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胆
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たん
ふりがな文庫
“
胆
(
たん
)” の例文
旧字:
膽
と云ったが
敵
(
かな
)
いません事で、剣術は上手でも
胆
(
たん
)
が
据
(
すわ
)
ってゝも、感の悪い盲目のことゆえ、匹夫下郎の丈助の為に
二刀
(
ふたかたな
)
程斬られました。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
只違つてゐるのは、今度は今までよりも縦の方向が勝つて走るのでございます。わたくしは
胆
(
たん
)
を据ゑて目を開いて
周囲
(
まはり
)
の様子を見ました。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
さきに半円の
酒銭
(
さかて
)
を投じて、他の一銭よりも
吝
(
お
)
しまざりしこの美人の
胆
(
たん
)
は、拾人の乗り合いをしてそぞろに寒心せしめたりき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
怒気天を
衝
(
つ
)
くだの、暴慢なる露人だの、
醜虜
(
しゅうりょ
)
の
胆
(
たん
)
を寒からしむだの、すべてえらそうで安っぽい辞句はどこにも使ってない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「わははは。あの荒法師なかなかに
胆
(
たん
)
が据っておるわ。いや、よいよい。ずんときびしく退屈払いが出来そうじゃ。ひと工夫致してつかわそうぞ」
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
ぼくはどうかして
海蛇
(
うみへび
)
の
毒手
(
どくしゅ
)
からのがれようと
胆
(
たん
)
をくだいた、が、かれらはなかなか
厳重
(
げんじゅう
)
に
警戒
(
けいかい
)
して目をはなさない、時機を待つよりしかたがない
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「いや、ただ笑っていては困る。これは本気で掛合致すのじゃから、チャンと
胆
(
たん
)
を据えて掛ってくれねば、こちらにもいろいろと都合のある事じゃで」
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
三平は少し
煙
(
けむ
)
に巻かれて、
柄
(
がら
)
にもなくおど/\して居ましたが、だん/\酔いが循って来ると、
胆
(
たん
)
が落ち着き
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そんな際にも巡査の
句調
(
くちょう
)
を改めないで、失敬するよなんていってるんです。よっぽど
胆
(
たん
)
のすわった奴ですね。
盗難
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
なほ
次手
(
ついで
)
に
吹聴
(
ふいちやう
)
すれば、先生は時々夢の中に
化
(
ば
)
けものなどに追ひかけられても、逃げたことは一度もなきよし。先生の
胆
(
たん
)
、恐らくは
駝鳥
(
だてう
)
の卵よりも大ならん
乎
(
か
)
。
田端人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一時の
豪気
(
ごうき
)
は以て
懦夫
(
だふ
)
の
胆
(
たん
)
を
驚
(
おどろ
)
かすに足り、一場の
詭言
(
きげん
)
は以て少年輩の心を
籠絡
(
ろうらく
)
するに足るといえども、
具眼卓識
(
ぐがんたくしき
)
の
君子
(
くんし
)
は
終
(
つい
)
に
欺
(
あざむ
)
くべからず
惘
(
し
)
うべからざるなり。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
みごとの武者ぶりを見送りて、
声
(
こわ
)
づくろいしていかめしき中将の玄関にかかれる山木は、幾多の権門をくぐりなれたる身の、常にはあるまじく
胆
(
たん
)
落つるを覚えつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
と同時に、身を
屈
(
かが
)
ませて、横薙ぎに抜きつけた伝吉の大脇差。腕に正法な鍛えこそないが、満身の
胆
(
たん
)
と、まずもって、命を剣の先に捨ててゆく、彼一流の斬り合い。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
俄然として
醒
(
さ
)
めたムク犬の勇猛ぶりは、確かにこの犬殺しどもの
胆
(
たん
)
を奪うに充分でありました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あるいは禅により
胆
(
たん
)
を練り、あるいは浄土宗、浄土真宗により心身を仏に委託し、あるいは日蓮宗により宇宙の生命力を唱題によって心身に享け容れた人たちでありました。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
