處には小判はなかつた。主人とお前は喧嘩になつた。どつちも相手が隱したと思ひ込んだのだ。主人はその喧嘩に
彈
(
はず
)
みがついて、石地藏樣を抱いて崖の下に轉がり落ちた
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「涎ぢやありませんよ、あんまり話に
彈
(
はず
)
みがついて、こいつは汗なんで」
銭形平次捕物控:254 茶汲み四人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
塀を越すところまで
漕
(
こ
)
ぎつけた時、——こら待てツ——と、背後からお糸坊を
挘
(
も
)
ぎ取られてしまつたんで、——
彈
(
はず
)
みを喰つてあつしの身體は塀を越して向うの往來に轉げ落ち、肝腎のお糸坊は
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの樣子の良い内儀が顏を出して
愛嬌
(
あいけう
)
を振り
撒
(
ま
)
くから、皆んな
彈
(
はず
)
みが付いて、
競
(
せ
)
り合つてやつて來まさア、石川五右衞門が夫婦づれで來たつて、聖天堂の側なんか寄りつけるものぢやありません
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、遠路でも駈けたやうにひどく息を
彈
(
はず
)
ませて何んとしたことでせう。
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彈
部首:⼸
15画
“彈”を含む語句
爪彈
彈丸
彈機
爆裂彈
彈藥
彈奏
琴彈者
榴彈
火山彈
爆彈
爐裂彈
琴彈
琴彈松
手擲彈
石彈
花環榴彈等
裝彈篋
貓彈竹
輕彈
連彈
...