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羞
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はず
ふりがな文庫
“
羞
(
はず
)” の例文
覚メタケレドモ事ノ意外ニ驚キ
呆
(
あき
)
レ、アマリニ
羞
(
はず
)
カシイ
恰好
(
かっこう
)
ヲシテイルノデ、寝タフリヲシテ通ソウトシテイルノダ。僕ハソウ思ッタ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
先方の心の休まるように書いた方が宜かろうと、
羞
(
はず
)
かしそうに筆を執りまして、大藏が教ゆる通りの文面をすら/\書いてやりました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
とさも感心したるように言う。小山が笑いながら「誰に教えて戴くのか。エ、誰に」大原「ウフフ」と
羞
(
はず
)
かしそうに黙っている。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
信三はちょっと眼を細めた、昌子は彼が自分の姿を美しいと見てくれたことを感じ、
羞
(
はず
)
かしさと誇らしさとに思わず微笑した。
四年間
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そうして私はお前自身にもよく分らないらしかった、あの時の
羞
(
はず
)
かしさとも怒りともつかないものの原因をそれ以上知ろうとはしなかった。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
▼ もっと見る
花嫁は
羞
(
はず
)
かしさのために顔をかくし、さらに自分全体を包み隠してくれる
紗
(
ベール
)
をさがしているというような場面を想像しました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
私はそのとき穴へも入りたいほど
羞
(
はず
)
かしかった。世の中には美しく見えて惨酷なものがじつに多い。それを見るとき私の心は憤りに慄える。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
その男の感じたこと、考えたことが直ちに施設となるような、その場あたりの
脆弱
(
ぜいじゃく
)
な方針が目に見えて来る。
羞
(
はず
)
かしいのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
何だか
羞
(
はず
)
かしいような、また何物かからひどく卑しめられてるような、そしてまた何物かに対して大変申しわけがないようなさまざまな思いが
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
そうなると恐ろしいもので、物を云うにも思い切った
言
(
こと
)
は云えなくなる、
羞
(
はず
)
かしくなる、極りが悪くなる、皆例の卵の作用から起ることであろう。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
あれほど
羞
(
はず
)
かしめられた私ではあったけれど、この
有様
(
ありさま
)
を見てはそんな反感なんかは持ちつづけられなかった。私は叔父をつれて病院まわりをした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
私は毎朝この青年の立派な姿を見るたびに、何ともいわれぬ
羨
(
うらや
)
ましさと、また身の
羞
(
はず
)
かしさとを覚えて、
野鼠
(
のねずみ
)
のように
物蔭
(
ものかげ
)
にかくれるのが常であった。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
お
羞
(
はず
)
かしいはなしですけれど、紀介様のしばしば
仰
(
おお
)
せになるああいうお言葉には、やはり嫉妬のようなお心が
雑
(
まざ
)
っていると考えていましたわたくしは
玉章
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お前は私から都の風をもぎとって、その代りにお前の
呉
(
く
)
れた物といえば
鴉
(
からす
)
や梟の鳴く声ばかり。お前はそれを
羞
(
はず
)
かしいとも、むごたらしいとも思わないのだよ
桜の森の満開の下
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
婦人
(
おんな
)
はよくよくあしらいかねたか、
盗
(
ぬす
)
むように
私
(
わし
)
を見てさっと顔を
赭
(
あか
)
らめて初心らしい、そんな
質
(
たち
)
ではあるまいに、
羞
(
はず
)
かしげに
膝
(
ひざ
)
なる
手拭
(
てぬぐい
)
の
端
(
はし
)
を口にあてた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その他種々様々の
失敗
(
しくじり
)
と後悔と
羞
(
はず
)
かしい思いとを残した四年の間の記憶の土地からも離れて行った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お
羞
(
はず
)
かしいことには、とり残された私は、神経衰弱になってしまったというわけなんです——
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
二十五年第四高等中学校教授ニ任ゼラレ、以テ今ニ至ル。余ヤ
菲才
(
ひさい
)
浅学ニシテ府県ニ文部省ニ奉職シ育英ノ任ニ
叨
(
むさぼ
)
リ、
尺寸
(
せきすん
)
ノ功ナク、常ニソノ職ヲ
曠
(
むな
)
シクセシコトヲ
羞
(
はず
)
ル
耳
(
のみ
)
。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
けたたましく警鐘が鳴り、「来たぞゥ」と壮丁の呼ぶ声も胸を轟かします。隣字の烏山では到頭労働に行く途中の鮮人を三名殺してしまいました。済まぬ事
羞
(
はず
)
かしい事です。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
懐
(
なつ
)
かしき女史は、幾日の間をか着のみ着のままに過しけん、秋の初めの
熱苦
(
あつくる
)
しき空を、
汗臭
(
あせくさ
)
く
無下
(
むげ
)
に
汚
(
よご
)
れたる
浴衣
(
ゆかた
)
を着して、妙齢の処女のさすがに人目
羞
(
はず
)
かしげなる
風情
(
ふぜい
)
にて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
我
羞
(
はず
)
かしい、と云ったが、一段と声を落して殆んど独語のように、
然様
(
そう
)
では無い山崎、我たとい微禄小身なりとも都近くにあらば、何ぞの折には如何ようなる働きをも為し得て
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「ひどく酒
臭
(
くせ
)
えなあ。むむそうか。花嫁の部屋でも、身内の
宵
(
よい
)
酒盛りとかやるのが
慣
(
なら
)
いだからそのせいだな。……これよ、娘、いや嫁御。なにもそう
羞
(
はず
)
かしがるにはおよばぬよ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
な、女は
全裸体
(
すっぱだか
)
なのだ。月がそいつを照らしているのだ。グーッと手拭いで体を拭く。そんな時女は
羞
(
はず
)
かし気もなく、片足を上へ持ち上げるのだ。とうとう我輩は呟いてしまった。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
自分の部屋の中にいくつも掘り返した穴の
痕
(
あと
)
は、前かた試験に落第してその都度腹を立てた挙動の跡で、のちのちそれを見ると
羞
