たん)” の例文
新字:
故に仏を奉ずる者の、三先生に応酬するがごとき、もとこれ弁じやすきの事たり。たんを張り目を怒らし、手をほこにし気をさかんにするを要せず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
とすると、先祖せんぞへはともかく、友達ともだちかほにかゝはる……とたん廊下らうかつてくと、女中ぢよちう案内あんないされたのは、これまた心易こゝろやすい。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われは車に導かんことをひしに、猶太婦人は直ちに手を我肘に懸け、姫は我と並びて行けり。我は姫に我肘にらんことを勸むるたんなかりき。
おめえが話をこんがらせてかかるこんたんでわかつたのだ、おめえのお母はただの百姓女さ、あたしのお母は死ぬまで彈いてうたをうたつてゐたお人だ。
(旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
こいつは餘つ程たんのすわつた人間でなければ出來ない事だが、お縫は見事にそれをやり遂げた——恐ろしい女だ。
家族かぞく一統いつとう加持かぢ祈祷きたうよ、とあをくなつてさわいだが、わたしない其主人そのしゆじんたんすわつていさゝかもさわがない。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
藤三郎は武家出だと言ふから、そんな仕事にかけてはたんもすわつて居るだらう