総入れ歯をカッと
剥
(
む
)
き出して笑うところまで、満身これ精力、全身これ
胆
(
たん
)
、
渾身
(
こんしん
)
これ智……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「相変わらず、いやに
胆
(
たん
)
がすわっているぜ。
粋
(
いき
)
すじだろう。ははは、こいつあお手の筋だ」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
人といふものは二気あれば即ち病む、といふ古い支那の
諺
(
ことわざ
)
にある通り(中略)宜しく
胆
(
たん
)
を
張
(
は
)
り
気
(
き
)
を
壮
(
さか
)
んにし、飲食を適宜にし、運動を怠らずして、
無所
(
むしよ
)
畏心
(
ゐしん
)
に安住すべきである。
日本大地震
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
これ
適
(
たまたま
)
以
(
もっ
)
て軍旅の
鋭
(
えい
)
を
殺
(
そ
)
ぎ、
貔貅
(
ひきゅう
)
の
胆
(
たん
)
を小にするに過ぎざるのみ、
智
(
ち
)
なりという
可
(
べ
)
からず。燕王と戦うに及びて、官軍時に
或
(
あるい
)
は勝つあるも、
此
(
この
)
令あるを
以
(
もっ
)
て、
飛箭
(
ひせん
)
長槍
(
ちょうそう
)
、燕王を
殪
(
たお
)
すに至らず。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
昇の
胆
(
たん
)
を
褫
(
うば
)
ッて、叔母の
睡
(
ねぶり
)
を覚まして、若し愛想を尽かしているならばお勢の信用をも買戻して、そして……そして……自分も実に胆気が有ると……確信して見たいが、どうしたもので有ろう。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
繊細なる者は
胆
(
たん
)
を大にすべし、壮大なる者は心を小にすべし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「剣道名誉の武士にしては、少しく態度が
無頼
(
ぶらい
)
に過ぎる。といって
市井
(
しせい
)
の無頼漢にしては、余りに腕が
利
(
き
)
いている。……
胆
(
たん
)
の据え方、機のつかみ方、とてもとても常人ではない。……そうしてあれは? あの巻軸は?」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
果して遣った! 意地にも立ったきりじゃ居られなくなって、ままよ、と
胆
(
たん
)
を据えて、つかつかと出ようとすると、見事に膝まで
突込
(
つッこ
)
んだ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人を斬って置きながら顔の色も変りませんのは余程
胆
(
たん
)
の
据
(
すわ
)
ったもので、此の時に伊之助も正孝も危ういところは
免
(
のが
)
れましたが、鼻の先でザクリ、バタリ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「構わぬ、すておけ、すておけ。町人輩が小判で客止めしたとあらば、身共は
胆
(
たん
)
と意気で
鞘当
(
さやあて
)
して見しょうわ。——ほほう喃、なかなか風雅な住いよのう」
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
今の世界に居て人生誰か自国を愛せざる者あらんや。国のためとあれば
荊
(
いばら
)
に坐し
胆
(
たん
)
を
嘗
(
な
)
むるも
憚
(
はばか
)
らざるは人情の常なり。内行を慎むが如き、非常の辛苦にあらず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
夜光虫のような
燦々
(
さんさん
)
たる一騎がその先頭を切って来る。
胆
(
たん
)
、驚くべし、女将軍の一丈青であった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甲府勤番の
反
(
そり
)
の強さを見せつけて、駒井の
胆
(
たん
)
を奪うてやるような仕事はないか、駒井が着く早々縮み上って尾を捲いて向うから逃げ出すような
謀
(
はかりごと
)
があらば、これ以て甚だ痛快なる儀じゃ
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
つとに満身これ剣と化している栄三郎、声——は、
胆
(
たん
)
をしぼって沈んでいた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
下女は
心得貌
(
こころえがお
)
に起って行く。幅の狭い
唐縮緬
(
とうちりめん
)
をちょきり結びに
御臀
(
おしり
)
の上へ乗せて、
絣
(
かすり
)
の
筒袖
(
つつそで
)
をつんつるてんに着ている。髪だけは一種異様の
束髪
(
そくはつ
)
に、だいぶ碌さんと圭さんの
胆
(
たん
)
を寒からしめたようだ。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ずばりとそれを一