(
はず
)
かしくなって、人に合せる顔もないように思われた。
白光
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「ほんまに好い
芸妓
(
げいこ
)
さんになりゃはりましたでっしゃろ。この
妓
(
ひと
)
にも、好きな人がひとりあるのっせ」と、軽く
弄
(
からか
)
うようにいうと、若奴は優しい顔に
笑窪
(
えくぼ
)
を見せて
羞
(
はず
)
かしそうにしながら
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
羞
(
はず
)
かしながら、お
前
(
まえ
)
がなくてはこの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
誰
(
だれ
)
を
思
(
おも
)
って
生
(
い
)
きようやら、おまえ
一人
(
ひとり
)
を、
胸
(
むね
)
にひそめて
来
(
き
)
たあたし。あたしに
死
(
し
)
ねというのなら、たった
今
(
いま
)
でも、
身代
(
みがわ
)
りにもなりましょう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
処女
(
しょじょ
)
の
羞
(
はず
)
かしがるは何が一番
甚
(
はなは
)
だしきかというに、自分の
体
(
からだ
)
にありて、親にも示すべからざるものあるがためである。これは秘密にすべきものではあるが、善悪の標準をもって論ずる限りではない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しかし何かSの手前へも
羞
(
はず
)
かしいようには感じていた。
死後
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
羞
(
はず
)
かしそうに打ち笑みて、まあ
止
(
よ
)
しましょう。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
羞
(
はず
)
かしめさへ感じないですんだのでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
私はその目を避けるような
恰好
(
かっこう
)
をしながら、彼女の上に
跼
(
かが
)
みかけて、その額にそっと接吻した。私は心から
羞
(
はず
)
かしかった。……
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「そらそやわ。女が女に見せるねんもん
羞
(
はず
)
かしいことあれへんし、誰かて自分の肌
褒
(
ほ
)
められて悪い気イせえへんやんかいな。」
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
顔の赤くなるほど
羞
(
はず
)
かしいことや、また生きていることがいやになるほど卑しいことや、まだまださまざまの Evil を!
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
なかには男の席から会釈をおくられて、
羞
(
はず
)
かしそうに赤くなる者や、勇敢に挨拶を返してつれの娘に叩かれる者などもいた。
合歓木の蔭
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのとき、太った鈴木隆助の胸に阿賀妻謙の名が彫りきざまれたのである。
疼
(
うず
)
くような
羞
(
はず
)
かしめの感じを伴っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
お身はまだ
羞
(
はず
)
かしいことを知っているし、その羞かしいものの
償
(
つぐな
)
いを世の人におくる善良さを持って、それを
挨拶
(
あいさつ
)
として殿中と別れようとしていられる
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お
前
(
めえ
)
らの知った事じゃアない、えゝ殿様、誠に
羞
(
はず
)
かしい事だが、此の千代が
御当家
(
こちら
)
へ奉公に
参
(
めえ
)
った其の時から、
私
(
わし
)
は千代に惚れたの惚れねえのと云うのじゃアねえ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
羞
(
はず
)
かしさのために顔を真赤にして、両の眼には涙さえ浮べながらやっとこれだけを云う事ができた。しかし、彼女自身は自分が今、何を云ったのだかよくは解らなかった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
これらの婦女は
恣
(
ほしいまま
)
にその淫情を解放して意気揚々いささかの
羞
(
はず
)
る色だもなし。
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
オホホお登和さん、そんなにお
羞
(
はず
)
かしがりなさらないでもようございますよ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
都
(
みやこ
)
の
子女
(
しじょ
)
として至って平民的な彼等も流石に
羞
(
はず
)
かしそうな
笑止
(
しょうし
)
な顔をした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「おや、真っ暗じゃねえか。……ははあん、さては
羞
(
はず
)
かしがっているのか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
光子さんは
羞
(
はず
)
かしそうに下向いてくつくつ笑うてなさるだけで、てんと話はずまずに、間ものう帰ってしまわれました。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
恐らくその青年に、そのしどけない姿を残らず見られたろうと思って、私は死ぬほど
羞
(
はず
)
かしい思いをしていた。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「お言葉を忘れずにまいりました、でもわたくし、なんにも存じませんので、——
羞
(
はず
)
かしゅうございますわ」
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかしわたくしは
羞
(
はず
)
かしさをつぐなうことも出来ず、また、それをしようとも考えていない、わたくしには何も
彼
(
か
)
もうしろに退けてしまった、あるものはお身だけだ。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
と一時の
戯
(
たわむれ
)
にして此の場の話を打消そうと致されましたのを、女中達は本当の事と思って、羨ましそうに
何
(
いず
)
れも島路の
方
(
かた
)
へ目を注ぎますので、島路は
羞
(
はず
)
かしくもあり
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は、母の深い情を感ずるよりも、自分自身の臆病な、卑屈な心をつくづく
羞
(
はず
)
かしく思うた。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
これらの婦女は
恣
(
ほしいまま
)
にその淫情を解放して意気揚々いささかの
羞
(
はず
)
る色だもなし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「そんなに
羞
(
はず
)
かしいかえ……」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
羞
常用漢字
中学
部首:⽺
11画
“羞”を含む語句
羞恥
含羞
羞耻
嬌羞
羞明
含羞草
可羞
羞含
羞恥心
面羞
心羞
気羞
珍羞
羞痒
多羞
羞耻心
花羞
羞渋
羞恥家
羞顔
...