喝
(
かつ
)
すると、
胆
(
たん
)
まことに
斗
(
と
)
のごとし! 声また爽やかにわが退屈男ならでは言えぬ一語です。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
音羽は女ながらも
胆
(
たん
)
の
据
(
すわ
)
ったもので、今腰が抜けて坐って
居
(
い
)
る藤六を振向きながら
一刀
(
ひとかたな
)
浴
(
あび
)
せる。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と——青年弦之丞が全身の熱血は、ここに、火ともならんほど燃えあがって、手はおのずから
腰刀
(
こしがたな
)
の
柄
(
つか
)
へかかり、
胆
(
たん
)
、気、力の
充
(
み
)
ちみなぎった五体は、徐々に岩を離れてヌーと伸びあがった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
というより
迫
(
せま
)
ってみたけれど、
胆
(
たん
)
死し、気落ちたる時はぜひがない、徳川三百年来、はじめて行われたという将軍
直々
(
じきじき
)
の免職で、万事は休す! そこで、西郷と勝とが大芝居を見せる段取りとなり
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
芝の源助町に道場をひらいて
荒剣
(
こうけん
)
一
風
(
ぷう
)
、
江府
(
こうふ
)
の剣界を断然リードして、その
腕
(
うで
)
、その
胆
(
たん
)
、ともに無人の境を行くの概あった先生に、
神保造酒
(
じんぼうみき
)
という暴れ者があった。神保造酒……
無形
(
むぎょう
)
一
刀流
(
とうりゅう
)
の
正伝
(
しょうでん
)
。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彰義隊討伐、会津討伐と、息もつかずに戦火の間を駈けめぐったおそろしく
胆
(
たん
)
の太い藪医者だった。
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
と云って逃げにかゝる所へ如意で打ってかゝったから
堪
(
たま
)
らんと存じまして、刄物で切ってかゝるのを、
胆
(
たん
)
の
据
(
すわ
)
った坊さんだから少しも驚かず、刄物の光が眼の先へ見えたから
引外
(
ひっぱず
)
し
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼らは
疾
(
と
)
くに
八幡大菩薩
(
はちまんだいぼさつ
)
の船旗を下ろしていたが、海洋を見ること平野を
視
(
み
)
るごとき
胆
(
たん
)
と、小事に顧みることなく
爛々
(
らんらん
)
の眼をたえず海潮の彼方に向けて、男児の業はそこにありとしている気質とは
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
言葉の威嚇もすばらしかったが、
胆
(
たん
)
の冴え、あの眉間傷の圧倒的な威嚇が物を言ったに違いない。
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
鞍馬
(
くらま
)
の竹童、
剣道
(
けんどう
)
は知らぬが、
胆
(
たん
)
は
斗
(
と
)
のごとしだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、これこそはまさしく
技
(
わざ
)
の冴え、
肝
(
きも
)
の太さ、
胆
(
たん
)
の冴えの目に見えぬ威圧に違いないのです。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
今こそ、自分の
胆
(
たん
)
は
踵
(
かかと
)
にこもっているという感。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
胆
(
たん
)
を以て、腕を以て、あの向う傷に物を言わせて、力ずくにこれを押し破ったならば破って破れないことはないが、そのため怪我人を出し、血を見るような事になったら
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
いわゆる、
胆
(
たん
)
まず敵をのむのである。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眼
(
がん
)
の配りにひと癖もふた癖もありげな
胆
(
たん
)
の坐りの見える
町奴風
(
まちやっこふう
)
の中年男と、その妻女であるか、ぞれとも知り合いの者ででもあるか、江戸好みにすっきりと垢ぬけのした町家有ちの若新造でした。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
“胆(
胆嚢
)”の解説
胆嚢(胆囊、たんのう、en: gallbladder)は、消化に必要になるまで胆汁を蓄積するセイヨウナシ形の器官。胆管(胆道)によって肝臓と十二指腸に接続している。
(出典:Wikipedia)
胆
常用漢字
中学
部首:⾁
9画
“胆”を含む語句
落胆
胆魂
竜胆
胆力
海胆
胆玉
胆煎
熊胆
度胆
肝胆
生胆
胆振
心胆
肝胆相照
胆沢
笹竜胆
小胆
胆太
胆嚢
人胆
...